2016年度工学院大学大学院・建築学専攻

都市計画特論(Theory of City Planning)[3214]


2単位
野澤  康 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/19

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
この講義のねらいは、社会的な問題を都市計画的な視点から考え、議論することによって、都市計画法制度や都市政策・住宅政策に対する理解を深め、それを実地に使える知識にしていくことである。
以下の諸点をこの講義の具体的な達成目標とする。
1) 都市計画の枠組みを、社会的な問題と関連づけて理解している。
2) 都市計画法制度や都市政策・住宅政策が抱える課題を、社会的な問題を通して考え、指摘することができる。
3) グループ・ワークを通して、ディスカッションやプレゼンテーションのスキルがしっかりと身についている。

<授業計画及び準備学習>
以下の各項目について、講義、ディスカッション、レポート、プレゼンテーションを組み合わせて進めていく。

1. イントロダクション
この講義の目的とフレームを説明する。
現代都市に対する問題意識の確認(ディスカッション)をする。
準備学習:様々な文献や新聞記事などから、現代都市(特にわが国の都市)が抱える問題点を認識し、整理しておく。

2. 都市計画の枠組みと将来像を描き実現する仕組み(その1)
わが国の人口フレームとそれに起因する問題点、現行都市計画のフレームについて学ぶ。
都市計画マスタープラン、都市計画区域マスタープランについて、実例を見ながら学ぶ。
(一部は学部時代の講義の復習)
準備学習:学部時代の教科書から、関連する部分を復習しておく。また、各自の身近な都市の人口フレームのデータを調べて分析しておく。同じく身近な都市のマスタープランを読んでおく。

3. 都市計画の枠組みと将来像を描き実現する仕組み(その2)
建築基準法の集団規定と各種緩和制度について、実際の都市空間と比較しながら学ぶ。
地区計画制度、まちづくり条例などのローカル・ルールの基礎を学ぶ。
準備学習:学部時代の教科書などから、関連する部分を復習しておく。地区計画やまちづくり条例の事例を探して、読んでおく。

4.グループ研究ガイダンス・準備
グループ研究のテーマを提示し、グループ分けする。各グループで作業計画を立案し、事例研究などをスタートする。
準備学習:予め提示するテーマの概略を調べて、自分がどのテーマを担当するべきかを検討しておく。

■テーマ1 マンション紛争事例と都市計画・建築規制の問題(第5〜7回)

5.事例研究の報告(テーマ1-1)
担当グループから、事例研究した結果を報告してもらい、それを素材として問題点がどこにあるのか等を議論する。
準備学習:担当グループは事例研究して、プレゼンテーションの準備をしておく。その他の受講者は予め担当グループから配布される資料を読み、ディスカッションの準備をする。

6. 論点の整理と関連事項の学習(テーマ1-2)
担当グループから、事例研究に基づき整理した論点を提示してもらい、それをもとにマンション紛争に関する論点を議論していく。合わせて、関連する法規制などについて、講義を通して学ぶ。
準備学習:第5回に報告された事例から、マンション紛争に関する論点を自分なりに整理しておく。

7. マンション紛争を未然に防ぐ都市計画・建築規制とは?(テーマ1-3)
第6回の学習・ディスカッションを通して、マンション紛争を未然に防ぐためには、都市計画・建築規制はどのようにあるべきか、議論しながらまとめていく。
準備学習:第6回で整理された論点から、マンション紛争の原因を確認しておく。

■テーマ2 道路建設に関わる紛争事例と都市計画の問題(第8〜10回)

8.事例研究の報告(テーマ2-1)
担当グループから、事例研究した結果を報告してもらい、それを素材として問題点がどこにあるのか等を議論する。
準備学習:担当グループは事例研究して、プレゼンテーションの準備をしておく。その他の受講者は予め担当グループから配布される資料を読み、ディスカッションの準備をする。

9. 論点の整理と関連事項の学習(テーマ2-2)
担当グループから、事例研究に基づき整理した論点を提示してもらい、それをもとに道路建設に関する紛争の論点を議論していく。合わせて、関連する法規制やこれまでの計画の経緯などについて、講義を通して学ぶ。
準備学習:第8回に報告された事例から、道路建設に関する紛争に関する論点を自分なりに整理しておく。

10. 道路建設に関する紛争を未然に防ぐ(あるいは解決する)ための都市計画・建築規制とは?(テーマ2-3)
第9回の学習・ディスカッションを通して、道路建設に関する紛争を未然に防ぐ、あるいは解決するためには、都市計画・建築規制はどのようにあるべきか、議論しながらまとめていく。
準備学習:第9回で整理された論点から、道路建設に関する紛争の原因を確認しておく。

■テーマ3 わが国都市に増え続ける空き家と住宅政策等の問題(第11〜13回)

11.空き家問題の基本的事項(テーマ3-1)
担当グループから、文献研究によって得られた空き家問題の基本的事項について報告してもらい、それを素材として問題点がどこにあるのか等を議論する。
準備学習:担当グループは文献研究をして、プレゼンテーションの準備をしておく。その他の受講者は予め担当グループから配布される資料を読み、ディスカッションの準備をする。

12.論点の整理と関連事項の学習(テーマ3-2)
担当グループから、文献研究に基づき整理した論点を提示してもらい、それをもとに空き家増加に関する論点を議論していく。合わせて、関連する政策や法規制などについて、講義を通して学ぶ。
準備学習:第11回で報告された基本的事項から、空き家問題に関する論点を自分なりに整理しておく。

13.空き家問題を解決していくには?(テーマ3-3)
第12回の学習・ディスカッションを通して、空き家問題の原因はどこにあり、今後どのような解決方法があり得るのか、議論しながらまとめていく。
準備学習:第12回で整理された論点から、空き家問題の原因を確認しておく。

14. 学習内容の振り返り
準備学習:前回までの総復習を行う。

<成績評価方法及び水準>
授業のための準備(事例収集、資料読解など)20%、授業時間中のディスカッション・プレゼンテーション50%、担当テーマに関するレポート(グループ)30% で評価する。

<教科書>
特に指定しない。

<参考書>
講義の中で随時紹介する。
なお、学部の野澤の講義で使用していた教科書「都市計画」(川上光彦・著、森北出版)の内容を理解していることを前提として進める。基礎的な学習が不足していると思う受講希望者は予め復習しておくこと。

<オフィスアワー>
火曜日10:00〜11:00 新宿キャンパス26階A-2674号室。
また、その他、随時相談にのることは可能であるが、事前にアポイントを取ること。
メールにても可。nozawa@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
大学院生であるから、自らの専門分野からの視点はもちろん重要であるが、時にはそこを離れて、大きな視点から学習・議論を進めてみてほしい。
授業時間中にただ単にそこにいるだけでは全く意味がない。自ら調べ、考え、議論する姿勢が重要であり、予習・復習などの時間をしっかりと確保してほしい。授業に向けての準備として、かなりの量の資料や文献を読まなければならないことを覚悟して受講してほしい。


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