2016年度工学院大学大学院・情報学専攻
☆ネットワーク情報システム特論(Distributed Systems and Networks)[2602]
2単位 小野 諭 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な到達目標>
- ネットワークとセキュリティに関する現代的なトピックスについて、事例分析、討論することを通じて、専門家として、セキュアシステムを企画・分析・設計する能力を養う。
今回は、スマホとクラウドが連携したサービスとして期待と注目度が高まっている 「モバイルペイメント」 システムをテーマとする。
本講義では、単に 0/1 のデジタルデータとしてのリスク(ビットリスク)だけではなく、ビジネスに起因するリスク(オペレーショナル・リスク)をICT技術を通して対応するセキュア・システムについて学ぶ。
(ここで「システム」とは、目的・目標をもつ人・組織、業務プロセス、それを支える ICT システムの組み合わせである。)
※システムデザイン専攻の履修者については以下が適用される。 (JABEE学習・教育到達目標) 「システムデザインプログラム」 (A)工学関連分野の原理・原則に関する深い知識と応用力を身につけた人材を育成します:◎ JABEE基準1の(2)の内容 (c),(d):◎ (b),(e),(g):○
- <授業計画及び準備学習>
- 1. オリエンテーション (第1回)
2. セキュアシステム設計とモバイルペイメントの基礎 (第2〜4回)
頭だしのため、基礎的な項目について講義し、関連資料を紹介する。
院生は、自ら積極的に事例収集して、分野地図をつくることが求められる。 必要ならば、グループをつくって、主に着目するテーマを定める。
3. 第1回目の討論とまとめ (第5〜7回)
各グループが持ち寄った資料や予備検討結果をもとに、技術やビジネスの動向、プレーヤー、評価方法などについて、自由に討論する。 セキュアシステムの設計方法論に基づいて、資料を分類・分析し、議論の方向性を定める。
4. 第2回目の討論と中間発表 (第8〜10回)
既存あるいは進展しつつある技術やビジネスの特徴を、目的・目標とリスク、評価方法、プレーヤーと業務プロセス、アーキテクチャ、基盤技術などから議論する。
特に 店頭で行われるカード提示 (Card Present) 取引と、ネットワーク経由で行われるカード非提示 (CNP: Card Not Present) の取引について、プロセスとリスクの違いに着目した議論を深める。
5. 第3回目の討論と最終発表・報告書作成 (第11〜13回)
グループとして、テーマを定めて、セキュアシステムの中での位置づけを明確にして発表する。
6. 全体の振り返り (第14回)
- <成績評価方法及び水準>
- 発表(中間、最終)はグループ単位で行い、最終の報告書は、各自が作成する。
提出は、最終授業時。 評価の重みは、出席、討論、発表、報告書それぞれ 20, 25, 25, 30% である。
- <教科書>
- 用いない。
- <参考書>
- 必要に応じて、kuport、B0530 セキュアシステムラボラトリサーバを通じて配布する。
- <オフィスアワー>
- 前期の期間、毎週木曜3限
新宿キャンパス 中層棟 B0530
- <学生へのメッセージ>
- ICT 技術は、場合によると、これまでのビジネス勝者の既得権と強みを一気に失わせ、新たなプレーヤが勢力を拡大する可能性(とリスク)を秘めています。
技術も、これまでは否定されていた方法が、状況の変化と新技術のサポートで優れた強みを発揮することがあります。
単に、従来のビジネスを自動化・ICT 化するための技術を扱うのではなく、ICT により初めて妥当なリスクで可能になるビジネスについて、調査・検討することで、専門家としての企画・分析・設計する能力を身につけてもらいたいと思います。
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