2014年度工学院大学大学院・電気・電子工学専攻

リモートセンシング特論(Remote Sensing , Advanced Course)[1402]


2単位
稲村  實 非常勤講師

最終更新日 : 2014/10/01

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
 リモートセンシングの本質は環境因子に関係する物理パラメータの間接計測や同定です。そしてリモートセンシングは典型的な学際的な技術です。講義では人工衛星や航空機からの地球環境や他の惑星を観測するリモートセンシングの中核部分を論じます。特に大気や地上・海洋対象物と電磁波との相互作用と遠隔計測、多次元リモートセンサの原理・構成と不可視情報の画像化、リモートセンシング多次元画像の解析手法、リモートセンシングにおける逆問題、ミクセルの処理や超解像などの現在進行形の問題とその解決法、考え方を理解します。

<授業計画及び準備学習>
 講義回数の1/4を下記(A)、2/4を(B2)、3/4を(B1)とし、4/4を(B3)or(B4)から学生の関心と専攻を考慮して選択し、概要または詳細を講義する。また、必要に応じて最近の論文を解説する。なお、下記の(PDF)は、講義資料をPDFにより提供する事を意味する。

(A)一般・基礎
 ・日本のリモートセンシング研究の黎明期 (PDF) 、年表 (PDF)
 ・間接計測の方法(順問題・逆問題・同定問題) (PDF)
 ・電磁波の大気透過特性 (PDF)
 ・リモートセンシングセンサ
 ・熱赤外画像
 ・マイクロ波画像(合成開口レーダ、走査型マイクロ波散乱計)
 ・波動応用画像計測の例
 ・分光スペクトル利用間接計測の例
 ・正規化植生指数(NDVI)による植生評価(植生活力度とCO2吸収能力)

(B)リモートセンシングと多次元画像処理
(B1)代数的画像処理(テンソル代数による多次元画像処理論)
 ・線形演算処理はミクセルデータの処理に相性が良い
 ・多次元(多重分光)画像のベクトル表現、ベクトル画像の内積 (PDF)
 ・Grassmann代数(外積代数)、ベクトル画像の外積画像 (論文等)
 ・ミクセルデータのカテゴリー分解 (PDF)
 ・可視画像と熱赤外画像との混合画像演算 (PDF)

(B2)統計的画像処理(統計的パターン認識の手法など)
 ・ベイズ推定と原因の確率 (PDF)
 ・涙なしの主成分分析 (PDF)
 ・正規分布・モーメント・最尤推定 (PDF)
 ・最尤法、線形判別関数法、ユークリッド最短距離法 (PDF)
 ・Binary Decision Tree 法とその一般化(PDF)
 ・カーネル学習、Support Vector Machine

(B3)幾何学的画像処理(画像の微分幾何学、画像多様体など)
 ・フラクタル幾何学とくりこみ群の理論のリモートセンシング画像処理への応用 (PDF)
 ・画像の再構成と低分解能画像の分解能改善 (PDF)
 ・サブピクセルシフト多重観測画像による超解像画像再構成 (PDF)
 ・リモートセンシングのための幾何学的画像処理論 (PDF)

(B4)その他のデータ処理手法
 ・サブピクセルシフト多重画像の超解像再構成 (論文等)
 ・多様体学習と画像多様体、非線形次元削減法 (論文等)
 ・関数の極小値探索とニューラルネットワーク (PDF)
 ・独立成分解析・ブラインドソースセパレーション VS. 因子分析 (PDF)
 ・甘利俊一教授の「行列空間のリーマン幾何学と自然勾配法」について (PDF)

<成績評価方法及び水準>
成績は講義での質疑と課題のレポート提出やその内容によって評価する。

<教科書>
 自家製「稲村ノート」やプリント、OHP、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページ・パンフレット等を適時、使用する。

<参考書>
「わかる画像工学(赤塚、稲村、桂井 共編著)」(日新出版)
「リモートセンシング概論(土屋清 編著)」(朝倉書店)
「リモートセンシングの基礎(久世、飯倉、竹内、吉森 共訳)」(森北出版)

<オフィスアワー>
オフィスアワー:月曜日 講義前30分、講義後30分を新宿校舎12階講師室。
なお、上記時間外でも随時質問を受け付けます。メールでの質問も可。
メールアドレス:inamura@pk2.so-net.ne.jp, inamura@el.gunma-u.ac.jp

<学生へのメッセージ>
 本講義では主にリモートセンシングについて述べるが、宇宙からのリモートセンシングに使われている各種技術は不可視情報の画像化、画像計測等を含む高度な非接触医用・産業用画像計測として応用範囲の広い、重要な先端技術の宝庫でもあります。地上現場の画像計測ではまだ一般化していない未来技術が沢山あります。リモートセンシングの手法や考え方が、いつか別の技術開発で大いに役立つ筈です。

 

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