2010年度工学院大学大学院・建築学専攻

西洋建築史特論(Architectural History and Theory in Europe)[5506]


2単位
中島 智章 准教授  
[ 教員業績  JP  EN ]

最終更新日 : 2010/11/24

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 歴史とは人類共通の記憶です。3秒前のことを覚えていなくても生理的に命を保つことは可能ですが、それなくして人や集団のアイデンティティは確立されないでしょう。
 また、建築学は建築をつくる学と建築を認識する学の二つに分かれますが、わが国の大学教育では、ほとんどの分野が前者に属するなか、後者については、それ自体が自己相対化の思考様式である歴史学に委ねられているといっても過言ではありません。
 この授業では、建築史学の様々な方法を通じてひとつの建築の様々な文脈上のあり方を浮彫にしていきます。今回、取り上げるのはヴェルサイユ宮殿です。近世的世界の総決算であると同時に近代的世界へと転換する結節点でもあったこの宮殿は、フランスのみならず、近代社会に生きる私たちにとっても重要な建築です。

<授業計画及び準備学習>
第1回 ルイ13世の狩の館とヴォー=ル=ヴィコント城館
第2回 太陽王ルイ14世治世下の新城館建設
第3〜4回 新城館「包囲建築」についての先行研究の輪読
第5回 バロックの祝典文化
第6回 新城館の国王のアパルトマンの天井画計画
第7回 付属庭園のおける各泉水の装飾計画
第8〜9回 同時代の案内記の輪読
第10回 鏡の間造営の歴史的意義
第11回 宮廷儀礼と新たな国王のアパルトマン
第12〜13回 同時代人たちの日記・書簡の輪読

<成績評価方法及び水準>
出席状況が良好で、論文購読を受け持った者だけがレポート課題に取り組むことができる。
このレポートが60点以上の者に単位を授ける。

<教科書>
授業毎に配布するレジュメ。

<参考書>
中島智章:『ヴェルサイユ宮殿 太陽王ルイ14世とブルボン王朝の建築遺産』、河出書房新社、2008年。

 

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