2015年度工学院大学大学院・システムデザイン専攻

社会システムデザイン特論(Advanced Lecture on Social Systems Design)[5510]


2単位
曽根原 登 非常勤講師  
一藤  裕 非常勤講師  
田中 優子 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/10/17

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
インターネットとWebのネットワークを介して収集される大規模で複雑なデータに基づいた社会システムデザイン手法は、技術開発やビジネス化の手法や方向性に変革をもたらしている。高度な『情報技術(IT: Information Technology)、情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)』によって、あらゆる情報機器やセンサがネットワークへ接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも、誰でもが、どこからでもアクセスすることが可能になりつつある。現実社会の情報をWeb空間に投影して解析を行い、リアルな人や物に対してフィードバックを返すことで新たな価値を生み出す『知の循環』基盤の実現は、これからの社会システムデザインの課題である。本『社会システムデザイン特論』では、現実社会と情報世界が融合した社会で、『知的情報産業、知識サービス産業』に必要となる『技術と市場、社会規範と法制度』が連携する『ICT社会システムのマネージメント』の方法論を習得する。また、コミュニケーションにも焦点を当てながら,人間の情報処理プロセスの基礎概念の理解を促す。これらの過程を通し、新たな『社会のイノベーション』の誘発に不可欠な『ICT社会システムデザイン能力』や『ICT社会システムのマネージメント能力』を身につけることを教育目標とする。

<授業計画及び準備学習>
第1回 社会システムデザイン特論のガイダンス(4/10)
キーワード:IT・ICT技術と社会、第4の科学データ中心科学、ビッグデータとオープンデータ、データ駆動IT・ICTイノベーション、クラウドソーシング、データ中心観光・防災政策科学など

第2回 IT・ICT技術と社会システム(4/17)
キーワード:デジタル技術とメタデータ、ICT社会のガバナンス、デジタル権利流通

第3回 融合社会のプライバシー(4/24)
キーワード:プライバシー保護と個人情報活用、個人データの匿名化技術

第4回 融合社会のセキュリティ(5/1)
キーワード:ネット犯罪、EC(電子商取引)サイトの信頼性評価、リスク評価

第5回 Webデータ駆動観光・防災政策決定支援システム(5/8)
キーワード:Web予約データ,ビッグデータ,統計データ,政策科学

第6回 ライフログの利活用と課題(5/15)
キーワード:個人情報,心理的抵抗,インセンティブ

第7回 IT・ICTを活用した医療情報連携(5/22)
キーワード:救急医療と緊急医療、医療情報連携システム

第8回 人間の情報処理プロセス(5/29)
キーワード:記憶,意思決定,認知バイアス,ヒューマンエラー

第9回 融合社会システムにおける情報の信頼性(6/5)
キーワード:災害情報とデマ,心理的要因,ソーシャルメディア

第10回 融合社会のクラウドソーシング(6/12)
キーワード:集合知,クラウドソーシング,問題解決

第11回 情報化社会のメディアリテラシー(6/19)
キーワード:批判的思考,リスク認知

第12回 ソーシャルビッグデータ利活用のためのクラウドシステム (6/26)
キーワード:情報収集,データ分析

第13回 携帯端末のロケーションプライバシー(7/3)
キーワード:ログ解析,位置情報

第14回 融合社会システムデザイン演習(7/10)

第15回 発表会・評価・フィードバック(7/17)

<成績評価方法及び水準>
融合社会システムデザインの研究開発計画の策定ならびにプレゼンテーション演習を実施し、60点以上を合格とする。社会システムデザイン能力評価は、社会の要請の分析、問題点の抽出、問題解決のアイデア創出、訴求点の明確化、社会インパクトの想定において、上記の評価基準を満たせば達成される。

<教科書>
(1) 教科書は、ガイダンス後希望者に配布します。
@ 曽根原,他「ビックデータ時代のライフログ」,東洋経済新報社,2012

<参考書>
(2) 学術論文や準備学習資料は事前の講義で配布します。
@ 曽根原, “<フェローからのメッセージ> 人間中心のサイバーフィジカル融合社会のためのIDデータコモンズ提案”, 電子情報通信学会 情報・システムソサイエ ティ誌, 第17巻 第4号(通巻69号)
A 一藤 裕, 曽根原 登, “Webデータ駆動型の社会システムレジリエンス評価のための可視化手法”, 電子情報通信学会論文誌(情報・システムD), Vol.95, No.5, May 2012, pp.1100-1109.
B Yuko Tanaka, Yasuaki Sakamoto, & Toshihiko Matsuka (2013). Toward a social-technological system that inactivates false rumors through the critical thinking of crowds. Proceedings of the 46th Hawaii International Conference on System Sciences, IEEE, 649-658.

<オフィスアワー>
毎週金曜日 工学院大学大学院 18時から19時(アポイント必須:sonehara@nii.ac.jp)
金曜日以外 〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2 18F 国立情報学研究所 1801 曽根原研究室

<学生へのメッセージ>
高度に進歩したICTによって、あらゆる情報機器やセンサがネットワークへ接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも、誰でもが、どこからでもアクセスできるようになりました。一方で、これらが人間のコミュニケーションにもたらす新たな弊害も生じています。そのため、インターネットやWeb空間に投影された現実社会の情報をうまく集め、解析して、人間・社会の問題を解決できるような社会システムデザイン技術は今後ますます重要になります。このような新たな領域で、世界をリードする社会システム科学者や情報循環サービス科学者のパイオニアを目指しましょう。


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