2019年度工学院大学 建築学部

線形代数学II(Linear Algebra II)[4213]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
礒田 恵以子 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
まず、線形空間と、線形空間の間の線形写像について学習する。「線形代数学I」で学んだベクトルを集めると抽象的な線形空間の一例とみなすことができ、線形空間の基本概念として線形独立性、基底、次元がある。これらは数学のあらゆる分野の基礎であり,微分積分と並んで例えば制御理論や量子力学などの数学以外の分野にも幅広く応用されている。また線形写像は平面から平面への写像のように2次元以上の写像(関数)の基礎を与える。行列は線形写像を表現したものであり、行列の成分を係数とした連立1次方程式の解法を利用すれば線形写像の性質が調べられる。
さらに、行列の固有値と固有ベクトルの意味や計算方法、および行列の対角化を学習する。線形写像を表現する行列の成分は線形空間の基底の選び方に依存する。扱いやすい行列である対角行列になるように基底を選ぶことを対角化といい、そのためには固有値・固有ベクトルの計算が必要である。線形空間や線形写像を応用する場合に対角化まで必要なことが多く、本科目を修得すれば専門分野における問題解決が可能となる。

<受講にあたっての前提条件>
「線形代数学I」の内容をきちんと理解している必要がある。

<具体的な到達目標>
1. 線形空間の部分集合がその部分空間であるかどうか判定することができる。
2. 線形空間の基底を構成し、次元を求めることができる。
3. 線形写像の核と像の基底・次元を求めることができる。
4. 正方行列の固有値と、各固有値に対する固有空間の基底を求めることができる。
5. 正方行列が対角化可能かどうか判定し、可能なときは実際に対角化することができる。
6. 対称行列を直交行列によって対角化することができる。

<授業計画及び準備学習>
1. 線形空間とその部分空間
  線形空間について解説する。
  準備学習:「線形代数学I」で学習したベクトルや行列の演算と基本性質を復習しておくこと。教科書6.1節〜6.2節を熟読し、問題を解いておくこと。
2. 線形独立と線形従属
  ベクトルの線形独立と線形従属について解説する。
  準備学習:前回学習した線形空間とその部分空間について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書6.3節を熟読し、問題を解いておくこと。
3. 基底と次元
  線形空間の基底と次元について解説する。
  準備学習:前回学習したベクトルの線形独立と線形従属について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書6.4節を熟読し、問題を解いておくこと。
4. 線形写像
  線形写像について解説する。
  準備学習:前回学習した線形空間の基底と次元について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書7.1節〜7.2節を熟読し、問題を解いておくこと。
5. 線形写像の核
  線形写像の核について解説する。
  準備学習:前回学習した線形写像について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書7.3節(p.170 練習7.2まで)を熟読し、問題を解いておくこと。
6. 線形写像の像
  線形写像の像について解説する。
  準備学習:前回学習した線形写像の核について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書7.3節を熟読し、問題を解いておくこと。
7. 2次正方行列の固有値・固有ベクトル
  2次正方行列のみを対象に、固有値・固有ベクトルについて解説する。
  準備学習:線形空間の理論と基本性質を復習しておくこと。教科書8.1節を熟読し、問題(練習8.1)を解いておくこと。
8. 3次以上の正方行列の固有値・固有ベクトル
  3次以上の正方行列を対象に,固有値・固有ベクトルについて解説する。
  準備学習:前回学習した固有値・固有ベクトルについて復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書8.1節の問題を解いておくこと。
9. 行列の相似と対角化
  行列の相似と対角化について解説する。
  準備学習:前回学習した固有値・固有ベクトルで3次以上の正方行列の場合について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書8.2節を熟読し、問題を解いておくこと。
10. 正規直交基底
  正規直交基底について解説する。
  準備学習:前回学習した行列の相似と対角化について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書8.3節を熟読し、問題を解いておくこと。
11. 直交行列と対称行列
  直交行列と対称行列について解説する。
  準備学習:前回学習した正規直交基底について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書p.42-43と8.4節を熟読すること。
12. 対称行列の直交行列による対角化
  直交行列による対称行列の対角化について解説する。
  準備学習:前回学習した直交行列と対称行列について復習し、関連する問題を解いておくこと。教科書8.4節の問題を解いておくこと。
13. 行列の対角化の応用
  行列の対角化に関する補足および対角化の応用について解説する。
  準備学習:行列の対角化ついて総復習し、関連する問題を解いておくこと。
14. 学習内容の振り返り
  準備学習:期末試験で解けなかった問題の解き方を考えておくこと。

<成績評価方法>
試験期間に実施する期末試験100%。到達目標に照らして、6段階のGrade(A+,A,B,C,D,F)で評価し、D以上の者に単位を認める。

<教科書>
高木悟 他「理工系のための線形代数[改訂版]」培風館

<参考書>
高木悟 他「理工系のための基礎数学」培風館

<オフィスアワー>
授業の前後に教場で。

<備 考>
「理工系のための線形代数」「理工系のための基礎数学」の訂正は
http://home.att.ne.jp/air/satorut/book/index.html


ナンバリングはこちら
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2019 Kogakuin University. All Rights Reserved.