2016年度工学院大学大学院・建築学専攻

環境マネジメント特論(Selected Lecture of Environmental Management)[1307]


2単位
漆崎 昇 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/12/19

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
自然環境と近年発生した環境問題を概説し、ISO環境マネジメント規格、企業活動における取組み事例を示し、環境マネジメントシステムとその重要性を理解する。また、環境問題と建築との係わりを理解し、持続可能な社会への建築のあり方に関する考察力を取得する。

<授業計画及び準備学習>
1.環境問題の歴史
人類発生以来の歴史と過去の各種環境問題を概説、未来を考察する。
2.国際動向:
各種環境問題への対応策として、国際的な各種合意の背景と歴史を概説
3.地球環境問題とは1:
地球温暖化、オゾン層破壊など代表的な地球環境問題を概説する。
4.地球環境問題とは2:
森林破壊、砂漠化、酸性雨など代表的な地球環境問題を概説する。
5.環境問題への企業の法対応と環境倫理:
各種環境問題への対応法規制の概要を説明し、企業活動への影響の歴史(4大公害訴訟)を概説、地球環境問題への対応から、倫理的な行動原理が追求され、原則が合意形成されている状況を概説
6.環境マネジメントの概要1:
企業の環境行動:企業の地域環境対応、環境保全活動の必要性、環境マネジメントの重要性を概説経団連地球環境憲章、業界団体の自主行動計画、CERES原則等を調査し、問題点を分析、EMSやLCA等の、環境マネジメント上有効な種々の手法を調査して分析、ISOの活動内容、そして環境マネジメント規格群の成立経緯を概説
7.環境マネジメントの概要2:
規格要求事項を解説し、環境監査、経営層の見直し、活用方策等を概説、システム立上げ手順を概説し、中核的作業となる環境側面の抽出作業を実体験、認証取得企業の取組み事例を調査し、戦略的活用方策の必要性を検討(建設業を例に)
8.環境マネジメントに関わるツール1:
ライフサイクルアセスメント:LCAの作業内容の概要と、インベントリ分析用環境負荷原単位を概説、インパクト分析の方法や、単一指標による比較検討事例を分析(建設業を例に)
9.環境マネジメントに関わるツール2:
環境価値評価法:許容値基準や目標との距離、保護対象の被害算定等各種統合評価手法を調査分析、環境負荷の貨幣価値換算手法の適用例をいくつか示し、問題点を分析(建設業を例に)
環境リスク評価法:リスク評価手法を概説し、評価事例や損失余命算出方法等を紹介して分析(建設業を例に)
10.環境マネジメントに関わるツール3:
環境会計概説と環境コミュニケーション:環境経営に使う環境会計に関し、環境省や経済産業省によるガイドを概説、
環境ラベルとパフォーマンス規格:規格の必要性、規格の内容と対応事例を解説して分析、環境報告書等を分析し、その構成や取扱を事例研究するほか、マスコミの取り扱いを分析、
CSRと環境:歴史的展開と現状、国際的動向と日本経済界の対応、環境との関係を概説(建設業を中心に)
11.持続可能な社会と建築(低炭素社会と建築):
省エネと新エネ活動の位置づけ、具体的方策、そして活動の効果を調査分析、
12.持続可能な社会と建築(循環型社会と建築):
企業活動より排出される産業廃棄物の処理状況と、企業のリスクについて概説
13.持続可能な社会と建築(自然共生社会と建築)
14.学習成果の確認(レポート提出)

<成績評価方法及び水準>
講義における課題レポート(3回)及び討議参加状況により評価。評価の割合は、レポート8、討議参加状況2

<教科書>
・配布資料

<参考書>
・レイチェル・カーソン:沈黙の春、新潮文庫、1991
・メドウズ他:ローマ・クラブ「人類の危機」レポート 成長の限界、ダイヤモンド社、1972
・地球環境研究会編:5訂 地球環境キーワード事典、中央法規、2008

<オフィスアワー>
講義後に質問、意見を受け付けます。
上記時間外でも随時質問を受け付けます。メールでの質問も可。
urushizaki.noboru@obayashi.co.jp

<学生へのメッセージ>
地球規模の環境問題がクローズアップされており、あらゆる分野の活動にとって、重大な要件になっています。これからの皆さんの活動・仕事が、持続可能な社会づくりに影響を与えることが考えられます。この講義で、環境問題の現状認識、要因などの分析及び理解力を身につけ、専門分野に役立ててもらいたい。


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