建築実務特論（Professional Practice）[0009]

＜授業のねらい及び具体的な到達目標＞

現在、我が国の大学における建築教育の中で、特に建築家になるための実務教育が欠けている。　主立った設計事務所では、新入社員に対して特に研修期間を設けるか、また見習い期間を１年以上もとらなければ組織として機能しないとまで言われている。特に近年建築家の国際的な資格制度がクローズアップされており、現在ＵＩＡが中心になって建築家の資格を共通の基盤で定義し、その上で建築家の資格をお互いに認証しあい、プロフェッショナリズムに関する国際的な障壁をなくしていこうとしている。相互が認証しあう制度になれば、大学における建築家教育も国際的な教育制度として見直されるべきである。

具体的には本講座開設の主旨として次の５項目が上げられる。
◆大学院教育における専門教育の充実と、実務建築家の教育への参加
◆大学院教育における専門職業教育課程の確立
◆異なる大学間の教科単位の相互認証
◆学部終了後、大学院入試前における実務訓練と経験
◆設計事務所における設計課題演習の実施

＜授業計画及び準備学習＞

この講座は、工学院大学・芝浦工業大学・東京都市大学・東京電機大学の４工大が中心となって１３年前に始まった。その後、日本大学・法政大学が加わり、現在は６大学の各大学院における共通講座として開設されたユニークな合同プログラムである。特に、日本を代表する大手組織事務所の第一線で活躍する約２０名の建築家を中心として、最新の情報にささえられた実務教育が受けられる。
■今年度も７月下旬の５日間に開催予定。＜詳細は開講直前に決定する＞
■実施プログラムは、過去の例を次に示す。＜担当者及び内容等は変更される予定＞

1.本講座開設の主旨及び設計者の役割　　　　　　　　　　日建設計　都市建築研究所　
2.建築設計と法規　防災計画　　　　　　　　　　　　　　　　　日本設計　情報技術センター
3.各種開発手法（再開発、特定街区、総合設計）　 　　　 久米設計　技術法規部　
4.建築デザインについて１　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山下設計　設計本部
5.設備設計（環境問題と設備計画）地球環境と設計者の役割 日建設計　環境計画室
6.建築デザインについて２　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日建設計　
7.現場見学　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 日本設計・山下設計　
8.建築デザインについて３　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本設計　プロジェクト統括本部
9.構造計画　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 久米設計　構造設計部　
10.現場見学　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 日建設計・久米設計　担当現場
11.照明デザイン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　LPA代表
12.ランドスケープデザイン　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　日建設計　ランドスケープ室　
13.設計監理業務と設計者の役割　　　　　　　　　　 　 　　 山下設計　
14.最近の建築界のテーマ（ISO9000S,ISO14001）　 　　 　 日本設計　情報技術センター
15.建築設計とコストコントロール、工事発注方式と契約 　日本設計　コスト設計部
16.施工側から設計者に望むこと　　　　　　　　　　　　 　　 大成建設　東京支店建築部
17.建築デザインについて４　　　　　　　　　　　　　　 　　　　久米設計　　設計本部
18.ＣＭ（ＰＭ）について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　山下設計　
19.音響設計について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 日建設計　環境計画室
20.最終日：まとめ・交流会 （受講生＋講師全員＋各大学担当教員）

＜成績評価方法及び水準＞

日本建築家協会事務局が確認する出席状況と、毎回の講義レポート、ワークショップの成績により評価する。

＜教科書＞

教材・テキストは、各講師が最新の情報をもって提供する。
全受講者は、手分けして各講師と打ち合わせの上、責任を持って用意する。このことも各講師や他大学との交流につながる。

＜参考書＞

特になし

＜オフィスアワー＞

前期は、木曜日５限　新宿2677室
後期は、金曜日５限　新宿2677室
Email: sawaoka@cc.kogauin.ac.jp

＜学生へのメッセージ＞

講義は７月下旬５日間の集中講義として実施する。工事現場見学などの状況から受講人数に制限があり、欠席は許されないので希望者は注意されたい。
一応本学では、修士1年生対象講座として、2009年度改訂のカリキュラムにおける、インターンシップ対応講座である。各大学とも、約１０名程度の受講者数に限定されるので、受講希望者が多い時は別途抽選、又は学部成績評価により絞り込む場合もある。新年度、最初に希望者数の確認を行うので、掲示に注意しておくこと。
チームを組んでワークショップなどの企画もあり、楽しい大学相互の交流・懇親の良い機会となり、価値ある講座である。