2014年度工学院大学大学院・システムデザイン専攻
社会システムデザイン特論(Advanced Lecture on Social Systems Design)[5510]
2単位 曽根原 登 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な到達目標>
- インターネットとWebのネットワークを介して収集される大規模で複雑なデータに基づいた社会システムデザイン手法は、技術開発やビジネス化の手法や方向性に変革をもたらしている。高度な『情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)』によって、あらゆる情報機器やセンサがネットワークへ接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも、誰でもが、どこからでもアクセスすることが可能になりつつある。現実社会の情報をWeb空間に投影して解析を行い、リアルな人や物に対してフィードバックを返すことで新たな価値を生み出す『知の循環』基盤の実現は、これからの社会システムデザインの課題である。本『社会システムデザイン特論』では、現実社会と情報世界が融合した社会で、『知的情報産業、知識サービス産業』に必要となる『技術と市場、社会規範と法制度』が連携する『ICT社会システムのガバナンス』の方法論を習得する。その過程を通し、新たな社会のイノベーションの誘発に不可欠な『ICT社会システムデザイン能力』や『ICT社会システムのガバナンス能力』を身につけることを教育目標とする。
(JABEE学習・教育到達目標) 「システムデザインプログラム」 (C)文献・実地調査,仮説の設定と検証などを行う能力をもち,さらに,技術的問題を分析し,課題を設定・解決できる技術者・研究者を育成します:◎ (D)国際的にも通用するコミュニケーション力,リーダーシップなどの社会・人間関係スキルをもつ技術者・研究者を育成します:◎
JABEE基準1の(2)の内容 (g):◎ (a),(c),(d),(e),(f),(h),(i):○
- <授業計画及び準備学習>
- 《教科書・事前学習資料など》
学術論文や準備学習資料などは事前の講義で配布します。 《講義予定》 [1]4月11日(金)社会システムデザイン特論のガイダンス ■情報通信技術と社会システム、 [2]4月18日(金)ICT社会システムの構成 ■デジタル技術、メタデータ、情報流通 [3]4月25 日(金)ICT社会システムのガバナンス1 ■技術と市場、法制度と社会規範、所有と利用 [4]5月2日(金)ICT社会システムのガバナンス 2 ■著作権、DRM(Digital Rights Management)とDRE(Digital Rights Expression) [5]5月9日(金)ICT社会のセキュリティ1 ■情報の信頼性、EC(電子商取引)サイトの信頼性評価 [6]5月16日(金)ICT社会のセキュリティ2 ■電子認証基盤、認証連携、情報サービスの国際流通 [7]5月23日(金)ICT社会のセキュリティ3 ■ネット犯罪、ECサイトのリスク推定、情報リテラシ [8]5月30日(金)ICT社会のプライバシー1 ■プライバシー保護と個人情報活用、SNS(Social Networking Service)のプライバシー [9]6月6日(金)ICT社会のプライバシー2 ■個人データの匿名化技術とデータの利活用の両立 [10]6月13日(金)ICT社会のプライバシー3 ■緊急医療情報連携、PHR(Personal Health Record) [11] 6月20日(金)ICT社会システムの3点セット(志、社会要請、訴求点) ■所有と利用、プライバシー保護と利活用のレポート作成 [12]6月27日(金)ICT社会システムの3点セット(志、社会要請、訴求点) ■所有と利用、プライバシー保護と利活用のレポート作成 [13]7月4日(金)ICT社会システムの3点セット(志、社会要請、訴求点) ■所有と利用、プライバシー保護と利活用のレポート報告会 [14]7月11日(金)ICT社会システムの3点セット(志、社会要請、訴求点) ■所有と利用、プライバシー保護と利活用のレポート報告会 [15]7月18日(金)ICT社会システム・アセスメント
- <成績評価方法及び水準>
- 最終回に、融合社会システムデザインの研究開発・事業化計画の策定演習を実施し、60点以上を合格とする。技術と市場、社会規範と法制度が連携する社会システムデザイン能力は、上記の評価基準を満たせば達成される。
- <教科書>
- (1) 教科書は、ガイダンス後希望者に配布します。
1.安岡,曽根原,他「ビックデータ時代のライフログ」,東洋経済新報社,2012
(2) 学術論文や準備学習資料は事前の講義で配布します。 1.曽根原, “<フェローからのメッセージ> 人間中心のサイバーフィジカル融合社会のためのIDデータコモンズ提案”, 電子情報通信学会 情報・システムソサイエ ティ誌, 第17巻 第4号(通巻69号) 2.曽根原「情報循環システムとソーシャルウエア”」,電子情報通信学会通信ソサエティマガジン, 2009夏号,No.9,pp.29-38, 2009.06 3.曽根原「IDライフサイクル評価によるECサイトのリスク・レーティング・システム 」, JISTEC REPORT,1月発行vol.74号, 2010 4.曽根原「メディア技術と社会 〜情報循環メカニズムとメディアウェアの研究開発〜」,映像情報メディア学会誌 学会創立60周年記念特集, 2010年1月号 5.レッシグ,曽根原他「TEAM Digital Commons - ネットワークコンテンツ流通革命による市場活性化計画」, NTT技術ジャーナル,Vol. 16, No. 4, pp. 30-35, 2004. 6.釜江,曽根原他「ディジタルコンテンツ販売のための開示度と料金の設定」,電子情報通信学会論文誌,D Vol.J91-D No.1,pp.12-22,2008 7.渡辺,曽根原他「ユーザ調査に基づくWebサイト信頼性評価モデルの検討」,ヒューマンインターフェイス学会論文誌,Vol.10, No.4, pp.403-415, Nov.2008. 8.渡辺,曽根原他「情報流通のための情報の信頼性」,人工知能学会誌,Vol.23, No.6, pp.775-782, Nov.2008 9.渡辺,曽根原,「ICT社会のガバナンス−技術と社会の調和に向けたICT政策」,通信ソサイエティマガジンNO.2 .秋号 pp.108-116, 2007
- <オフィスアワー>
- 毎週金曜日 工学院大学大学院 18時から19時
金曜日以外 〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2 18F 国立情報学研究所 1801 曽根原研究室
- <学生へのメッセージ>
- 高度に進歩したICTによって、あらゆる情報機器やセンサがネットワークへ接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも、誰でもが、どこからでもアクセスできるようになりました。インターネットやWeb空間に投影された現実社会の情報をうまく集め、解析して、人間・社会の問題を解決できるような社会システムデザイン技術は今後ますます重要になります。このような新たな領域で、世界をリードする社会システム科学者や情報循環サービス科学者のパイオニア目指しましょう。
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