2019年度工学院大学 情報学部

電気回路理論演習I(Practice on Circuit Theory I)[3226]

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1単位
水野  修 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<授業のねらい>
電気回路に関する問題を解きながら電気回路理論の理解を深めると共に、その応用能力を養うことを目標とする。 毎回、本科目の直前の講義科目である「電気回路理論I」の内容に沿って演習問題を授業中に解き提出。解答例は次週の授業中に示す。計算力や回路変形のセンスを要求されるケースも多く、数多くの問題に触れる。また実際の就職試験等で出された問題も解いてみる。

<受講にあたっての前提条件>
・分数計算は間違いなくできること。
・三角関数の計算ができること。(高校で学んだ三角関数の復習をしておくことが望ましい)
・複素数の基本的な計算ができること。
・複素数のベクトル表示(複素平面)を理解していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
・抵抗の合成抵抗値を導出できる。
・回路についての基礎的な法則や定理を理解する。
・回路図を数式で表し解析できる。
・様々な回路網の解析法を使える。
・正弦波交流の瞬時値表示、実効値表示の違いを理解し、与えられた波形から導出できる。
・正弦波交流における電圧・電流・インピーダンス等の複素表記が理解できる。

<授業計画及び準備学習>
それぞれの回において、本科目の直前の講義「電気回路理論T」で学んだことに関する演習問題を解き、提出する。
提出した用紙は次週に返却され、解答例とともに解説が授業中に示される。このとき解説と自身の答案を確認し、解けなかった問題や理解が不完全な範囲の復習を次回までにしておくこと。

1.【電気の基本・電流・電圧・抵抗・電圧降下と逆起電力の概念】
電圧・電流・抵抗の概念や電気回路図の表し方について学ぶ。抵抗に加える電圧、流れる電流の関係(オームの法則)を理解し、計算ができるようにする。

2.【キルヒホッフの法則(基礎)・抵抗回路の合成抵抗】
合成抵抗の式導出や回路解析に必要な基本的な法則の1つであるキルヒホッフの法則(電圧則、電流則)を理解する。電気回路図に徐々に慣れると共に、基本的な抵抗の  並列・直列接続の式の導出をできるようにする。また、基本的な合成抵抗の式を用い、抵抗を任意の状態で接続(直列、並列、それらの混合)したときの合成抵抗を自由に計算できるようにする。

3.【抵抗による分圧、分流】【電圧計・電流計・電源:1 基礎】
抵抗を用いて電圧や電流を分配できることを理解し、分圧の公式、分流の公式を導けるようにし、これらの式を自由に使いこなせるようにする。また、計測器や電源に内部抵抗が存在することを学ぶ。さらに、電圧計、電流計にそれぞれ「分圧」、「分流」を応用することで、本来の許容値以上の電圧、電流を測定できることを理解する。

4.【電圧計・電流計・電源:2 応用】
前回の講義の続き。計測器や電源に内部抵抗が存在することを学び、電圧計、電流計にそれぞれ「分圧」、「分流」を応用することで、許容以上の電圧、電流を測定できることを理解する。電池のつなぎ方(直列・並列)による内部抵抗の影響を理解する。

5.【電流と電力】
抵抗体に電流が流れると熱(ジュール熱)が発生することを学び、電力について学ぶ。効率よく電力を供給する条件(最大消費電力)について学び、電源の内部抵抗と負荷抵抗の関係と最大消費電力の関係を理解し、条件を導けるようにする。

6.【回路解析・回路方程式】
キルヒホッフの法則を用いた回路網解析法について解析例を通して学ぶ。(枝電流法、ループ電流法、節点方程式法)これにより、より複雑な電気回路を解析できるようにする。

7.【電圧源・電流源・重ね合わせの定理・テブナンの定理】
電源に電圧源、電流源が有ることを学び、任意の回路網が1つの抵抗と1つの電源(電圧源あるいは電流源)で表せることを理解し、これらの変換を自由にできるようにする。また、その他の電気回路の定理についても学ぶ。

8.【Δ−Y変換、Y−Δ変換、対象回路、ホイートストンブリッジ】
抵抗の特別な場合の接続法(Δ接続、Y接続)の変換を学ぶ。ブリッジ回路について学び平衡条件を導けるようにする。

9.【可逆定理・ノルトンの定理・ミルマンの定理】
回路解析の手法の1つである可逆定理・ノルトンの定理・ミルマンの定理について学び、自由に使えるようにする。

10.【正弦波交流:振幅・角周波数・初期位相・位相差・瞬時値・実効値】
交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。三角関数の基礎について十分復習をしておくこと。

11.【正弦波交流と複素数】
交流回路を扱う上で複素数を用いる利点を理解し、複素ベクトルによる表示や簡単な計算を学ぶ。

12.【交流回路素子の基礎】
インダクタやキャパシタの基礎的な性質について理解しインダクタンスやキャパシタンスの物理的意味を学ぶ。

13.【LRCの基本計算】
インダクタやキャパシタの交流回路での働きを十分理解する。複素数と正弦波交流の複素数表示・複素インピーダンス、複素アドミッタンス複素数を用いることで、インダクタやキャパシタが直流回路における抵抗と同様に扱えることを学ぶ。

14.学習内容の振り返り

<成績評価方法>
授業に出席していることが成績評価の前提。(※ 出席率が2/3以上のこと)
[毎回の授業での提出物の評価を25%]、[期末試験の結果を75%]とし、成績をA+からFの6段階に評価し、D以上の者を合格とする。

※特別な理由がなく出席率が満たない場合は、不合格となるので注意。

なお、この科目と電気回路理論Iの期末試験はそれぞれ別々に実施するので受験漏れに注意すること。

<教科書>
無し
授業中に問題を示す。

<参考書>
・電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志[オーム社]
・基本からわかる電気回路:西方正司 監修、岩崎久雄、鈴木憲史、鷹野一朗、松井幹彦、宮下収「オーム社]
・テキストブック電気回路:本田徳正[日本理工出版会]
・電気学会大学講座「電気回路論 2版改訂」:平山 博 大附辰夫 共著、(電気学会)[オーム社]

<オフィスアワー>
火曜 11:00〜12:00,13:00〜14:00
研究室 (新宿キャンパス A-2217室)
なお,講義終了後は,新教育棟1階の講師室にいます.

メールでの問い合わせ
omizuno_at_ieee.org

<学生へのメッセージ>
最近の学生の傾向として、つまらない計算ミスが非常に目立ちます。頻繁に計算を行うので、つまらないところでミスの無いようにしましょう。多くの問題を自分で考えて、必ず紙に書きながら最後まで(答えの単位まで)答えを出すようにして下さい。また授業中にやった問題で、自分が間違えたところは理解するまで、こだわって復習して下さい。 特に三角関数、複素数など苦手分野は早めに復習しておくことを勧めます。(学習支援センターやスチューデントアシスタント制度の活用を推奨します)


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