2016年度工学院大学大学院・機械工学専攻

機械振動学特論(Advanced Mechanical Vibrations)[4601]


2単位
大石 久己 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/19

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
 機械構造物の振動を取り扱う場合,問題とする現象に応じて,1自由度系から連続体までどのように取り扱うか考える必要がある.そのため本講義では,機械振動学の基礎を踏まえて,連続体の振動まで代表的な例を取り上げ,基礎理論,解法,特性について演習を交えて学習する.以下に具体的な努力目標を示す.
(1) 運動方程式の求め方と,振動問題の取り扱いについて理解する.
(2) 多自由度系への展開を理解し,行列表現を習得する.
(3) 固有値問題と解法を習得し,モード解析を理解する.
(4) 連続体の運動方程式の求め方を理解する.
(5) 連続体の運動方程式の解法を理解し,固有振動数と固有モードについて習得する.
(6) ラプラス変換などの解析法を習得する.

※システムデザイン専攻の履修者については以下が適用される。

(JABEE学習・教育到達目標)
「システムデザインプログラム」
(A)工学関連分野の原理・原則に関する深い知識と応用力を身につけた人材を育成します:◎

JABEE基準1の(2)の内容
(c),(d):◎
(b),(e),(g):○

<授業計画及び準備学習>
1. 授業ガイダンスと機械システムの力学現象の理論的取り扱い方
 授業ガイダンスを行い,力学現象を取り扱うための基礎的な準備を行う.
[準備]シラバスを事前に読み,学部で学習した関連内容(力学,機械力学,材料力学等)を確認,整理しておく.
[復習]授業内容を確認し,理解不十分な点を補い,力学現象の基礎を再度整理し,課題1(三角関数と指数関数)を行う.

2. 振動の基礎から多自由度系の復習1(1自由度系から2自由度系)
 1自由度系の解法と2自由度系への展開を示し,行列表現を学習する.
[準備] 配付資料の事前確認を行い,1自由度系の運動方程式の考え方と解法を確認する.
[復習]運動方程式の解法を確認し,理解不十分な点を補い,行列の考え方を整理する.課題2を行う.

3. 振動の基礎から多自由度系の復習2(2自由度系から多自由度系)
 2自由度系から多自由度系への展開を示し,固有値問題について学習する.
[準備] 2自由度系の考え方をまとめ,多自由度系への展開の資料を確認する.固有値問題についての学習内容を確認しておく.
[復習] 授業内容を確認し,理解不十分な点を補い,行列の考え方を整理する.1自由度系,2自由度系の解法を十分に理解する.課題2の弦の4,5自由度モデルの振動数方程式と物理的意味を確認し,課題2を完了する.

4. 多自由度系から無限自由度系の復習
 多自由度系から無限自由度系への展開を示し,無限自由度系の運動方程式と意味を学習する.
[準備]配付資料の多自由度系から無限自由度系の展開を事前確認する.
[復習] 授業内容を確認し,理解不十分な点を補う.無限自由度系の理解のために課題3(波動方程式における進行波,後退波の物理的意味の確認)を行う.

5. 波動方程式の解
 無限自由度系の運動方程式の解法について学習する.また棒の縦振動とねじり振動の運動方程式への適用を図る.
[準備]配布資料の無限自由度系の振動と運動方程式を事前に確認しておく.
[復習] 課題3(自由―自由の棒の縦振動の振動数方程式,固有振動数,固有モード)を行う.

6. はりの運動方程式の導出1
 はりの運動方程式の導出の考え方を示し,並進の運動方程式を学習する.
[準備]課題4を行い,双曲線関数の理解を深める.また,はりの運動方程式の内容を確認する.
[復習] はりの運動方程式の考え方を確認し,式の導出を整理し次回の授業の準備をする.課題3を完了する.

