2010年度工学院大学大学院・機械工学専攻

センサ工学特論(Advanced Sensor Engineering)[2201]


2単位
疋田 光孝 教授  
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最終更新日 : 2010/11/24

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 センサは広く用いられ、あらゆる産業の縁の下の力持ち的な存在になっています。一方では、現在の技術分野の中では、最も進歩の早い製品の一つでもあります。代表的なセンシング方式とその自動車、産業機械、携帯電話などへの応用例に関して、最近の論文や発表例などの資料を用いて講義します。センサ技術と携帯電話に代表される移動通信を結び付けた、センサ・ネットワークのような将来の応用に関しても勉強します。また、進歩の激しいセンサ関係の特許をケーススタディとして取り上げ、現在の特許システム、特許係争例などの勉強も行ないます。センサを軸に、関連する知識や技術、更に特許に関する基本知識等が習得出来ます。

<授業計画及び準備学習>
1.授業の概要:ガイダンスおよび各種センシング方式とそれ等の応用例に関して説明します。
2.加速度センサー:微小な振動/変位を利用した加速度センサの原理と自動車や携帯電話への応用例に関して説明します。
3.角速度センサー:圧電振動子に働くコリオリ力を利用した角速度(ジャイロ)センサと自動車やカメラへの応用例に関して説明します。
4.温度センサー:半導体温度センサと各種の低温度/高温度センシング方式およびセンサ用の基本的な外部電気回路等に関して説明します。
5.特許関係:最近のセンサに関連した特許の具体例(特許の書き方などの説明も含む)および特許システムと特許係争に関して、実際の特許公報、係争例を用いて説明します。
6.車載レーダーセンサー(1):ミリ波を用いた自動車用レーダーセンサの基礎(電波の基礎、周辺技術およびレーダーの原理、具体例等)に関して説明します。
7.車載レーダーセンサー(2):ミリ波を用いた自動車用レーダーセンサの実際(実際の構造と機能および応用例の説明)に関して、トヨタとデンソーの発表例を元に説明します。
8.磁気センサー:各種の磁気センシング方式とカーナビ、ハードディスク、電子地図や携帯電話等への応用例に関して、古典的なホール効果素子から最近のMI(マグネトインピーダンス)効果素子にいたるまで広く説明します。
9.無接触センサー:ワイヤレスリクエストに応える無線非接触ICセンサとその応用例に関して、ミューチップと言われる0.4mm角のID-ICセンサを例に説明し、関連技術の将来応用に関して広く説明します。
10.バイオメトリックセンサー:指紋/静脈/虹彩等を用いたバイオメトリクス認証センサとその応用例に関して、原理と主たる応用対象さらに将来展望に関して説明します。
11.超音波および光センサー:パルスエコー法を用いた超音波センサとその自動車への応用、FBG(ファイバ・ブラック・グレーティング)による光センサの原理とそれ等の機械、建築、土木等への応用例に関して説明します。
12.ガス分子センサー:化学反応を利用する希薄ガスセンサの原理と応用例、さらに臭いセンサー、水中の有機性分子のセンシングなど最近の化学系センシングに関して説明します。
13.センサー・ネットワーク:移動通信とセンサ技術を結びつけた将来のセンサ・ネットワーク関連技術とその応用例、また、それらは支える微弱電源技術、アドホクなネットワークの構築技術等に関して説明します。
14.まとめと復習(この期に学習したことの総復習を行う)。
15.学習成果の確認(レポート等)。

<成績評価方法及び水準>
授業の最終日に、レポートの課題を出題します。レポートにて採点し、試験は行なわない。

<教科書>
毎週プリントや最新の論文などの資料を準備します。また、センサ関係の特許は、特許庁の公開技報あるいは特許広報に登録されている、実際の特許例をケーススタディとして用います。

<学生へのメッセージ>
技術のボーダーレス化が急速に進んでいます。特にセンサは、ユーザーとしてはあらゆる専門分野の技術者が利用しています。また、実社会では専門とは無関係に、センシング方法を自ら考えなければならない立場に良く遭遇する。本講義は、これ等の将来予想される状況に対し、少しでも役立つように計画されています。

 

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