2016年度工学院大学大学院・機械工学専攻

バイオメカニクス特論(Advanced Course of Biomechanics)[3401]


2単位
橋本 成広 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2018/12/19

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
[授業のねらい]
 近年は,人工臓器に代表されるような,生体の一部の機能を代行する機械が開発されている。人工臓器をデザインするには,代行すべき生体機能がわかっていなければいけない。さらに,機械の設計には,定量的な仕様書が必要である。しかし,生体の機能に関しては,定性的な究明と比べて,定量的な把握については十分とは言い難い。疾患の治療に対する経験ほどには,「生体の標準機能に基づくような人工臓器のデザイン」に役立つ情報は集められていない。逆に,人工臓器開発の試行錯誤の過程で,生体を工学的に解明することによって生体の機能が明確になるという側面がある。生体から,新たな機械を開発するためのヒントが得られるかもしれない。
 現代の医療現場では,様々な機器が導入されている。しかし,その機器の特性と生体の特性を同時に理解していないと,機器が生体へ適切に使用されない危険性がある。生体と機械との共存・協調を追求することは,生体に適用される機器の改良につながる。
 バイオメカニクス分野の研究成果は、医療における人工臓器・医療機器などの新しい装置の開発に結びつくのみならず、生体機能の発見・解明に結びついたり、生体機能の模倣が工学技術の発展に結びついたりすることもある。
 バイオメカニクス分野の学習を通じて、力学を実際のモノづくりに応用するためのデザイン能力を養成する。

[具体的な到達目標]
(1)機械と比較しながら,生体(人体)を工学的に解析できる。
(2)生体に適用される機械・医療機器に関連して,生体と機械との共存・協調における問題点を考えることができる。

<授業計画及び準備学習>
1.バイオメカニクス周辺の学問体系
2.生体計測:心電図・生体インピーダンス・レーザー・MRI
3.生体組織の変形、材料試験
4.生体組織の破壊(赤血球破壊)、拍動流ポンプにおける流量制御
5.静水圧:シャント、カニューレ、粘弾性、人工心臓の血液循環系との接続
6.血液流れの抵抗、血栓形成度試験
7.赤血球の変形、レオスコープ
8.細胞に対する流れの影響、拍動流、乱流
9.生体に対する電場・磁場の影響
10.赤血球の凍結保存、ガス交換と人工肺、浸透圧
11.関節まわりの力学、生体システムと脳死
12.摩擦と界面、血栓形成、摩耗・潤滑と関節、設計とマイクロ加工
13.新しい人工臓器の提案レポート
14.学習内容の振り返り

<成績評価方法及び水準>
毎回提出の予習レポートにより評価し、総合点数60点以上を合格とする。

<教科書>
生体機械工学入門:橋本成広著(コロナ社)

<参考書>
人工心臓における血栓形成・血球破壊に対する流速効果に関する研究:橋本成広著(東京工業大学博士論文)
生体システム工学入門:橋本成広著(東京電機大学出版局)
生体計測工学入門:橋本成広著(コロナ社)
機械工学便覧β8生体工学(日本機械学会編)

<オフィスアワー>
八王子:水曜日5時間目:教員室
新宿:木曜日14:00-15:00:教員室
その他、授業の前後に教室か教員室で対応。
shashimoto@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
具体例に触れるだけでなく、「力学を中心とした工学を適用して生体の機能を理解する」ための工学基礎の確認を心がけて欲しい。


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