2019年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科

ソフトウェア工学I(k)[2L08]

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2単位
位野木 万里 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
ソフトウェア製品開発の分析,設計,開発,テストなどの一連の開発手法の基礎知識を理解し,情報社会の様々な問題解決をソフトウェアにより実現する考え方を身に着けることをねらいとする.

<受講にあたっての前提条件>
プログラミング科目の単位を取得していること.

<具体的な到達目標>
製品ソフトウェア開発を行う上での用語,手法,表記方法を理解し説明できる.

<授業計画及び準備学習>
以下の項目に沿って講義を進める.場合によっては順番が前後することもあるが,その場合は事前に告知する.

1.ガイダンス:ソフトウェア工学,オブジェクト指向
ソフトウェア製品を工業的に開発するプロセスや手法を概観する.製品ソフトウェアの分析,設計,実装をシームレスに実現するための開発手法としてオブジェクト指向技術について解説する.
準備学習:教科書第1章,第2章を熟読し,演習問題を解く.

2.開発方法論
開発プロセスと工程成果物について説明する.ソフトウェア開発成果物を表現する図の表現言語であるUMLについて解説する.
準備学習:教科書第6章を熟読し,演習問題を解く.

3.開発プロセス体験演習
グループワークによりソフトウェア製品開発の全体プロセスを疑似体験する演習を行う.これにより,以降の講義でのソフトウェア製品開発の個々の開発技術の具体イメージを把握する.
準備学習:教科書第1章,第2章,第3章を復習する.

4.要求分析:ユースケース,シナリオ
要求分析プロセスを概観し,要求を獲得する技術である,ユースケースモデリング,シナリオ分析について解説する.
準備学習:教科書第4章を熟読し,演習問題を解く.

5.要求定義:ソフトウェア要求仕様書(SRS)
要求定義プロセスを概観し,要求仕様書の構成,記述方法,品質評価方法について解説する.
準備学習:第4回までを総復習する.

6.設計:クラスモデリング
ソフトウェア設計プロセスを概観し,オブジェクト指向技術における静的な観点からのクラス設計の考え方を解説する.
準備学習:教科書第6章の復習

7.設計:アーキテクチャ,振る舞い
前回のソフトウェア設計プロセスの続きとして,オブジェクト指向技術における動的な観点からのクラス間相互作用の設計の考え方を解説する.
準備学習:第6回の復習および教科書第6章の復習

8.設計:状態遷移
前回,前々回に引き続きソフトウェア設計プロセスにフォーカスして,オブジェクト指向技術における,オブジェクトの状態遷移の観点からの設計の考え方を解説する.
準備学習:第6回,第7回の復習および教科書第6章の復習

9.アーキテクチャ設計
ソフトウェア実装に向けて,開発言語や実行環境を考慮した設計の最適化や,保守や仕様変更に対応しやすい設計ノウハウについて解説する.
準備学習:教科書第7章を熟読し,演習問題を解く.

10.モジュール設計・実装
大規模プログラムを分割して開発管理がしやすくする方法や,望ましい分割の考え方について解説する.
準備学習:教科書第9章を熟読し,演習問題を解く.

11.ソフトウェアテスト:プロセスと技法
ソフトウェアテストのプロセス:単体,結合,システム,ユーザ検証テストを概観し,テストを網羅的かつ効率的に実施するための技法について解説する.
準備学習:教科書第11章を熟読し,演習問題を解く.

12.ソフトウェアテスト:テスト仕様の作成
前回に引き続き,ソフトウェアテストの技術について解説する.とくに,ソフトウェアテスト仕様の作成方法について解説する.
準備学習:教科書第11章および第11回の復習

13.プロジェクト管理
製品ソフトウェアをプロジェクトにより開発する際の基本的な考え方について解説する.プロジェクトにおいて,第1回~第12回で習得した技術がどのように活用されるのか,決められた期間や予算内で開発する際の留意点は何かなどについてディスカッションをしながら理解を深める.
準備学習:教科書第3章を熟読し演習問題を解く.

14.学習内容の振り返り
準備学習:定期試験で解けなかった問題の解き方を考えておく.

【実務経験のある教員による授業科目】
デジタルソリューション開発会社での勤務経験に基づき,多様化する顧客にリーチする製品ソフトウェアを含むソリューション/サービスの開発技術の基本知識,開発手法とツール,具体事例を想定した場合の成果物の作成方法や品質確認の方法について講義する.

<成績評価方法>
講義中に演習課題を実施し,その結果をレポートとして提出する.試験期間中に試験を実施する.期末試験(50%)および課題の評価(50%)による総合得点で,到達目標に照らして,6段階のGrade(A+, A, B, C, D, F)で評価し,D以上の者に単位を認める.

<教科書>
高橋直久,丸山勝久:情報工学レクチャーシリーズ ソフトウェア工学,森北出版,2010

<参考書>
指定参考書なし.

<オフィスアワー>
木曜日:16:00〜17:00 新宿校舎A-2315(高信頼ソフトウェア開発工学研究室)

<学生へのメッセージ>
単にプログラムを作成することと,製品ソフトウェアを工業的に構築することの違いをしっかり習得していただきたいと思います.製品ソフトウェアを工業的に構築するのは大変難しいことですが,家を建てる,家電を生産するなどの別の製品開発のアナロジーを適用すると,その違いが分かるようになると思います.


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