2019年度工学院大学 情報学部システム数理学科

動的システム(k)[3H21]

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2単位
竹川 高志 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
本講義では、物理現象・人口の変動などの社会現象・認知心理のメカニズム・生体内のダイナミクス・ゲーム理論などを例に取り、差分方程式や微分方程式による動的システムの基本的な理解を深めることを目的とする。1次元や2次元の線形システムの具体例を通じて状態空間における不動点・リミットサイクル・安定性などの概念と実際の時間変化の対応関係を理解し、与えられたモデルについてシミュレーションと安定性解析の具体的な手順を学ぶ。また、分岐理論を通じて環境の変化が大域的な安定性に与える影響について理解する。応用発展として制御やカオスの概念を紹介する。

<受講にあたっての前提条件>
特になし

<具体的な到達目標>
・1次元の連続システムに関して、固定点の安定性と時間変化の関係について理解する。
・2次元の線形連続システムに関して、固定点の安定性を固有値を用いて説明することができる。
・様々な振動現象がリミットサイクルにより説明されることを理解する。

<授業計画及び準備学習>
授業計画
第1回:動的システムの定義
 動的システムの基本的な概念であるパラメータ・変数・時間について学ぶ
 具体的な対象を示し、力学系が対象とする全体を概観する
第2回:微分方程式とシミュレーション
 多次元1階の微分方程式のシミュレーションの手法について学ぶ
 力学を例に2階微分方程式を1階の系に変換する方法を学ぶ
第3回:1次元の連続線形システム
 1次元線形微分方程式の解の性質について学ぶ
第4回:1次元の連続非線形システム
 一般の1次元微分方程式が持つ解の性質について学ぶ
第5回:分岐理論の基礎
 パラメータの変化による大域的な性質の変化を学ぶ
第6回:学習成果の確認(中間試験)
第7回:1次元の力学系のまとめ
 離散力学系の持つ性質など1-5回で扱わなかった範囲を補足する

第8回:2次元の連続線形システム
 2次元の線形微分方程式の解の性質について学ぶ
第9回:線形化と安定性解析
 2次元の固定点に関する線形化方法とその安定性の解析について学ぶ
第10回:リミットサイクル
 ロトカ・ボルテラ方程式などを例としてリミットサイクルについて学ぶ
第11回:力学系による様々な現象の理解
 特徴的な現象を力学系の視点から捉えた例を紹介する
第12回:3次元の非線形微分方程式
 ローレンツ方程式などを例としてストレンジアトラクタについて学ぶ
第13回:学習成果の確認(期末試験)
第14回:学習内容の振り返り

準備学習
授業の内容を復習し、演習問題が出された場合は必ず解くこと。
前の授業で指示された予習資料に授業前に必ず目を通し、課題がある場合は外部資料も利用して取り組むこと。

<成績評価方法>
2回の授業内試験(6回と13回)と定期試験期間に課すレポートを 2:5:3 の割合で評価する。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
デヴィッド・バージェス,モラグ・ボリー (垣田高夫他訳)「微分方程式で数学モデルを作ろう」
 ISBN 978-4-535-78173-3
 出版社 日本評論社

大浦宏邦「社会科学者のための進化ゲーム理論」
 ISBN 978-4-326-60213-1
 出版社 勁草書房

Mark M. Meerschaert (佐藤一憲他訳)「数理モデリング入門 ーファイブ・ステップ法ー 原著第4版」
 ISBN 978-4320-11100-4
 出版社 共立出版

Steven H. STrogatz (田中久陽他訳)「非線形ダイナミクスとカオス」
 ISBN 978-4621-08590-6
 出版社 丸善

<オフィスアワー>
水曜日4限 新宿A1516

<備 考>
授業中あるいは授業外の課題として Python などを用いた演習も行います。
資料の配付や課題の提出には KuPort の E-Learning を利用する予定です。


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