2010年度工学院大学大学院・機械工学専攻

放射線計測学特論(Radiation Detection and Measurement)[1204]


2単位
渡部 隆史 教授  
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最終更新日 : 2010/11/24

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
放射線は工業利用、医療利用、食品利用、農業利用と広く我々の生活の中に浸透している。一方で、その利用方法を間違えると被爆、放射線障害など深刻な問題を引き起こす。そのため、放射線利用においては放射線、放射線源、物質と放射線の相互作用を十分に理解した上で、計測データの取得、その処理方法までの理解が必要となる。
本講義では、放射線を取り扱う際の基礎的な考え方を体系的に学んでいく。さらに、最新の放射線計測技術を紹介し、今後の可能性について考察をしていく。

<授業計画及び準備学習>

  1. 放射線に関する基礎知識:
    放射線計測を学ぶ上で必要となる、放射能、放射線の性質、基本電子回路に関する最小限の知識を復習する。
  2. 放射線源:
    高速電子線源、荷電重粒子、電磁放射線の線源、中性子源について学ぶ。また、シンクロトロン放射など、加速器による高エネルギー粒子の性質についても言及する。
  3. 放射線と物質の相互作用(I):
  4. 放射線と物質の相互作用(II):
    荷電重粒子、高速電子、ガンマ線、中性子線が物質に入射した場合の物質との相互作用を学び、それらが放射線計測にどのように利用されているかを学ぶ。
  5. 計数の統計と誤差の評価(I):
  6. 計数の統計と誤差の評価(II):
    放射線計測に必要な計数データの取り扱い、統計的な不確かさの確認、その処理・解釈について学ぶ。
  7. 放射線検出器の一般的性質:
    これまで学んできた放射線と物質の相互作用、計数の統計学的な評価を基に、放射線検出器がどのような構造、構成をしているのかを学ぶ。
  8. 固体・液体検出器(I):
  9. 固体・液体検出器(II):
    シンチレーション検出器の種類、シンチレーション光の読み出しに加え、光電子増倍管、光ダイオードの構造について学ぶ。また、半導体検出器の概要についての考察を行う。
  10. ガス検出器(I):
  11. ガス検出器(II):
    電離箱、比例係数管などによりガス中の電離過程、ガス増幅の仕組みを学び、Multi-wire proportional Chamberなどの応用例について考察をする。
  12. 検出信号の処理と整形:
    放射線の検出原理によって生じた電気パルスの処理、整形について学び、それらを実現するための回路について考察を行う。
  13. 最新の検出器開発:
    Micro-Pattern Gas Ditectorなど、現在進められている最新技術を取り込んだ検出器開発について紹介をする。
  14. 放射線計測学のまとめ

<成績評価方法及び水準>
授業中に課す課題について提出されたレポートを評価し、60点以上の場合を合格とする。

<教科書>
特に指定はしないが、必要に応じてプリントを配布する。

<参考書>

  • 「放射線計測ハンドブック 第3版」(日刊工業新聞社)
    ハンドブックとは名ばかりのかなり重量感のある書籍である。本来ならば教科書として使用したいところではあるが、26000円と高価であるため参考書として留め置く。図書館にあるが、冊数が限られているので借り出しはしないでもらいたい。
  • 「放射線概論 -第1種放射線試験受験用テキスト-」(通商産業研究社)
    放射線取扱主任者試験用に編纂された受験用テキストであり、物理学分野以外に化学分野、生物分野、管理技術、法令に及ぶまで記載されている。そういった意味では、本講義の目的からは若干ずれる内容ではあるが、実務的であるとも言える。

<オフィスアワー>
月曜日 12:30〜13:00 (新宿校舎A-2734)

<学生へのメッセージ>
質問は歓迎する。ただし,必ず居室にいるとは限らないので,E-mailを利用するか事前にアポイントメントを取るように(ft11196[at]ns.kogakuin.ac.jp)。

 

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