2019年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科

情報デザイン先端技術(Technical Topics of Information Design)[2E20]

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2単位
蒲池 みゆき 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
現代社会において、情報に関する技術は、我々が日常生活を送る上で欠かせないものである。しかしながら、情報に関する技術は広範囲にわたっており、分野だけではなく、研究開発のフェーズも、基礎研究から応用、さらには実用化、商品開発まで多岐にわたっている。本講義では、社会の第一線でご活躍されている講師を大学外部からお招きして、オムニバス形式で講義を進める。
本講義を通して、情報に関するさまざまな分野の知識と研究開発に触れ、自らの視野を大きく広げてもらいたい。なお、講義の内容は学部・修士課程の両者にとって有益なものとなることから、同時開講とする。

<受講にあたっての前提条件>
各講義分野について、事前によく調べ講義に臨むこと。質問時間がある場合には積極的に質問すること。

<具体的な到達目標>
各回の講義を通して、情報が関係するさまざまな分野の研究、開発状況やその方法論を学修し、他の講義に活かすこと。また就職、進学を考えるヒントを得ること。

<授業計画及び準備学習>
1.9月17日  講義ガイダンス (担当:蒲池)
授業の進め方の説明、受講にあたっての準備などの説明を行う。
Kamachi will make the guidance of this lecture series.

2.9月24日 講師:和田有史(立命館大学 食マネジメント学部)
講義題目:食と感覚・認知情報処理
内容:おいしさや安全など、食については誰もが興味を持つところだが、日常的 に使われている食に関する用語が学術用語と意味がずれていたり、間違った知見 が常識化していたりすることが多く、非専門家による科学的理解を困難にしてい る。そこで本講義では、味嗅覚と多感覚知覚、ステレオタイプなどの食の心理・ 認知科学的知見の基礎を概説する。
 
3.10月1日 講師:鳴海拓志(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  講義題目: リアリティと現実をデザインする
  内容: 比較的低価格で高性能なヘッドマウントディスプレイが登場したことで,バーチャルリアリティ(VR)は幅広い分野で使われるようになってきています.VRというとゲームやエンタテインメントとして現実とは違う世界に出かけて楽しむもの,というイメージを抱かれがちですが,設計・製造,教育・訓練,医療まで幅広い分野で使われ初めており,現実の世界を変えはじめています.さらには,VRで得た体験が,われわれ自身の思考や行動をも変え,それによって間接的に現実が変わっていることも明らかになってきています.見た目と匂いを変えることで味を提示できるメタクッキー,食べ物の見た目の大きさを変えることで食べる量を変える拡張満腹感,円形の壁を触りながら周囲を歩いているにもかかわらずずっと直進して感じさせるUnlimited Corridorなど,これまでの講師の研究例を示しながら,人の感覚に働きかけてわれわれが感じるリアリティを設計する方法,そしてそれを通じて現実にも影響を与える方法について議論します.

4.10月8日 講師:河邉隆寛(NTTコミュニケーション科学基礎研究所人間情報研究部感覚情動研究グループ)
講義題目:錯覚の実世界実装に関わる諸問題
内容: リアリティをどう伝えるか、という問題は人間の知覚を抜きにしては語れない。特に、人間は外界の情報をいつも正しく知覚しているわけではなく、多くの錯覚を含んだ世界をリアルな世界であると感じている。それを逆手にとって錯覚を実世界に実装することにより、高いリアリティを保ちながら実対象の視覚印象を操作することが可能となってきた。本講義では、変幻灯、Hidden Stereo、浮像、Danswing papers、モアレディスプレイなどの事例を取り上げつつ、錯覚の実世界実装を題材とし、その利点と問題点を議論する。

5.10月15日 講師: 郷田直一(自然科学研究機構生理学研究所)
 講義題目: 脳における視覚情報処理:脳機能イメージング
 内容: 私たちは複雑な視覚入力から様々な情報を瞬時に読み取ることができる。このような、知覚・認知には脳内の並列的・階層的な情報処理が関わっているが、その過程は、機能的MRIなどの脳機能イメージングにより調べ、可視化することが可能である。
本講義では、ものをみて素材感などの質感を感じるときの脳の活動の計測例を紹介しながら、視知覚、認知を支える脳のメカニズムについて概説する。

6.10月29日 講師: 山田節夫 (NTTメディアインテリジェンス研究所 知識メディアプロジェクト)
 講義題目: 要件定義の図解術
 内容: ソフトウェア開発において、図解術(ソフトウェア開発の要件を自然言語ではなく、図や表で記述する方法)を利用する場面を解説し、図解術に載っている図表をいくつか説明する。最後に、いくつか図解を記述する演習(またはレポート)を行う。

7.11月12日 (調整中)

8.11月19日 講師: 五味裕章(NTT コミュニケーション科学研究所 人間情報研究部 感覚運動研究グループ)
  講義題目:感覚運動系における脳の情報処理
  内容: 人はどのような情報処理によって外界から得た感覚情報に基づいて運動を生成するのか?これは多くの人が抱く疑問であり,また学術的・応用的にも極めて重要性の高い問題の1つである.本講義では、腕や眼の運動を題材に,感覚系から入った信号がどのような情報処理を経て運動生成に結びつくかについて様々なレベルで明らかにしようとする,計算論・モデル・心理物理・神経生理学などの研究事例を紹介する.

