2017年度工学院大学大学院・建築学専攻

都市計画特論(Theory of City Planning)[3212]


2単位
野澤  康 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/19

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
この講義のねらいは、社会的な問題を都市計画的な視点から考え、議論することによって、都市計画法制度や都市政策・住宅政策に対する理解を深め、それを実地に使える知識にしていくことである。
以下の諸点をこの講義の具体的な達成目標とする。
1) 都市計画の枠組みを、社会的な問題と関連づけて理解している。
2) 都市計画法制度や都市政策・住宅政策が抱える課題を、社会的な問題を通して考え、指摘することができる。
3) グループ・ワークを通して、ディスカッションやプレゼンテーションのスキルがしっかりと身についている。

The aim of this class are to understand City Planning Law and its system, urban policy and housing policy, and to learn your knowledge which you can use practically through considering and discussing social problems from the point of view of urban planning.
On completion of this course, students should be able to :
1) understand the outline of urban planning, connecting with social problems
2) point out some problems in the system and policy of urban and housing planning through social problems
3) acquire skills for discussion and presentation through group works in the class

<授業計画及び準備学習>
01) 講義概要の説明と問題意識の確認・共有
この講義の目的とフレームを説明する。
現代都市、都市計画に対する問題意識の確認(ディスカッション)をする。
☆準備学習:様々な文献や新聞記事などから、現代都市(特にわが国の都市)が抱える問題点を認識し、整理しておく。

02) 都市計画の枠組みと将来像を描き実現する仕組み(その1)
わが国の人口フレームとそれに起因する問題点、現行都市計画のフレームについて学ぶ。また、都市計画マスタープラン、都市計画区域マスタープランについて、実例を見ながら学ぶ。(一部は学部時代の講義の復習)
☆準備学習:学部時代の教科書から、関連する部分を復習しておく。また、各自の身近な都市の人口フレームのデータを調べて分析しておく。同じく身近な都市のマスタープランを読んでおく。

03) 都市計画の枠組みと将来像を描き実現する仕組み(その2)
建築基準法の集団規定と各種緩和制度について、実際の都市空間と比較しながら学ぶ。また、地区計画制度、まちづくり条例などのローカル・ルールの基礎を学ぶ。
☆準備学習:学部時代の教科書などから、関連する部分を復習しておく。地区計画やまちづくり条例の事例を探して、読んでおく。

04) グループ研究ガイダンス・準備
グループ研究のテーマを提示し、グループ分けする。各グループで作業計画を立案し、事例研究などをスタートする。
☆準備学習:予め提示するテーマの概略を調べて、自分がどのテーマを担当するべきかを検討しておく。

【テーマ1:道路建設に関わる紛争事例と都市計画の問題(第5〜7回)】
05) 事例研究の報告と関連事項の学習(テーマ1-1)
担当グループから、事例研究した結果を報告してもらい、それを素材として問題点がどこにあるのか等を議論する。
☆準備学習:担当グループは事例研究して、プレゼンテーションの準備をしておく。その他の受講者は予め担当グループから配布される資料を読み、ディスカッションの準備をする。

06) 論点の整理とミニ・ワークショップ(テーマ1-2)
担当グループから、事例研究に基づき整理した論点を提示してもらい、それをもとに道路建設に関する紛争の論点を議論していく。合わせて、関連する法規制やこれまでの計画の経緯などについて、講義を通して学ぶ。
☆準備学習:第5回に報告された事例から、道路建設に関する紛争に関する論点を自分なりに整理しておく。

07) 道路建設に関する紛争を未然に防ぐ(あるいは解決する)ための都市計画・建築規制とは?(テーマ1-3)
第6回の学習・ディスカッションを通して、道路建設に関する紛争を未然に防ぐ、あるいは解決するために、都市計画・建築規制はどのようにあるべきか、議論しながらまとめていく。
☆準備学習:第6回で整理した論点から、道路建設に関する紛争の原因を確認しておく。

【テーマ2:わが国都市に増え続ける空き家と住宅政策等の問題(第8〜10回)】
08) 空き家問題の基本的事項の報告と学習(テーマ2-1)
担当グループから、文献研究によって得られた空き家問題の基本的事項について報告してもらい、合わせて、関連する政策や法規制などについて、講義を通して学び、理解を深める。
☆準備学習:担当グループは文献研究をして、プレゼンテーションの準備をしておく。その他の受講者は予め担当グループから配布される資料を読み、ディスカッションの準備をする。

