2019年度工学院大学 情報学部システム数理学科
応用情報システム(PBL)(k)[1B14]
1単位 三木 良雄 教授
- <学位授与の方針>
| 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ◎ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 本授業は一般社団法人 高度ITアーキテクト育成協議会(AITAC)が開発した教材を用いて、SEやITシステムアーキテクトに企業から求められている先端の実践的技術を学ぶ。
システムの構築、システムの設計では結果的にチームを組んでネットワーク設計を実施することがほとんどである。この点から、本科目ではネットワーキング、クラウドコンピューティングの実践的課題をProject Based Learningで進める。
- <受講にあたっての前提条件>
- 実習を含む講義であるため、コンピュータの初歩的な利用知識と、ネットワークとOSに関する基礎的な知識を習得していることが前提となる。システム構築論、クラウドコンピューティングの科目を履修することを強く推奨する。
想定受講者 : • ネットワークと計算機を利用したサービス構築に興味のある学生 • ソフトウェアを用いたサービスインフラ構築技術を習得したい学生 • IoT、データ解析での具体的なデータ収集システム設計に興味のある学生 • クラウドコンピューティングに興味のある学生
- <具体的な到達目標>
- 本講義では、前述の通りネットワーキングとコンピューティングの両方に精通し、サービスを構築するための設計論を習得することを目的とする。
従来は、ICT技術のわかる人材が通信キャリアや事業者のみに存在しており、一般のユーザ企業はそれらキャリアや事業者にICTを用いたサービス構築を発注するという構造が成り立っていた。しかし、現在のIoTやビッグデータに代表されるサービス構築においては、ユーザ企業が何をやりたいかを明確に定義し、その定義に基づいた要求事項に従ってICT技術を武器として使い、サービス自体とサービスを用いた戦略を構築する時代となっている。この時代の流れに対応することができる、いわばICT技術の「アーキテクト」を行うことができる人材を育成する。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 : 本講義の概要と目的
ICT サービス構築技術の概要と目標を確認する。技術自体を習得するのではなく、構築するサービスの要求事項を把握し、適切に技術を適用できる知識と技能を習得する「サービスを構築する」ということを事例を用いて紹介する。また、本講義を履修するにあたって必要となる知識やツールに関して確認を行う。
第2回 : ルーターの基本設定、DHCP ルータのコマンドラインインターフェースの使用法とHDCPなど、基本的な利用方法に関して学ぶ
第3回 : 静的ルーティング チームを構成し、PBLとして以降の作業を行う。ルーターによるルーティングの基礎を学ぶと共に、この授業で使う環境に適した構成法を考える。
第4回 : 静的ルーティングの動作 前回設計したネットワーク構成ならびにルーター設定によって、それぞれの箇所における疎通確認を行う。
第5回 : 動的ルーティング(ospf) 動的ルーティングの設定に変更し、疎通確認を行う。これにより、静的ルーティングとの機能、実用性の違いを確認する。
第6回 : スパニングツリー スパニングツリーアルゴリズムを解説し、ループ検出、冗長系構成を学ぶとともに、ネットワークスイッチのキャッシュ機能等を理解する。
第7回 : ネットワーク監視 ネットワーク監視機能(SNMP)をシステム全体の監視に用いる方法を学ぶ
第8回 : システム監視と動作確認 チーム毎に監視ネットワークを構成し、機器のダウン、再起動の確認を行う。
第9回 : SDNとOpenFlow 前回までのシステム監視とネットワーキングを踏まえ、data-plane, control-plane分離のメリットを理解すると同時に、VPN,負荷分散、高信頼化などの制御方法を学ぶ。
第10回 : クラウドとネットワーキング クラウド上にサーバーインスタンスを構築し、稼働させる方法ならびに、必要なアプリケーションをインストールする方法を学ぶ。
第11回 :Mininet,RyuによるSDN環境構築 前回確立したクラウド上のインスタンスに、mininetとryuをインストールし、基本構成のホストースイッチ群の動作を確認する。
第12回 : SDN環境の応用 ホスト数を増やして、疎通確認を行う。その際に、仮想スイッチにおけるキャッシュ機能動作の確認を行う
第13回 : SDN総まとめ ここまでのSDN動作をチーム毎に確認し、各人のレポートとしてまとめる 第14回 : まとめと振り返り ネットワーキングに基づくシステム構築全体を振り返る。
【実務経験のある教員による授業科目】 ITシステム設計の実務経験に基づき、ネットワーキングによるシステム構成方法を学ぶ
- <成績評価方法>
- 中間レポート40%、最終レポートを60%で評価しする。評価結果はA+,A,B,C,D,Fの段階に分類し、D以上を合格とする。
- <教科書>
- 特に指定しない
- <参考書>
- 特に指定しない
- <オフィスアワー>
- 月曜1限の授業終了後、教室もしくは情報学部教員控室にて。
- <学生へのメッセージ>
- 本科目の一部内容は他大学と共通であり、社会人向け教育のレベルのものも含まれる。SI、通信系企業とも連携したカリキュラムのため、就職等でSEや通信各社との接点を求める学生にお勧めである。
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