2019年度工学院大学 先進工学部応用化学科

量子化学(Quantum Chemistry)[3E21]

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2単位
徳永 健 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
化学的現象や反応の多くは、原子や分子の振動状態・回転状態・電子状態を考慮することによって理解することができる。また、化学の分野で使用される測定機器の原理は、量子化学の知識なしには理解できない。この科目の前半では、量子論の基本概念を理解し、原子・分子に当てはめて議論できることを目的とする。後半では、原子・分子の振動状態・回転状態・電子状態と各種スペクトルの関係を理解できることを目的とする。

<受講にあたっての前提条件>
・物理化学III履修程度の知識を有すること。
・高等学校レベルの指数、対数、微分、積分、行列の演算ができること。
・毎回演習を行うので、関数電卓を持参すること。

<具体的な到達目標>
・量子論の基本概念と特徴的な現象を理解できる。
・量子論を原子・分子に当てはめて考え、反応性を理解できる。
・分子の回転・振動準位と、それに基づくスペクトルを理解できる。
・分子の電子状態と、それに基づくスペクトルを理解できる。
・分子の核・電子スピンの状態と、それに基づくスペクトルを理解できる。

<授業計画及び準備学習>
第1回: ガイダンス、数学の基礎知識、量子論の基礎(1)
  [学習内容] 量子化学に必要な数学の基礎知識を学ぶ。波動関数について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック7Bを読んでくること。
  
第2回: 量子論の基礎(2)
  [学習内容] 演算子、固有値、期待値、不確定性原理について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック7Cを読んでくること。
  
第3回: 量子論の基礎(3)
  [学習内容] 並進、箱の中の粒子、トンネル現象について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック8Aを読んでくること。
  
第4回: 量子論の基礎(4)
  [学習内容] 振動運動と回転運動について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック8B,8Cを読んでくること。
  
第5回: 原子構造と原子スペクトル
  [学習内容] 原子構造と原子スペクトルについて理解する。
  [準備学習] テキストのトピック9A,9Bを読んでくること。
  
第6回: 原子価結合法と分子軌道法(1)
  [学習内容] 原子価結合法と分子軌道法を理解する。
  [準備学習] テキストのトピック10A,10B,10Cを読んでくること。
  
第7回: 分子軌道法(2)とヒュッケル法
  [学習内容] 分子軌道法とヒュッケル法について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック10D,10Eを読んでくること。
  
第8回: 【中間試験】(前半)、フロンティア軌道理論(後半)
  [学習内容] 第7回までの学習内容について試験を実施する。フロンティア軌道理論について理解する。
  [準備学習] 第7回までの学習内容を復習すること。
  
第9回: 分子の回転スペクトル
  [学習内容] 分子の回転とそれに関連するスペクトルを理解する。
  [準備学習] テキストのトピック12B,12Cを読んでくること。
  
第10回: 分子の振動と赤外吸収
  [学習内容] 分子の振動とそれに関連するスペクトルを理解する。
  [準備学習] テキストのトピック12D,12Eを読んでくること。
  
第11回: 電子スペクトル、蛍光とりん光
  [学習内容] 電子スペクトル、蛍光、りん光の原理について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック13A,13Bを読んでくること。
  
第12回: 核磁気共鳴(NMR)
  [学習内容] 磁気共鳴の原理とNMRスペクトルについて理解する。
  [準備学習] テキストのトピック14A,14Bを読んでくること。
  
第13回: 電子スピン共鳴(ESR)、光電子分光法
  [学習内容] ESR、光電子分光法の原理とその応用について理解する。
  [準備学習] テキストのトピック14Dを読んでくること。
  
第14回: 学習内容の振り返り
  [学習内容]  学習内容の振り返りを行う。
  [準備学習]  前回までの総復習を行うこと。

<成績評価方法>
・中間試験(30%)と期末試験(70%)で評価する。
・中間試験は、前半の基礎的内容から出題する。
・期末試験は、全範囲から出題する。
・各回に実施する課題は成績評価に含めない。

<教科書>
「アトキンス物理化学(上)(下)第10版」Peter Atkins, Julio de Paula著、中野元裕ら訳、東京化学同人(2017)

<参考書>
特になし。授業中に紹介する。

<オフィスアワー>
質問は、授業前後に教室で行うと良い。10:30〜授業開始前、授業終了後〜13:20はA2718で質問を受け付ける。また、メール(ft13309@ns.kogakuin.ac.jp)で随時受け付ける。

<学生へのメッセージ>
量子化学の基礎を理解すると、物質の性質や化学反応を、新たな視点から見ることができるようになります。毎回、教科書巻末の演習問題を解き、理解を深めます。数学が苦手な人は、高校数学を復習しましょう。


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