09) 論点の整理とミニ・ワークショップ(テーマ2-2)
担当グループから、文献研究に基づき整理した論点を提示してもらい、それをもとに空き家増加に関する論点を議論していく。
☆準備学習:第8回で報告された基本的事項から、空き家問題に関する論点を自分なりに整理しておく。

10) 空き家問題を解決していくには?(テーマ2-3)
第9回の学習・ディスカッションを通して、空き家問題の原因はどこにあり、今後どのような解決方法があり得るのか、議論しながらまとめていく。
☆準備学習:第9回で整理された論点から、空き家問題の原因を確認しておく。

【テーマ3:法律が想定していない用途の建築物にどう対処するか?(第11〜13回)】
11) 事例研究の報告と関連事項の学習(テーマ3-1)
担当グループから、事例研究した結果を報告してもらい、合わせて、関連する政策や法規制などについて、講義を通して学び、理解を深める。
☆準備学習:担当グループは事例研究して、プレゼンテーションの準備をしておく。その他の受講者は予め担当グループから配布される資料を読み、ディスカッションの準備をする。

12) 論点の整理とミニ・ワークショップ(テーマ3-2)
担当グループから、事例研究に基づき整理した論点を提示してもらい、それをもとに法律の問題点等に関する論点を議論していく。
☆準備学習:第11回に報告された事例から、想定していない用途の建築物に関する論点を自分なりに整理しておく。

13) 法律が想定していない新しい用途の建築物への対処法(テーマ3-3)
第12回の学習・ディスカッションを通して、新しい用途に対応した都市計画・建築規制はどのようにあるべきか、議論しながらまとめていく。
☆準備学習:第12回で整理された論点から、想定していない用途の建築物を確認するとともに事例を探してみる。

14) 学習内容の振り返り
☆準備学習:前回までの総復習を行う。

Subjects in this course :
01) Outline of this class and sharing urban problems
02) Frame of urban planning and methods for drawing urban future images (1)
: population, zoning, masterplan
03) Frame of urban planning and methods for drawing urban future images (2)
: building standard law (about the relation of some buildings), local rules (district plan, ordinance)
04) Guidance and preparation for group works

Theme 1. trouble cases of road construction and urban planning system
05) Presentation of case studies and lecture of basic matters
06) Summary of issues and mini workshop about them
07) Urban planning and building control system for avoiding troubles

Theme 2. increasing vacant houses and housing policy
08) Report and lecture of basic matters about problems of vacant houses
09) Summary of issues and mini workshop about them
10) How can we solve the problems of vacant houses ?

Theme 3. how to treat buildings which use are not located in current laws
11) Presentation of case studies and lecture of basic matters
12) Summary of issues and mini workshop about them
13) How to treat a new use which is not covered in current laws

14) Reviewing of the course

<成績評価方法及び水準>
授業のための準備と他チームのテーマに対するレポート(事例収集、資料読解など)20%、授業時間中のディスカッション・プレゼンテーション50%、担当テーマに関するレポート(グループ)30% で評価する。

Evaluation :
Preparation for each class and report for 2 themes by another groups : 20%
Discussion and presentation : 50%
Final report for own theme (group work) : 30%

<教科書>
特に指定しない。

Textbook : None

<参考書>
講義の中で随時紹介する。
なお、学部の野澤の講義で使用していた教科書「都市計画」(川上光彦・著、森北出版)の内容を理解していることを前提として進める。基礎的な学習が不足していると思う受講希望者は予め復習しておくこと。

<オフィスアワー>
火曜日10:00〜11:00 新宿キャンパス26階A-2674号室。
また、その他、随時相談にのることは可能であるが、事前にアポイントを取ること。
メールにても可。nozawa@cc.kogakuin.ac.jp

Office hour :
10:00-11:00 on Tuesday
26F A-2674, Shinjuku campus
If you hope to contact me on another schedule, please send me an e-mail firstly.
E-mail addresses is nozawa@cc.kogakuin.ac.jp .

<学生へのメッセージ>
大学院生であるから、自らの専門分野からの視点はもちろん重要であるが、時にはそこを離れて、大きな視点から学習・議論を進めてみてほしい。
授業時間中にただ単にそこにいるだけでは全く意味がない。自ら調べ、考え、議論する姿勢が重要であり、予習・復習などの時間をしっかりと確保してほしい。授業に向けての準備として、かなりの量の資料や文献を読まなければならないことを覚悟して受講してほしい。


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