2016年度工学院大学大学院・建築学専攻

都市デザイン特論(Theory of Urban Design)[2103]


2単位
遠藤 新 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/19

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
・現代の都市デザインにつながる基本の理論を学び、今後の都市デザインに必要な基本視点と作法、その要点を理解する。
・民間事業特有の経済的側面や機能的側面からは一端離れて、都市&都市デザインがどうあるべきかを考える機会とする。
・何かを受け身で教わるのではなく、授業への積極的な作業関与を通じて、能動的に学ぶ作法を身につける。

<授業計画及び準備学習>
◎進め方
・遠藤と一緒にアーバンデザインに関する日本語および英語文献(古典的文献、最近の動向を理論的に扱う文献、等)を読み進める。各回の前にテキストの主要論点に関する質問を発表する。毎回の担当者(複数)は、その質問に対する回答のメモを授業開始時までに準備しておく。
・担当は、2週前の授業時までに確定させる。次々回のテキストに対して、その質問内容と解答担当者(複数)を決める。
・日本語文献で昨今の都市デザインの潮流を把握&将来展望を描いている適切な論説が少ないため、英語テキストも扱う。
・予習:担当する日本語および英語文献を事前に読み込み、毎回事前に配布する「質問票(仮称)」の項目に従って、発表用のメモ(またはパワーポイント等)をまとめてくる。(参考になる写真や図版等も授業で紹介できるとよい。)発表の担当者は、メモのコピーを履修者全員分用意してくること。授業開始時に全員に配布する。
・復習:授業の最終回に、授業全体のまとめレポートを提出する。

◎基本テーマ
モダニズムデザインの限界が認識されるようになり、都市デザインの分野にもポストモダンの思想・理論が広まった。それとともにポストモダン・アーバンデザインの実践が展開した。今回の授業ではポストモダン・アーバンデザインの文脈に合致する理論・議論の中でも「持続可能な都市のあり方」に基本的な問題意識を置く文献をとりあげ、そこでの都市計画・アーバンデザインについての理論的な考察・提案について読み解く。

◎授業計画
第1週目 ガイダンス
第2〜3週目 都市デザインとは何か
・都市デザインの目標、人間と都市の関係、パブリックスペース
・日本および世界における都市デザイン思潮と実践的展開の概略系譜
・都市デザインの領域と専門家の役割
・都市デザインと都市計画・建築・土木

第4〜13週目 文献読解
以下の文献(予定)を事前学習として担当者(毎回複数)が読み込み、質問票の項目に沿って発表する。
・Peter Calthorpe (1993), “The Next American Metropolis”
・Reid Ewing, Keith Bartholomew, and Arthur C. Nelson (2011), “Compactness vs. Sprawl”
・Stephen M. Wheeler (2002), “Infill Development”
・Jan Gehl (1980), “Outdoor Space and Outdoor Activities”
・Stephen Pacala and Robert Socolow (2004), “Stabilization Wedges: Solving the Climate Problem for the Next 50 Years with Current Technologies”
・Harriet Bulkeley, Vanesa Castan Broto, and Gareth Edwards (2012), “Towards Low Carbon Urbanism”
・William Solecki, Cynthia Rosenzweig, Stepen Hammer, and Shangun Mehorta (2013), “The Urbanization of Climate Change: Responding to a New Global Change”
・Timothy Beatley (2011), “Biophili Cities”
・Frederick Steiner (2011), “Landscape Ecological Urbanism”
・Dolores Hyden (2002), “Domesticating Urban Space”
・Janice E. Perlman with Molly O’Meara Sheehan (2007), “Fighting Poverty and Environmental Injustice in Cities”
・講義の受講者数次第では、日本語文献も複数取り扱う。

第14週目 授業の振り返り

<成績評価方法及び水準>
・授業時間内での発表2回以上、かつ最終レポート提出を単位修得の必要条件とする。提出物全体の得点60点以上が合格。
・評価ポイント:出席回数の重視、授業時間におけるレポート内容の発表回数の重視、ディスカッションへの参加。

<教科書>
授業で扱う英語テキストはキューポートから事前に配布する。
その他必要な文献は適宜授業中に配布、もしくは指示する。

<参考書>
都市デザインの理解に役立つ日本語文献
「米国の中心市街地再生」遠藤新(学芸出版社)
「アーバン・デザイン・センター」前田英寿、遠藤新、他(理工図書)
「都市計画国際用語辞典」日本都市計画学会国際用語研究会編・倉田直道他共著(丸善)
「次世代のアメリカの都市づくり〜ニューアーバニズムの手法」P.カルソープ/倉田直道訳(学芸出版社)
「新しい都市デザイン」ジョナサン・バーネット著/倉田直道訳(集文社)
そのほか、必要な参考書は授業時間中に提示する。

<オフィスアワー>
火曜日の6限、A2673室。
その他時間の面談を希望する学生は遠藤までメール等で連絡ください。

<学生へのメッセージ>
この授業は、英語の授業ではない。英語文献の読み込みポイントは、テーマとする理論の背景と目的、対象(都市、都市空間等)のとらえ方、都市デザインとしての考え方、理論としての要点、理論の根拠となる事例・事象等の理解、など。単語の意味を一つ一つ調べるような予習作業では文意の把握は難しい。主語と動詞、文法をきっちり押さえれば、あとの細かいところはさほど気にする必要はない。要旨の理解が大事。日本語文献の解読作業も同様に理解すること。


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