2019年度工学院大学 情報学部システム数理学科

応用情報システム(PBL)(k)[1B14]

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1単位
三木 良雄 教授  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
本授業は一般社団法人 高度ITアーキテクト育成協議会(AITAC)が開発した教材を用いて、SEやITシステムアーキテクトに企業から求められている先端の実践的技術を学ぶ。
システムの構築、システムの設計では結果的にチームを組んでネットワーク設計を実施することがほとんどである。この点から、本科目ではネットワーキング、クラウドコンピューティングの実践的課題をProject Based Learningで進める。

<受講にあたっての前提条件>
実習を含む講義であるため、コンピュータの初歩的な利用知識と、ネットワークとOSに関する基礎的な知識を習得していることが前提となる。システム構築論、クラウドコンピューティングの科目を履修することを強く推奨する。
想定受講者 :
• ネットワークと計算機を利用したサービス構築に興味のある学生
• ソフトウェアを用いたサービスインフラ構築技術を習得したい学生
• IoT、データ解析での具体的なデータ収集システム設計に興味のある学生
• クラウドコンピューティングに興味のある学生

<具体的な到達目標>
本講義では、前述の通りネットワーキングとコンピューティングの両方に精通し、サービスを構築するための設計論を習得することを目的とする。
従来は、ICT技術のわかる人材が通信キャリアや事業者のみに存在しており、一般のユーザ企業はそれらキャリアや事業者にICTを用いたサービス構築を発注するという構造が成り立っていた。しかし、現在のIoTやビッグデータに代表されるサービス構築においては、ユーザ企業が何をやりたいかを明確に定義し、その定義に基づいた要求事項に従ってICT技術を武器として使い、サービス自体とサービスを用いた戦略を構築する時代となっている。この時代の流れに対応することができる、いわばICT技術の「アーキテクト」を行うことができる人材を育成する。

<授業計画及び準備学習>
第1回 : 本講義の概要と目的
 ICT サービス構築技術の概要と目標を確認する。技術自体を習得するのではなく、構築するサービスの要求事項を把握し、適切に技術を適用できる知識と技能を習得する「サービスを構築する」ということを事例を用いて紹介する。また、本講義を履修するにあたって必要となる知識やツールに関して確認を行う。

第2回 : ルーターの基本設定、DHCP
 ルータのコマンドラインインターフェースの使用法とHDCPなど、基本的な利用方法に関して学ぶ

第3回 : 静的ルーティング
 チームを構成し、PBLとして以降の作業を行う。ルーターによるルーティングの基礎を学ぶと共に、この授業で使う環境に適した構成法を考える。

第4回 : 静的ルーティングの動作
  前回設計したネットワーク構成ならびにルーター設定によって、それぞれの箇所における疎通確認を行う。 

第5回 : 動的ルーティング(ospf)
  動的ルーティングの設定に変更し、疎通確認を行う。これにより、静的ルーティングとの機能、実用性の違いを確認する。

第6回 : スパニングツリー
 スパニングツリーアルゴリズムを解説し、ループ検出、冗長系構成を学ぶとともに、ネットワークスイッチのキャッシュ機能等を理解する。

第7回 : ネットワーク監視
 ネットワーク監視機能(SNMP)をシステム全体の監視に用いる方法を学ぶ

第8回 : システム監視と動作確認
 チーム毎に監視ネットワークを構成し、機器のダウン、再起動の確認を行う。

第9回 : SDNとOpenFlow
 前回までのシステム監視とネットワーキングを踏まえ、data-plane, control-plane分離のメリットを理解すると同時に、VPN,負荷分散、高信頼化などの制御方法を学ぶ。

第10回 : クラウドとネットワーキング
 クラウド上にサーバーインスタンスを構築し、稼働させる方法ならびに、必要なアプリケーションをインストールする方法を学ぶ。

第11回 :Mininet,RyuによるSDN環境構築
 前回確立したクラウド上のインスタンスに、mininetとryuをインストールし、基本構成のホストースイッチ群の動作を確認する。

第12回 : SDN環境の応用
ホスト数を増やして、疎通確認を行う。その際に、仮想スイッチにおけるキャッシュ機能動作の確認を行う

第13回 : SDN総まとめ
 ここまでのSDN動作をチーム毎に確認し、各人のレポートとしてまとめる
 
第14回 : まとめと振り返り
 ネットワーキングに基づくシステム構築全体を振り返る。

【実務経験のある教員による授業科目】
ITシステム設計の実務経験に基づき、ネットワーキングによるシステム構成方法を学ぶ

<成績評価方法>
中間レポート40%、最終レポートを60%で評価しする。評価結果はA+,A,B,C,D,Fの段階に分類し、D以上を合格とする。

<教科書>
特に指定しない

<参考書>
特に指定しない

<オフィスアワー>
月曜1限の授業終了後、教室もしくは情報学部教員控室にて。

<学生へのメッセージ>
本科目の一部内容は他大学と共通であり、社会人向け教育のレベルのものも含まれる。SI、通信系企業とも連携したカリキュラムのため、就職等でSEや通信各社との接点を求める学生にお勧めである。


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