2016年度工学院大学大学院・建築学専攻
環境マネジメント特論(Selected Lecture of Environmental Management)[1307]
2単位 漆崎 昇 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な到達目標>
- 自然環境と近年発生した環境問題を概説し、ISO環境マネジメント規格、企業活動における取組み事例を示し、環境マネジメントシステムとその重要性を理解する。また、環境問題と建築との係わりを理解し、持続可能な社会への建築のあり方に関する考察力を取得する。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.環境問題の歴史
人類発生以来の歴史と過去の各種環境問題を概説、未来を考察する。 2.国際動向: 各種環境問題への対応策として、国際的な各種合意の背景と歴史を概説 3.地球環境問題とは1: 地球温暖化、オゾン層破壊など代表的な地球環境問題を概説する。 4.地球環境問題とは2: 森林破壊、砂漠化、酸性雨など代表的な地球環境問題を概説する。 5.環境問題への企業の法対応と環境倫理: 各種環境問題への対応法規制の概要を説明し、企業活動への影響の歴史(4大公害訴訟)を概説、地球環境問題への対応から、倫理的な行動原理が追求され、原則が合意形成されている状況を概説 6.環境マネジメントの概要1: 企業の環境行動:企業の地域環境対応、環境保全活動の必要性、環境マネジメントの重要性を概説経団連地球環境憲章、業界団体の自主行動計画、CERES原則等を調査し、問題点を分析、EMSやLCA等の、環境マネジメント上有効な種々の手法を調査して分析、ISOの活動内容、そして環境マネジメント規格群の成立経緯を概説 7.環境マネジメントの概要2: 規格要求事項を解説し、環境監査、経営層の見直し、活用方策等を概説、システム立上げ手順を概説し、中核的作業となる環境側面の抽出作業を実体験、認証取得企業の取組み事例を調査し、戦略的活用方策の必要性を検討(建設業を例に) 8.環境マネジメントに関わるツール1: ライフサイクルアセスメント:LCAの作業内容の概要と、インベントリ分析用環境負荷原単位を概説、インパクト分析の方法や、単一指標による比較検討事例を分析(建設業を例に) 9.環境マネジメントに関わるツール2: 環境価値評価法:許容値基準や目標との距離、保護対象の被害算定等各種統合評価手法を調査分析、環境負荷の貨幣価値換算手法の適用例をいくつか示し、問題点を分析(建設業を例に) 環境リスク評価法:リスク評価手法を概説し、評価事例や損失余命算出方法等を紹介して分析(建設業を例に) 10.環境マネジメントに関わるツール3: 環境会計概説と環境コミュニケーション:環境経営に使う環境会計に関し、環境省や経済産業省によるガイドを概説、 環境ラベルとパフォーマンス規格:規格の必要性、規格の内容と対応事例を解説して分析、環境報告書等を分析し、その構成や取扱を事例研究するほか、マスコミの取り扱いを分析、 CSRと環境:歴史的展開と現状、国際的動向と日本経済界の対応、環境との関係を概説(建設業を中心に) 11.持続可能な社会と建築(低炭素社会と建築): 省エネと新エネ活動の位置づけ、具体的方策、そして活動の効果を調査分析、 12.持続可能な社会と建築(循環型社会と建築): 企業活動より排出される産業廃棄物の処理状況と、企業のリスクについて概説 13.持続可能な社会と建築(自然共生社会と建築) 14.学習成果の確認(レポート提出)
- <成績評価方法及び水準>
- 講義における課題レポート(3回)及び討議参加状況により評価。評価の割合は、レポート8、討議参加状況2
- <教科書>
- ・配布資料
- <参考書>
- ・レイチェル・カーソン:沈黙の春、新潮文庫、1991
・メドウズ他:ローマ・クラブ「人類の危機」レポート 成長の限界、ダイヤモンド社、1972 ・地球環境研究会編:5訂 地球環境キーワード事典、中央法規、2008
- <オフィスアワー>
- 講義後に質問、意見を受け付けます。
上記時間外でも随時質問を受け付けます。メールでの質問も可。 urushizaki.noboru@obayashi.co.jp
- <学生へのメッセージ>
- 地球規模の環境問題がクローズアップされており、あらゆる分野の活動にとって、重大な要件になっています。これからの皆さんの活動・仕事が、持続可能な社会づくりに影響を与えることが考えられます。この講義で、環境問題の現状認識、要因などの分析及び理解力を身につけ、専門分野に役立ててもらいたい。
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