2019年度工学院大学 情報学部情報通信工学科
△移動通信工学(Mobile Communication Engineering)[3H14]
2単位 大塚 裕幸 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい>
- 情報通信ネットワーク,特に移動通信(携帯電話)の基本技術を習得する.
・位置登録,一斉呼び出し,ハンドオーバーなどの移動通信特有の基礎技術を理解する. ・アクセス方式,ディジタル変復調技術,マルチアンテナ技術を習得することにより,移動通信システム全体の構成を理解する.
- <受講にあたっての前提条件>
- 前期の「無線通信工学」を受講していることが望ましい.
- <具体的な到達目標>
- ・移動通信の基本技術,要素技術を理解し,それらの機能を説明できる.
・マルチアンテナ技術を理解し,その機能を数式で表現できる. ・ディジタル変復調技術,OFDM伝送技術の動作原理を説明でき,かつその現象を科学的に説明できる. ・無線リソースの割当て方法を理解し,その特徴と効果を説明できる.
- <授業計画及び準備学習>
- 1.ガイダンス,情報通信の技術動向
・移動通信の定義を理解する.また,携帯電話およびWiFiの進化の概要を理解する. 2.IoTの基礎的事項 ・IoTを支えるネットワークの基礎的事項を理解する. 3.移動通信の歴史,第1世代から第5世代へ ・世代別に見た移動通信システムの特徴,発展状況を理解する.また,次世代移動通信システム5Gの動向を理解する. 4.移動通信システムの基礎的事項1 ・ネットワークとユーザ端末のつながる仕組み,および位置登録,ページングの機能を理解する. 5.移動通信システムの基礎的事項2 ・ユーザが移動中に接続先基地局が自動的に切替わるハンドオーバー,および国際ローミングの機能を理解する. 6.信号の多重化,多元接続 ・一つの回線を複数のユーザで共有し,多重化されたチャネルの中からそれぞれのユーザが独立に自分あてのチャネルに接続できる多元接続の機能を理解する. 7.マルチアンテナ ・通信品質を向上する,あるいは通信速度を向上することを目的としたマルチアンテナ技術の機能を理解する. 8.送受信アンテナダイバーシチ ・選択,等利得,最大比合成送信ダイバーシチ,およびSTBC送信ダイバーシチの機能を理解する. 9.MIMO空間多重,ビームフォーミング ・特定のユーザに電波を発射するビームフォーミング,およびマルチアンテナを用いて空間で信号多重を行うMIMO空間多重の機能を理解する. 10.移動通信におけるフェージング ・移動通信すなわち携帯電話を使用する際,移動に伴って無線区間は激しく変動する.この移動通信特有のフェージング現象を理解する. 11.ディジタル変復調,QAM変復調 ・ディジタル変復調の一つであるQAM変復調の構成と機能を理解する.また数式による表現を理解する. 12.多重化方式OFDM ・LTE,WiFiで用いられているOFDM技術の構成と機能を理解する. 13.スケジューリング ,適応変調符号化 ・無線リソースを効率よく複数のユーザに割り当てるスケジューリング技術を理解する.また代表的な3つのスケジューリング技術を理解する.さらに,無線区間のチャネル品質に応じて最適な変調方式と符号化率を選択する適応変調符号化の機能を理解する. 14.学習成果の振り返り
【実務経験のある教員による授業科目】 企業の研究開発部門での経験を活かして,移動通信の基本的な知識および携帯電話システムの設計手法について講義する.
- <成績評価方法>
- 定期試験期間内に実施する期末試験(80%),授業中の小テスト(20%)の成績をもとに理解度をA+, A, B, C, D, FのGradeで評価する.Grade D以上を合格とする.
- <教科書>
- 指定教科書なし.パワーポイントで作成した講義資料を使用する.
- <参考書>
- 本科目も含めて情報通信ネットワークを幅広く学びたい諸君には;
大塚裕幸監修;基本からわかる 情報通信ネットワーク,オーム社
- <オフィスアワー>
- 水曜日 15:30〜16:10 新宿校舎A−2277
- <学生へのメッセージ>
- 質問は歓迎する.オフィスアワー以外の時間でも歓迎するが事前にアポイントメントをとるように.
- <備 考>
- 特になし.
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