2019年度工学院大学 先進工学部環境化学科

エネルギー装置設計(Energy Equipment Design)[3E23]

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2単位
伊藤 直次 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
エネルギー多消費型の産業とされている化学工業において、エネルギー・環境問題へ真剣に対応するためには、種々の化学品を省エネかつ省資源の観点から効率良く製造するためのプロセスを設計する、あるいはプロセスそのものを革新することが求められます。
 本講義では、グリーンケミストリーの考え方を学び、その視点から化学プロセスを構成する代表的な熱利用装置(熱交換、蒸発、分離など)の型式と特徴について理解を深めます。それらの装置設計や制御の基礎となる考え方を学ぶます。さらに物質収支から成るフローシートの作成と実用規模の装置のモデル設計を通じて基本的な設計手法を学ぶます。
 なお,上記の学位授与の方針のうち、
2. 専門分野知識・専門技術の修得、3. 汎用的問題解決力の修得について特に重視します。

<受講にあたっての前提条件>
物理化学I、II、分離工学、化学装置設計を履修していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
●化学品製造やプロセスの基本設計の基本的な考え方や進め方について学ぶ。
●化学プラントを構成する各種の装置や材料について理解する。
●装置の制御の基礎について学ぶ。
●化学プロセスを構成する原料から製品に至る工程の中では、反応や分離装置が連結されているが、リサイクルなどを含む基本フローシートを作成する。
●反応とそれに続く製品と未反応物の蒸留塔分離のシステムの概念設計の手順を理解する。

<授業計画及び準備学習>
1.エネルギー・環境問題と化学プロセス
  グリーンケミストリーの考え方を学び、各種化学プロセスの評価を原子利用率などの指標を使って試みる。
  準備学習:本講義「エネルギー装置設計」のシラバスを読み、授業の流れを把握する。
2.化学品製造装置の特徴と構成(1)
  様々な熱利用装置、分離装置について特徴を知り、それぞれ目的に合った形式のものが採用されることを知る。
  準備学習:各種装置について化学工学系教科書、参考書などを参照して知識を拡げておく。
3.化学品製造装置の特徴と構成(2)
  様々な熱利用装置、分離装置について特徴を知り、それぞれ目的に合った形式のものが採用されることを知る。
  準備学習:前回のノート等を参照し内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
4.化学装置材料の耐食性
  機器や装置材料の選定は化学技術者として重要な任務である。使用材料の物理的、化学的性質を知って操作条件と耐食性との関係などについての知識を拡げる。
  準備学習:”金属材料の耐食表”を参考書やインターネットで調査し、化学薬品に対する耐食性についての知識を拡げておく。
5.工業化学プロセスの実際
  水素製造プロセスを例に、どのような手順で原料から製品までユニット(装置)が組立てられているのか学ぶ。
  準備学習:水素製造に利用される原料や製造方法について専門書などによって調べて、知識を拡げておく。
6.基本フローシート(マテリアルバランス)
  直列型、バイパス型のフロー構成での成分収支を求めることを学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
7.中間地点での学習の成果の確認
  授業内試験
  準備学習:これまで行った講義の内容を再度復習、理解しておくこと。
8.応用フローシート
  循環型、循環パージ型のフロー構成での成分収支を求めることを学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、基本フローシートの内容をよく理解しておく。
9.装置制御の考え方と制御機器
  フィードフォワード(Feed-forward)とフィードバック(Feed-back)制御、機械制御とプロセス制御との違いや制御機器の種類などについて学ぶ。
  準備学習:自動車の自動運転が話題になっているが、どのような仕組みが必要なのか、可能な範囲で調査しておく。その他の自動制御の例でも可。
10.タンク液量(水位)の制御とステップ応答
  タンクに連続的に供給される水流入量の段階的変化に伴う水位変化の経時変化を追跡する(ステップ応答)解析法を学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
11.PID制御
  比例(Proportional)、積分(Integral)、微分(Differential)制御の基礎について学ぶ。加えて、時定数、遅れ時間など制御の分野で重要な因子について理解する。
  準備学習:前回のノート等を参照し内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
12.製造プロセス概念設計@
  工業規模の生産量を想定した時の装置規模の設計の手順と装置コストを概算するための2/3乗則の考え方を学ぶ。
  準備学習:日本(世界)における化学品の製造量がどの位あるのか可能な範囲で調査しておく。
13.製造プロセス概念設計A
  反応塔と蒸留塔から成る実プロセスの基本製造設備を想定してフローシート作成し、蒸留塔の段数、間隔、処理量から塔径や塔高を推算する方法を学び、プロセス全体の概念設計を完成する。
  準備学習:前回のノート等を参照し内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
14.学習内容の振り返り
  準備学習成果の確認(授業内試験)
  これまで行った講義の内容を再度復習しておくこと。

<成績評価方法>
到達目標に達しているかを中間試験(45点)と期末試験(45点)、平常点(10点)で評価し、これらの試験の合計点で評価します。成績はA+(100〜90点)、A(89〜80点)、B(79〜70点)、C(69〜60点)、D(59〜55点)、F(54点以下)で評価し、A+、A、B、C、Dを合格とする。ただし、D評価を受けた者については、再受講を奨める。

<教科書>
指定図書なし。適時プリントを配布する。

<参考書>
グリーンケミストリー:P. Anastac, J. Warner著、渡辺 正・北島昌夫訳、丸善 (1990)
解説化学工学:竹内、松岡、越智、茅原、培風館(2001)
基礎制御工学:森政弘、小川鉱一、東京電気大学出版局(2001)
化学プロセス計算:浅野康一、共立出版 (1999)
化学工学演習[第2版]:藤田重文、東京化学同人 (1979)

<オフィスアワー>
新宿校舎:毎週水曜日の授業終了後、あるいは随時メールにて質問を受け付けます。
E-mail: itoh-n@cc.utsunomiya-u.ac.jp

<学生へのメッセージ>
環境・エネルギーなど地球規模の問題に配慮しつつ、種々の化学製品を合理的に製造するためには、それを実現する装置・制御・システムの最適設計が必要不可欠となりますが、それらを本授業および演習を通じて学んで下さい。。


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