2012年度工学院大学大学院・システムデザイン専攻

ブランド開発特論(Brand Development for Engineer)[5702]


2単位
呉 慶和 非常勤講師

最終更新日 : 2012/11/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
すでに社会で活躍している技術者、これから社会で活躍することが期待される学生に対して、具体的事例を基に、技術シーズから製品を開発した後に、市場(顧客×ニーズ)を開発し、それをブランドとして定着させていくための考え方と手法を身につける。また、市場導入されたブランドのメンテナンス(維持・育成)についてもその考え方・手法を学ぶ。
具体的な達成目標としては、市場を客観的に把握できる能力を開発するとともに、コンセプトメイキングスキルの習得を図る。特に、プロダクトマネージャーとして、実社会でブランド開発チームを動かしていける能力・スキルを身につける。

<授業計画及び準備学習>
1. ブランドとは何か
(1) 製品と商品の違い/商品価値の構造
商品価値の時代といわれる現代において、商品価値とは何なのか、ブランドとの関係で何が重要なのかを把握します。
(2) 実例に見るブランドを構成する要素
具体的な事例でブランド価値は何によって構成されているかを学ぶとともに、今後の市場においてブランド化していく可能性のある領域とその要素についてグループでディスカッションを行う。
コンセプトとは何かについて学ぶとともに、コンセプトの共有化に向けての手法を身につける。
特に「言葉」に着目し、個人(開発者)の暗黙知であるコンセプトを組織の形式知として昇華させていくことを考える。
(3) ブランドコンセプトの開発 2魅力の可視化
ブランド開発の第1ステップである組織へのプレゼンテーション(提案)を具体的な例を元に学ぶ
2. 事例に学ぶブランド開発
(1) 焼酎市場とブランド開発1
焼酎のブランド構造を解説するとともに、ブランドの構造を明らかにするための調査(実例を紹介)をもとに解説する。
(2) 焼酎市場とブランド開発2
引き続いてブランドの特性を明確にする様々な解析手法について実例を交えて解説する。
(3) 住宅地開発とブランド1
住宅開発地をブランド化するといった異色のケースをもとに様々な分野(サービスを含む)におけるブランド化の実態を把握する。
(4) 住宅地開発とブランド2
住宅地開発におけるブランドコンセプトを紹介しつつ、そのための調査からコンセプトまでを学び、ブランド開発の実務を習得する。
3. ブランド開発の実務
このフェーズでは具体的なブランド開発をシミュレーションする。
(1) 市場環境の把握
ワークグループごとに具体的品目についての市場把握を行い、プレゼンテーションする。
(2) ブランドコンセプトの開発
具体的にブランドコンセプトを立案し、ワークグループでディスカッションを行う。
(3) 受容性調査で仮説を検証する
簡単な仮説検証調査を企画実施する。
(4) ブランドアイデンティティー構築と消費者接点としての店舗開発
ブランドアイデンティティーを確立する上で重要な要素としてのアイデンティティー構築の手法についても学ぶ
4. ブランドメンテナンス
(1) ブランドメンテナンスの役割
ブランド構築後のメンテナンスについての実例をもとにした手法を学ぶ
(2) ブランドリニューアル/変わるものと変わらぬもの
ブランドは常に新しくなるが、その中で変化するもの変化しないものを実例を挙げ解説し、ブランドとは何なのかをまとめとして体系的に整理する。

<成績評価方法及び水準>
ワークショップ形式でグループ討論を行い、その結果を発表する。評価は発表とレポートで行う。60%以上を合格とする。

<教科書>
必要に応じてプリントを配布する。

<参考書>
ブランドらしさのつくり方−博報堂 ダイヤモンド社
エモーショナルプログラムバイブル−坂井直樹  英治出版  
コンセプトメイキング変化の時代の発想法−高橋宣行

<オフィスアワー>
毎週金曜日 16時から19時

<学生へのメッセージ>
様々な技術は、製品として具体化され、商品として市場に提案されることとなる。ここで大切なことは、消費者のニーズをしっかりと受け止めることだといわれています。しかしながら、そのことだけでは新たな市場は生まれません。消費者の潜在的なニーズを顕在化させ、その商品を利用することによって得られるベネフィットをしっかりと市場に提案することが求められます。
日本的考え方(特に技術者)には、「優れた品質・無言の奉仕」といった視点が見え隠れします。それだけにとどまることなく、はっきりとした製品特性を消費者言語に置き換え、新たな消費者とのコラボレーションを生み出すことが大切だと考えています。 ブランド開発では、このような視点に立ち、ブランド経営的な視点をともに考えていきたいと思います。

 

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