2015年度工学院大学大学院・機械工学専攻
熱力学特論(Advanced Thermodynamics)[0005]
2単位 森棟 隆昭 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な到達目標>
- エネルギー工学、環境工学を専攻する機械技術者が必要とする熱力学・燃焼化学の知識を学ぶ。燃焼の基礎として化学反応における微分方程式の作成と解法を理解し、化学平衡計算の手法を身につける。実燃焼として往復動エンジンの熱発生シミュレーションにおける熱力学モデルを構築し、理論解析とともにPCを使用して計算実習を進め、シリンダ内の圧力,温度変化やエンジンの行う仕事を計算して排ガス中のNOx生成濃度を求める。また新エネルギーの高度利用の1つである燃料電池についてその原理と効率を求めるとともに、燃料電池自動車の開発状況と将来動向についても理解を深め、簡単な燃料電池の製作実習を行う。以上より、往復動エンジン、燃料電池のエネルギー効率および環境特性の検討のできる技術者となることを目指し、熱力学、燃焼化学に関する知識を自分のものとして修得するとともに、この分野における課題を把握し解決方法を自ら見出す能力を磨く。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 燃焼の基礎:
総括反応式、素反応、反応速度、反応生成物について学ぶ。 準備学習:教科書103〜111ページを熟読し燃焼の基礎を理解しておく。 2. 化学平衡計算: 化学平衡計算プログラムを用いて炭化水素の組成を計算、モル分率のグラフを作成する。 準備学習:教科書111〜119ページを熟読しておく。 3. 常微分方程式の解析解法: 変数分離型,同次型,一階線形微分方程式を理解し、物理現象についての微分方程式を作成する。 準備学習:常微分方程式の解法についての授業配布資料を熟読しておく。 4. 往復動エンジン1: 火花点火エンジンの熱発生シミュレーションと現象を表す微分方程式を理解する。 シリンダ内の燃焼式、燃焼質量割合、シリンダ内圧力・温度、図示仕事について学ぶ。 準備学習:教科書131〜136ページを熟読しておく。 5. 往復動エンジン2: 圧縮着火エンジンの熱発生シミュレーションと現象を表す微分方程式を理解する。 燃焼式、燃焼質量割合、着火遅れ、Wiebe燃焼過程、シリンダ内圧力・温度、図示仕事を学ぶ。 準備学習:教科書136〜139ページを熟読しておく。 6. 微分方程式の数値解析法: ルンゲクッタ法による数値解析と数値計算ソフトの使用法を学ぶ。 準備学習:微分方程式の数値解法についての授業配布資料を熟読しておく。 7. 新エネルギー1: 従来型エネルギーと新エネルギー、エネルギーの高度利用、燃料電池の概要について学ぶ。 準備学習:従来型エネルギーや今後の高度利用の方向についてインターネットで調べておく。 8. 新エネルギー2: 太陽光、風力、地熱、メタンハイドレート、CBM、シェールガスについて現状、今後の動向を学ぶ。 準備学習:新エネルギー2についての授業配布資料を熟読しておく。 9. 新エネルギー3: バイオマスエネルギー バイオガソリン、バイオディーゼルについて現状、今後の動向を学ぶ。 準備学習:新エネルギー3についての授業配布資料を熟読しておく。 10.燃料電池1: 電池の基礎、燃料電池種類と特性・開発状況、家庭用・事業所用FC状況について学ぶ。 準備学習:電池の種類、燃料電池の開発状況についての授業配布資料を熟読しておく。 11.燃料電池2: 燃料電池FCの原理、火力発電とFCの違いについて理解し、FC効率について学ぶ。 準備学習:燃料電池の原理についての授業配布資料と教科書107〜111ページを熟読しておく。 12.燃料電池3: 燃料電池と発電、H2-FC、Mg-FC、DEFC-DMFC、触媒、FCコストについて理解する。 準備学習:各燃料電池の特性、効率についての授業配布資料を熟読しておく。 13.燃料電池4: 日本のFCV開発の現状、JHFC、BPSの高圧容器実験、水素ステーションについて学ぶ。 準備学習:日本の燃料電池についての授業配布資料を熟読しておく。 14.燃料電池5: 欧米、アジアにおけるFCV開発状況、CaFCP、CUTEプロジェクトについて学ぶ。 準備学習:欧米、アジアにおける燃料電池開発状況についての授業配布資料を熟読しておく。 15.燃料電池6: 燃料改質による水素製造、吸蔵合金、HBタンクについて学び、MgFC車の作製実習を行う。 準備学習:水素製造・貯蔵についての授業配布資料を熟読しておく。
- <成績評価方法及び水準>
- 毎時間の演習、レポートの提出により採点・評価する。
- <教科書>
- JSMEテキストシリーズ 熱力学 日本機械学会(丸善)
- <参考書>
- エンジンー熱と流れの工学― 是松孝治、森棟隆昭 編著:産業図書
機技術者のための熱力学、熱力学教育研究会編、産業図書
- <オフィスアワー>
- 夏季集中講義期間中の前後に講師室、授業教室等で質問を受付ける。
メール morimune_kyjky@yahoo.co.jp でも随時受付
- <学生へのメッセージ>
- 受講時できるだけノートPCを持参してください。
Mg燃料電池車モデルの製作が体験できます。
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