2019年度工学院大学 先進工学部
物理化学I(Physical Chemistry I)[4140]
2単位 渡辺 秀夫 非常勤講師
- <学位授与の方針>
| 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 化学技術者として必要な「熱力学」の基礎知識・理論を修得する。熱力学とは、バルク物質の物理的・化学的な変化を巨視的な物理量(圧力、体積、温度、物質量、エネルギー(仕事)やエントロピーなど)を用いて記述する物理化学の主要な一分野である。
本講義の前半では、まず気体の性質について分子運動論と状態方程式を通じて理解を深め、次に熱力学の基礎となる熱力学第1法則およびエンタルピーの概念を理解し、物理変化や化学反応による系のエネルギーや熱の収支について考察する。講義の後半では、熱力学第2法則およびエントロピーの概念の理解を通じて化学反応の自発性について考察し、ヘルムホルツエネルギー・ギブズエネルギーの概念を理解し化学反応の熱力学計算に応用し、最後に第1法則と第2法則を統合により熱力学理論に関する理解を深める。
- <受講にあたっての前提条件>
- ●前期開講の「微分」「積分」「化学1」「物理学1」の内容を復習し良く理解していること。
●初等関数の簡単な微分・積分計算ができること。 ●並行して開講する「物理化学実習I」と併せて履修することが好ましい。
- <具体的な到達目標>
- ●巨視的な物理量と単位を理解し、単位換算ができる。
●完全気体と実在気体の性質の違いを理解した上で、状態方程式を用いた計算ができる。 ●熱力学第1法則の内容を理解し、気体の状態変化における仕事や熱の収支の計算ができる。 ●エンタルピーの概念を理解し、物理・化学変化におけるエンタルピー変化の計算ができる。 ●熱力学第2法則の内容を理解し、さまざまな過程のエントロピー変化の計算ができる。 ●ギブズエネルギーの概念を理解し、さまざまな反応のギブズエネルギー変化の計算ができる。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1週 物理量と単位、気体の性質:復習、導入
物理量と単位の復習をし、高校で学習した気体の性質について解説する。 準備学習:教科書p.5(A・3)〜p.15(B・2)を予習する。 第2週 気体の性質、気体の分子運動論 完全気体の性質、気体の分子運動論について解説する。 準備学習:前回の復習と教科書p.29〜44を予習する。 第3週 実在気体 完全気体と実在気体の性質の違いとファンデルワールス状態方程式を解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.45〜55の予習する。 第4週 熱力学第1法則の基礎的な概念 内部エネルギーの定義、膨張の仕事、熱のやり取りについて解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.66〜77を予習する。 第5週 エンタルピーの概念と熱化学 エンタルピーの概念、熱化学について解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.78〜p.92を予習する。 第6週 状態関数と完全微分、断熱変化 状態関数と完全微分、断熱変化について解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.93〜p.105を予習する。 第7週 学習成果の確認(中間試験) 準備学習:第1週目から第6週目までの範囲を総復習する。 第8週 熱力学第2法則、エントロピー、カルノーサイクル 熱力学第2法則とエントロピーの概念、カルノーサイクルについて解説する。 準備学習:中間試験前までの範囲の復習と教科書p.117〜126(3A・3)を予習する。 第9週 いろいろな過程のエントロピー変化、エントロピーの測定 いろいろな過程におけるエントロピー変化、エントロピー測定と第3法則について解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.127(3A・4)〜p.136を予習する。 第10週 ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギー ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーについて解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.137〜p.145を予習する。 第11週 熱力学第1法則と第2法則を結びつける 熱力学第1法則と第2法則の結合により、熱力学の基礎式を解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.146〜150(3D・2(a))を予習する。 第12週 ギブズエネルギーの温度、圧力依存性 ギブズエネルギーの温度と圧力における依存性を解説する。 準備学習:前回までの復習と教科書p.150(3D・2(b))〜156を予習する。 第13週 まとめ:総復習 準備学習:第1週目から第12週目までの全範囲を総復習する。 第14週 学習内容の振り返り
- <成績評価方法>
- 授業にきちんと出席することが成績評価の前提。授業中に適宜実施する確認テスト(小テスト)などにより算出する平常点(20%)、第7週目に行う中間試験(30%)と定期試験期間に行う期末試験(50%)の成績をもとに理解度をA+、A、B、C、D、FのGradeで評価し、Grade D以上を合格とする。
- <教科書>
- 「アトキンス 物理化学(上)第10版」 東京化学同人 P.W.Atkins著 中野元裕、上田貴洋、奥村光隆、北河康隆訳
(「アトキンス 物理化学(上)第8版」 東京化学同人 P.W.Atkins著 千原秀昭、中村亘男訳)
- <参考書>
- 指定参考書なし
- <オフィスアワー>
- 授業終了後の教室で。但し、本講義に続いて物理化学演習Iが行われるので、その終了後の方が好ましい。また、メールでの質問も随時受けつける(授業後の質問も事前にメール連絡を入れることが望ましい)。
- <学生へのメッセージ>
- 本講義で学ぶ物理化学の基礎(熱力学)は、本学科で今後学修する専門分野の基礎となるため、しっかりと身につけられるように努めて下さい。授業中に理解出来なかった部分は、分かるまで復習する習慣をつけることが大事です。また、熱力学の理論や概念は実際に演習問題を解くことで理解が深まります。その意味からも、本科目と一緒に「物理化学演習I」も履修することを推奨します。
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