9.11月26日 講師: 鈴木健嗣 (筑波大学大学院システム情報工学研究科人工知能研究室)
 講演題目: 人々の行動を理解し支援する未来の人工知能技術
 内容: 人々の残存機能や、本来有する能力を引き出すための未来の人工知能技術に関する研究を紹介する。これらは、人々の行動の深い理解に基づき、工学的な手法により人と機械系が一体となって行動形成を支援することで、人々が主体性を持って社会的な行動を行う未来を実現するための人工知能技術である。

10.12月3日 講師: 柏野牧夫(NTT コミュニケーション科学基礎研究所スポーツ脳科学プロジェクト)
 講演題目: スポーツ脳科学
 内容:スポーツの試合では、状況把握や相手との駆け引き、プレッシャー下での瞬時の意思決定をはじめとするさまざまな脳機能が勝負の鍵を握る。しかもその大半は、本人も自覚できない「潜在的」な脳機能である。2017年1月に発足したNTTスポーツ脳科学プロジェクトでは、トップアスリートの優れた潜在脳機能を解明して勝つための要因を特定し、それに基づいて実際にアスリートのパフォーマンスを向上させることをめざして研究を進めている。本講義では、野球とソフトボールを中心に、研究内容の一端を紹介する。

11.12月10日 講師: 大野健彦(NTTテクノクロス)・濱口菜々(NTTテクノクロス)
 講演題目: 我々の生活における情報を形作るサービスデザイン
 内容: 我々はこれまで、NTT研究所における様々な研究成果に基づき、生活の様々な場面に存在する情報のサービスデザインに取り組んできた。本講義では、我々のこれまでの取り組みを紹介し、サービスデザインの重要性と課題について論じる。

12.12月17日 講師: 前山和喜(総合研究大学院大学文化科学研究科日本歴史研究専攻)
 講演題目: 計算キの日本史 ―計算行為と人間・社会・科学・技術の関わり―
 内容: 情報社会の進展や、その恩恵の大きさは、暮らしの中で周りを見回すか、利用率などのデータを見れば「明らか」と言えるでしょう。一方で、その実体は分かりにくく、何がそれらの支えとなっているのかを捉えるのは簡単ではありません。本講演では、計算器が計算機へと変わっていく20世紀以降の“日本”の歴史に触れます。タイトルにもある「計算キ」は、日本語だからこその面白さです。その発展過程の中に、科学・技術研究の実装や普及による社会の移り変わり、言わば、私たちの社会や世界の新たな価値観の受容を見出していきます。本講演は「歴史を知ってください!」というものではありません。今、私たちが生きている社会を見る時の新しい視点を共有し、現代、そして未来の社会について、受講生の皆さんと議論することに重心を置いています。ちなみに講演者は皆さんと同世代の25歳です。

13.12月24日 講師: 水越興治(ポーラ化成工業株式会社)
 講演題目: 化粧品開発と情報科学
 内容: 皆様は化粧品を支える技術・科学といえば何を思い浮かべるでしょうか?化粧水、クリーム、ファンデーションを設計する界面化学、アンチエイジングを達成するための皮膚科学、生化学、薬科学でしょうか?いえ、それだけではないのです。化粧品には情報科学も深く関わっているのです。本講演では、演者がこれまでに取り組んだ数千万件のヒト計測データのビックデータ解析、機械学習を用いた皮膚分析法の開発、さらには蒲池教授と行った心理・情報科学手法を用いた顔の印象解明といった情報科学起点の研究内容をご紹介するとともに、化粧品産業における情報科学の秘めた可能性をお話します。

14.1月31日 授業の振り返り

<成績評価方法>
毎回出席を取る。成績は毎回講師が要求するレポート等の合計点で評価する。レポート提出方法は毎回連絡するので、必ず出席の上で確認すること。
遅れての提出は,実務上採点不可能となるため受け付けられない.必ず指定の日時,方式で提出すること.

<教科書>
指定教科書はない

<参考書>
各講師の指示する参考書、HPなど。

<オフィスアワー>
質問は講義時間中または講義終了後

面談希望者は事前に蒲池宛、メールで連絡、確認すること
基本オフィスアワーは八王子校舎水曜5限(02-609),あるいは新宿校舎月曜3限(24F:合同の講師室)の時間内で.

<学生へのメッセージ>
本講義は、2015年度から開講されていた講義をもとに、2018年度からリニューアル開講する内容となっている。
情報学に関わるさまざまな分野の高度な知識と経験をおもちの講師をお招きし、ご講演いただく。
大変貴重な機会なので、講義には真摯な態度で、かつ真剣に臨んでもらいたい。


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