2012年度工学院大学大学院・建築学専攻

西洋建築史特論(Architectural History and Theory in Europe)[5507]


2単位
中島 智章 准教授  
[ 教員業績  JP  EN ]

最終更新日 : 2012/11/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 歴史とは人類共通の記憶です。3秒前のことを覚えていなくても生理的に命を保つことは可能ですが、それなくして人や集団のアイデンティティは確立しないでしょう。
 また、建築学は建築をつくる学と建築を認識する学の二つに分かれますが、ほとんどの分野が前者に属するなか、後者については、それ自体が自己相対化の思考様式である歴史学に委ねられているといっても過言ではありません。
 この授業では、建築史学の様々な方法を通じてひとつの建築の様々な文脈上のあり方を浮彫にしていきます。今回、取り上げるのはヨーロッパのバロック建築です。近世的世界の総決算であると同時に近代的世界へと転換する結節点でもあったこの時代の建築文化は、ヨーロッパのみならず、近代社会に生きる私たちにとっても重要です。
 さらに、授業前半で建築史学の様々な方法をみた後、授業後半では論文講読などを通じて、建築史学のみならず諸学に共通する論文執筆作法を学ぶことを目的としています。

<授業計画及び準備学習>
1. 序−建築史学の方法論
研究の目的と方法、史料と参考文献
2. カトリックの改革とバロックの誕生
 −イエズス会の建築−
3. バロックの幕開け
 −サン・ピエトロ大聖堂の拡張事業−
4. 歪んだ真珠
 −ベルニーニとボッロミーニ−
5. イタリア・オペラとフランス・オペラ
6. フランスのローマ・バロック
 −ヴォー=ル=ヴィコント城館−
7. ローマ・バロック敗れる
 −ルーヴル宮殿の拡張事業−
8. 王権のバロック
 −ヴェルサイユ宮殿−
9. ローマ・バロックの伝播
10. 宮殿建築の建設ラッシュ
  −天井画の三大巨匠−
11. 論文講読(1)
12. 論文講読(2)
13. 論文購読(3)
14. 予備日−台風等による休講措置に備えたもの

<成績評価方法及び水準>
出席状況が良好で、かつ、レポート課題の得点が60点以上の者に単位を授ける。

<教科書>
中島智章:『図説バロック 華麗なる建築・音楽・美術の世界』、河出書房新社、東京、2010年

<参考書>
陣内秀信他:『図説 西洋建築史』、彰国社、東京、2005年

<オフィスアワー>
授業前。

 

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