7. はりの運動方程式の導出2
 回転の運動を示し,はりの運動方程式を導出し,無次元化について学習する.
[準備] はりの運動方程式の導出を整理し,教科書を確認して,次回の授業の準備をする.
[復習] 課題5(運動方程式の導出の確認)を行い,はりの運動方程式の導出をまとめ,理解を確実にする. また,無次元化の確認し,理解を深める.

8. はりの運動方程式の解法と境界条件
 はりの運動方程式の解法を示し,境界条件を整理して振動数方程式の意味と,固有振動数と固有モートを学習する.
[準備]教科書のはりの運動方程式の解法を確認し,次回の授業の準備をする.
[復習]課題5-2(境界条件と振動数方程式)を行い,理解を確認する.

9.初期条件と強制振動
 固有モードの直交性を確認し,はりの運動方程式に対する初期条件の取り扱いと強制振動について学習する.
[準備]教科書を確認し,次回の授業の準備をする.
[復習]課題5-2(図式解法と固有モードの直交性)を行い, 固有モードの直交性を確認し,初期条件と強制振動の考え方を理解する.

10. ラプラス変換による連続体の解法1
 はりの運動方程式のラプラス変換による解法を学習する.
[準備]ラップラス変換の基本事項を確認しておく.また教科書を確認し,次回の授業の準備をする.
[復習] 時間と空間のラプラス変換の考え方を整理(課題6-1)し,理解不十分な点を補う.

11. ラプラス変換による連続体の解法2
 ラプラス変換による解法のまとめと周波数応答関数の考え方を示す.また質量や支持部の負荷された応用問題への適用について学習する.
[準備]ラプラス変換の考え方を整理し,理解不十分な点を補っておく.
[復習]課題6-2の内容を確認し,はりの運動方程式に対するラプラス変換による解法をまとめ,応用的な問題への対応を理解する.

12. ラプラス変換による連続体の解法3
 中央に集中質量のあるはりのラプラス変換による解法を整理し,振動数方程式を求める.また,その解を求めるためのグラフを示し,その物理的な意味を考察する.
[準備]授業の内容を整理して課題6-1と6-2を実施し,不明な点を明らかにしておく.
[復習]課題6-2:ラプラス変換による解法

13. ティモシェンコはりとレーレー法とリッツ法の確認
 ティモシェンコはりや,レーレー法とリッツ法による解法について示し,実際のはりの問題について学習する.
[準備]配付資料を確認し,授業の準備を行う.また,課題6の不明点を解決し,課題を完成させる.
[復習] 授業の内容を確認し,不明な点を補う.

14.授業の振り返り 
 今までの授業内容と課題を確認する.さらに,不十分な点を補い,理解を十分なものとする.
[準備]今までの授業と課題の内容を確認し,不十分な点を補う.
[復習]課題内容を最終確認し,理解を十分なものとする.

<成績評価方法及び水準>
授業中に課す課題と最終課題の結果を評価し,60点以上に単位を認める.

<教科書>
吉沢正紹他共著 機械力学 (朝倉書店)
三浦宏文他共著 機械力学 機構・運動・力学(朝倉書店)

<参考書>
川井忠彦,藤谷義信 振動および応答解析入門 培風館
辻岡康著 機械力学(サイエンス社)
北郷薫,露木洋二共著 振動学(森北出版) ほか

<オフィスアワー>
木曜日18:30〜19:15新宿キャンパス高層棟1772室または1863室(機械力学研究室).これ以外でも,1772室前の質問用紙(記入例に従って記入)で対応可.

<学生へのメッセージ>
 大学で学習した機械力学や機械振動学の内容(他大学においても同様の内容の科目が設置されていると思われる)を踏まえて学習する.しっかり復習しておくこと.特に,力学の基礎と,1自由度系の振動が基礎となるので重要である.また,演習課題を課すので,自分の理解度を確認し,より理解を深めてもらいたい.問題を解き,分かったところと分からなかったところを確認し,次の授業に備えてもらいたい.


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2016 Kogakuin University. All Rights Reserved.