2019年度工学院大学 情報学部システム数理学科
○システム数理学実験(k)[5A19]
2単位 矢崎 敬人 准教授 [ 教員業績 JP EN ] 橘 完太 准教授 [ 教員業績 JP EN ] 三木 良雄 教授 新井 敏夫 教授 [ 教員業績 JP EN ] 北山 大輔 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 5つのテーマの実験を行いシステム数理学の基礎知識を体得する.「シミュレーション」では計算機による数値実験を学ぶ.「音声処理」「画像処理」の実験にて,ビッグデータの多くを構成する音声情報と画像情報の扱い方に触れる.「センサ・フュージョン」と「Webアンケートシステム」では,より実用に近い,複数のセンサの活用とWebサーバ上のデータベース構築をそれぞれ学ぶ.
- <受講にあたっての前提条件>
- これまでに受講した関連の講義内容について,よく復習しておくこと.
- <具体的な到達目標>
- 各回の実験テーマについて,内容と目的を理解し,適切に実験を実施し,データを分析し,レポートを書くことができる.
- <授業計画及び準備学習>
- 1.ガイダンス
システム数理学実験の目的と内容について説明する.また担当教員,TAの紹介を行う.実験(1)(2)について,基礎知識の講義とレポート作成の指導を行う. (準備)実験(1)(2)のテキストを読み,内容を理解しておくこと.
2.実験(1) シミュレーション(シミュレータの動作原理) (ねらい)計算機上でのシミュレーション実現方式を理解する (内容)決定的モデルのシミュレータと状態管理方式を試作する (得られること)微分方程式でモデルが確立されている現象についてシミュレータを自作できる (予習)テキストの決定的モデルシミュレーションの項目を理解しておくこと
3.実験(1) シミュレーション(シミュレータの活用方法) (ねらい)再現したい現象に応じた方式の選択と作成方法を理解する (内容)モンテカルロ,エージェントシミュレーションを試作する (得られること)モデルが不明確な現象をシミュレーションにより実現できる (予習)テキストのモンテカルロシミュレーション,エージェントシミュレーションの項目を理解しておくこと
4.実験(2) 音声処理(周波数スペクトル分析) (ねらい)音声をパソコンに取り込み,音声現象を波形で確認する.さらに周波数領域への変換処理を行い,周波数スペクトルについて理解する. (内容)音声の特徴であるフォルマント周波数,基本周波数の抽出を行う. (得られること)音声の時間領域での情報(波形)と周波数領域での情報(スペクトル)が等価であることを学習する. (予習)音声に関する参考書を読み,音声に関する事前知識を得ておくこと.
5.実験(2) 音声処理(音声合成) (ねらい)音声合成技術を体験的に学習する. (内容)UTAUを用いて歌声を合成し,伴奏とミックスして歌声入りの曲を作成する. (得られること)歌声の実践的な合成方法,自然な歌声合成に必要なパラメータの調整方法. (予習)音声合成の種類や合成方式について調べておくこと.
6.レポート作成指導および再実験 実験(1)(2)のレポート指導および再実験を行う.実験(3)(4)について,基礎知識の講義とレポート作成の指導を行う. (準備)実験(3)(4)のテキストを読み,内容を理解しておくこと.
7.実験(3) 画像処理(画像の加工) (ねらい)画像データの基礎的な処理方法を,プログラミングを通して学ぶ. (内容)ディジタルカメラで撮影した画像をLabVIEWで加工するプログラミングを作成し,実験を行う. (得られること)LabVIEWによる画像処理の基本的な操作 (予習)画像に関する参考書を読み,画像情報に関する基礎的な知識を得ておくこと.
8.実験(3) 画像処理(画像の認識) (ねらい)画像認識の各機能を小型コンピュータに実装する (内容)RaspberryPi専用カメラモジュールで取得した画像に対し,画像認識の諸機能を利用する (得られること)小型コンピュータRaspberryPiの導入と画像認識のプログラミング技術 (予習)画像処理およびパターン認識に関する参考書を読み,基礎知識を得ておくこと.
9.実験(4) センサ・フュージョン(センサと計測システム) (ねらい)各種センサ信号のAD変換と小型コンピュータでのデータ取得を実装する (内容)RaspberryPiに接続のセンサを用いて,物理環境のディジタル信号を取得する. (得られること)センサの利用とディジタル信号の取得技術 (予習)情報学実験で学んだブレッドボードを用いる電気回路について理解し,IoT (Internet of Things) についての基礎知識も得ておくこと
10.実験(4) センサ・フュージョン(複数センサからの状態推定) (ねらい)カメラや複数のセンサ信号で得た信号から状態推定を行う (内容)RaspberryPiに接続の複数のセンサを用いて,物理環境の状態を推定する. (得られること)複数センサによる時系列信号からの状態推定技術 (予習)前回までの実験内容を確実に理解しIoTについて基礎知識を得ておくこと
11.レポート作成指導および再実験 実験(3)(4)のレポート指導および再実験を行う.実験(5)について,基礎知識の講義とレポート作成の指導を行う. (準備)実験(5)のテキストを読み,内容を理解しておくこと.
12.実験(5) Webアンケートシステム(Webシステム) (ねらい)Webサーバ上で動作するプログラムおよび不正な入力への対処を学ぶ (内容)Webフォームの構築,正規表現による入力内容チェック,サニタイジングを実装する (得られること)データの整合性およびシステム保護の観点の入力をWeb上で動作するプログラムを実装できる (予習)テキストのWebサーバ,Webプログラミングの項目を理解しておくこと
13.実験(5) Webアンケートシステム(データベース) (ねらい)Webサーバ上のデータベースへのデータの蓄積とその集計方法について学ぶ (内容)データベースを構築し,Webプログラムを用いてアクセスし,集約関数を操作する (得られること)データベースの操作方法を知り,入力者側,データ集計側その双方を意識したアンケート作成ができる (予習)テキストのデータベース操作言語,Webプログラミングによるデータベースアクセスの項目を理解しておくこと
14.学習内容の振り返り 実験した内容の修得状況を確認する
- <成績評価方法>
- 成績は,出席,実験の実施,実験レポートの提出で評価する.到達目標に照らして,6段階のGrade(A+,A,B,C,D,F)で評価し,D以上の者に単位を認める.
- <教科書>
- 「実験テキスト」をKuportからダウンロード,印刷,熟読し,実験の内容,手順をよく確認しておくこと.
- <参考書>
- 実験テキストで指定される文献の他,関連する書籍は多数あるので,事前によく勉強しておくこと.
- <オフィスアワー>
- 矢崎オフィスアワー:後期は火曜日11:00-12:00(新宿校舎A-2778)
上記日時以外でもメールで予約の上で面談可.メールアドレスは情報学部学修ガイダンスに記載.
- <学生へのメッセージ>
- システム数理学実験の内容は,情報学実験と接続して,3年次以降のセミナーや卒業論文などの専門科目修得に不可欠な非常に重要な課題を取り上げている.事前によく予習して,真剣に実験に取り組んでもらいたい.
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