2013年度工学院大学大学院・情報学専攻

オペレーティングシステム特論(Advanced Topics in Operating Systems)[0015]


2単位
清水 謙多郎 非常勤講師

最終更新日 : 2014/02/13

<授業のねらい及び具体的な到達目標>
オペレーティングシステムは,コンピュータのハードウェアを直接操作する最も基本的なソフトウェアであり,コンピュータ資源を管理し,それらが効率的に利用できるようにするとともに,コンピュータ資源をコンピュータ利用者あるいは他のソフトウェアにとって使いやすいものにする。そのため,オペレーティングシステムの概念と機構を理解するには,外部からの利用と,内部設計の両方を学ぶ必要がある。オペレーティングシステムに関わるアイディアの多くは,並行プログラミングなど,コンピュータ科学の分野全般にわたって適用できるものである。内部設計を学ぶことは,アルゴリズムの設計と実現,最新のデバイス開発,仮想環境の構築,ウェブプログラミング,セキュアで安全なシステムの構築,ネットワーク管理など広範な分野に関係する。この授業では,プロセスの構造とスケジューリング,プロセス間の同期と通信,デッドロック,仮想記憶,ファイルと入出力,性能評価などのオペレーティングシステム(OS)の重要なテーマについて専門的な知識を論じる。また,OSの構成法(マイクロカーネル,オブジェクト指向など),マルチプロセッシング技術,リアルタイム処理技術,分散処理技術,情報セキュリティなどについて,最近の研究を踏まえ,その理論と実際を論じる。できるだけ多くのケーススタディを紹介するが,単に知識を覚えるのではなく,なぜ現実のシステムでこうした技術が用いられ発展してきたか,またその基盤にある基本的な考え方は何かを理解してもらうことが重要である。

<授業計画及び準備学習>
授業は以下の項目について順次解説する。
1. コンピュータの利用形態とOS
2. プロセスの構造とスケジューリング
3. プロセス間の同期
4. プロセス間通信
5. デッドロック
6. 仮想記憶
7. ファイル
8. 保護とセキュリティ
9. 割込みと入出力
10.仮想化とOSアーキテクチャ
各項目について,基礎的な理論から,実際のOS(Unix系OS,Windows,メインフレームのOS,並列OS,リアルタイムOS, 仮想化など)で用いられている技術,現在の研究動向まで,幅広く,また今後重要となってくると思われる技術については,最先端の研究内容に至るまで詳しく論じる予定である。

<成績評価方法及び水準>
授業の出席点と,授業の最終日に実施する試験の評点によって成績をつける。試験は,基礎的な考え方を問うもので,授業で配布した資料を持ち込み可とする。

<教科書>
授業の際に自作の資料を配付する。特定の教科書は使用しない。

<参考書>
1. 清水謙多郎:オペレーティングシステム,岩波書店,1992.
2. A. Silberschatz, P. Galvin and G. Gagne: Operating System Concepts, 8th Edition, John Wiley & Sons, 2010.
(土居範久監訳, 大谷真, 加藤和彦, 光来健一, 清水謙多郎, 高田眞吾, 高田広章, 千葉滋, 野口健一郎訳: オペレーティングシステムの概念, 共立出版, 2010.(7th Editionの翻訳, 米国の大学で最もよく使われている教科書)

<オフィスアワー>
授業に対する質問・意見はメールで随時受け付けます。shimizu@bi.a.u-tokyo.ac.jp

 

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