2019年度工学院大学 情報学部情報通信工学科
△電子デバイス工学(Electron Devices)[4H19]
2単位 天澤 敬生 非常勤講師
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 現代のIT社会では、様々な情報処理を行うLSIのほか、LED照明や太陽電池などの電子デバイスが必要不可欠となっている。本授業のねらいは、まず、これらに用いる半導体とは何か、またどのような性質を利用して信号処理や発光・発電などの機能を実現しているかを理解する。さらに、デバイスの構造や製作法の概略を知り、社会ニーズに答えるソフトやシステムを構築するうえで電子デバイスを使いこなすための基礎知識を身につける。
- <受講にあたっての前提条件>
- 大学教養レベルの数学と物理学の習得を前提とするが、授業で用いる基本公式などはその時点でまとめて提示する。
- <具体的な到達目標>
- ・物質の導電性の違いやデバイス動作を説明する手法としての「エネルギーバンド」の考え方を理解する。
・半導体中でのキャリア生成と流れの挙動、即ち「電流」を定量的に理解する。 ・半導体デバイスで基本となる「pn接合」の作用を理解する。 ・具体的デバイスとして、トランジスタ、MOSFET、各種LSI、LED、レーザ、太陽電池のほか、電子応用機器としてディスプレイや記憶機器を取り上げ、動作原理と構造、製法を理解する。
- <授業計画及び準備学習>
- 第 1週 情報・通信と電子デバイス
電子デバイスとは何か、現代社会での位置づけと歴史、信号・情報処理 の概要を知る。 [準備学習] 教科書 p.3-10 (第1章 情報・通信と電子デバイス) 第 2週 固体のエネルギーバンド エネルギーバンドの考え方を、古典論と量子論2つのアプローチから理解。 [準備学習] 教科書 p.11-19 (第2章 固体のエネルギーバンドと電子の分布) 第 3週 半導体中でのキャリア生成 金属・半導体・絶縁体のほか、真性半導体とp型及びn型半導体など、 導電性に差が生じる要因をフェルミ準位とキャリア密度の関係から理解。 [準備学習] 教科書 p.19-32 (第2章 固体のエネルギーバンドと電子の分布) 第 4週 キャリアの流れと電気伝導 デバイス動作の電流を決定する2つの基本方程式:ポアソン及び連続の 方程式を習得し、金属や半導体の電気伝導度が桁違いに異なる現象 について、試算・比較して体得する。 [準備学習] 教科書 p.33-39 (第3章 半導体中での電子、正孔の流れと生成、 再結合) 第 5週 pn接合とショットキー接合 電子デバイスの基本要素であるpn接合とショットキー接合について、 電荷分布とキャリアの流れ及びダイオードの整流作用を理解。 [準備学習] 教科書 p.41-58 (第4章 pn接合とショットキー接合) 第 6週 バイポーラ・トランジスタの原理 バイポーラ・トランジスタの構造と動作原理を理解。 [準備学習] 教科書 p.59-65 (第5章 バイポーラ・トランジスタ) 第 7週 バイポーラ・トランジスタの特性 バイポーラ・トランジスタの特性とパラメータについて理解。 [準備学習] 教科書 p.65-74 (第5章 バイポーラ・トランジスタ) 第 8週 MOSダイオード MOS構造の原理、および基本となるC-V特性を理解。 [準備学習] 教科書 p.75-90 (第6章 MOSFET) 第 9週 MOSFET FETの構造としきい値電圧等の特性を理解。 [準備学習] 教科書 p.90-104 (第6章 MOSFET) 第10週 化合物半導体デバイスと光デバイス 化合物半導体とその特徴を理解し、高周波および光デバイスへの利用を知る。 [準備学習] 教科書 p.169-209 (第10章 III-V族化合物半導体、 第11章 通信用マイクロ波デバイス、第12章 光デバイス) 第11週 集積回路の構造とプロセス MOSFET及びバイポーラ・トランジスタを用いた各種集積回路の構造と製作 プロセスを理解。 [準備学習] 教科書 p.211-222 (第13章 集積回路) 第12週 集積回路の具体例 DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ロジック、MPU (CPU)、イメージセンサ等の の代表的なLSIを知る。 [準備学習] 教科書 p.107-129, 211-222 (第7章 電荷結合デバイスとイメージセンサ、 第8章 メモリ・記録、第13章 集積回路) 第13週 電子応用機器 磁気記録や光記録およびディスプレイ等、半導体以外の機能を利用した 主要な電子応用機器を知る。 [準備学習] 教科書 p.129-167 (第8章 メモリ・記録、第9章 ディスプレイ) 第14週 学習内容の振り返り 全体の講義内容を復習する。 [準備学習] ファイルを整理し、疑問点などについてまとめる。
- <成績評価方法>
- 小テスト・演習(30%)及び定期試験(70%)の結果による。定期試験では、基本概念の理解度のほか、講義で示すキーワードやその応用能力などをチェックする。
- <教科書>
- 「電子デバイスの基礎と応用」長谷川文夫・本田 徹 共著(産業図書)
- <参考書>
- 「半導体デバイス第2版−基礎理論とプロセス技術−」 S.M.ジィー著、南日、川辺、長谷川訳(産業図書)
- <オフィスアワー>
- 授業の後に教場で。それ以外については、事前にメールで連絡を入れることが望ましい (t-amazawa@ttv.ne.jp)。
- <学生へのメッセージ>
- 授業は概ね教科書に沿って進める。毎週、講義内容をまとめた補足資料を配付するので、各自の記入内容や小テストと合わせてA4ファイルに綴じ、講義録として体系的に整理すること(定期テストで参照可能)。予習は、教科書を読むだけでは理解困難な部分が多いので、太字で書かれたキーワードと図面に目を通して、何が理解できないかをイメージしておくこと。授業では初歩から分かりやすく講義するので、確実に理解できるよう授業に集中すること。また講義を聴いているだけでは身につかないので、手を動かした簡単な計算なども想定する。重要なポイントや理解しにくい点については、当日中に復習しておくこと。受講に当たっては、A4紙50枚程度が入るファイル、A4レポート用紙、鉛筆、消しゴム、自然対数や指数計算可能な関数電卓を持参すること。
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