2015年度工学院大学大学院・電気・電子工学専攻

光物性工学特論(Optical Properties of Solid State Materials)[2507]


2単位
吉川 明彦 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/10/17

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
エレクトロニクス分野で光デバイス・材料が多く使われている。光は物質表面・界面で反射・屈折し、また偏光特性が変化したりする。また、物質内部でも、吸収を起こし、時には偏光特性が変化し、さらには増幅されることもある。光(電子)デバイスはこれらの現象を巧みに利用して作られたものである。
電気電子工学系の学生は、光(電磁波)の反射、屈折、吸収などの現象はマクスウエルの方程式で記述されることを知っている。これは、屈折率(あるいは誘電率)が与えられた“舞台”での光の振る舞いを記述したものである。つまり、光は誘電率を介して物質と相互作用するものであり、物質の屈折率とその幾何学的形状が定まれば、光の伝搬現象は記述と理解が可能であるといえる。
 それでは、屈折率(誘電率)はどのように決まってくるのであろうか。これは光(電磁波)が物質内の電子とどのように相互作用するかによっている。可視光などの領域では、主に光(電磁波)の電界成分が寄与し、より長波長(低周波数)になると、磁界成分も寄与してくる。当然ながら、光(電磁波)は極めて広い波長範囲(つまり、広いエネルギー範囲)に及ぶので、その波長領域によって物質との相互作用の仕方は大きく異なる。
 本講義では、電気電子系の学生として、光と物質の相互作用を、幾何光学的な側面での取り扱いの復習とともに、物質内部の電子系とどのようの相互作用を起こし、それが誘電率(屈折率)としてどのように表現されるのかなど、光(電磁波)と物質の相互作用の基礎を理解できることを目的とする。

<授業計画及び準備学習>
1. 光(電磁波)は物質とどのように相互作用するのか(基礎)?
2. 光の反射、屈折、吸収(増幅)現象
3. 偏光の表示と物質の偏光特性
4. 金属・誘電体・半導体の光物性
5. 重要な光電子デバイスの特徴と原理
   ・発光デバイス(LED,LD,光変調器、光検出器など)
   ・太陽光スペクトルと太陽電池
6. いろいろな発光現象
7. 光の増幅現象

<成績評価方法及び水準>
成績評価はレポート(または試験)による。評価基準は6割以上を得点すれば合格とする。秀、優、良、可の判定は大学の基準による。

<教科書>
特に、使用しない。プリントを配布することがある。

<参考書>
光物性関係:光と物質の相互作用(光物性)の基礎的な参考書であれば何でもよい。ただし、物理現象として定性的な理解が可能な、極めてやさしい物を選んでください。
 幾何光学関係:光ファイバーや電磁気学の教科書も、光の吸収、反射、屈折をマックスウエル方程式で理解するうえで有効です。また、分光エリプソメトリの教科書も役に立ちます。

<オフィスアワー>
講義後、教授室(5号棟803号室)で。

<学生へのメッセージ>
例えば、プリズムでは、なぜ光が虹色に分かれるように屈折するのであろうか?
 典型的な金属で、金、銀、銅などはどうして青のように異なった色に見えるのであろうか?
 このようなことに興味を持つようであれば、受講してください。


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