2019年度工学院大学 建築学部建築デザイン学科

保存・再生デザイン演習(Practice of Preserving and Reusing Structures)[3J02]

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2単位
中島 智章 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
大内田 史郎 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
中村 文美 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<授業のねらい>
 歴史的建造物や町並みを保存して将来に継承していくためには、まず、それらがどのような歴史的・芸術的意義(または、学術的・技術的・芸術的意義)を有しているのかを明らかにし、人々に説明しなければならない。現代の都市的文脈のなかでそれらを継承するためには、現在の様々な事情とすりあわせることも必要である。
 また、近年、地球環境に配慮し良好な状態で維持管理して、建築物の長寿命化を図ることが求められている。その実現のためには実務的な調査が必要とされ、その上で様々な技術上の配慮や工夫が必要である。本演習では、歴史的建造物の実例を通して、建築物の保存や改修に関する実務の流れや、実務上必要となる専門的な技術・工法に関する知識を習得する。
 本演習を通じて、現在の都市の中に様々な歴史的建造物が様々なあり方で残されている(「残されている」とはいえない場合もあるが・・・)ことを認識し、将来の建築設計やまちづくりに役立てるための知識を身につけてもらいたい。

<受講にあたっての前提条件>
 既習科目、または並行履修科目についての前提条件は特にないが、3年次の保存・再生デザイン分野の専門科目を履修していることが望ましい。また、2年次の必修科目全般の知識を前提とし、特に、建築構法、建築法規、建築施工、西洋建築史、近代建築史、日本建築史との関係が深い。保存・再生デザイン分野以外の3年次科目では、建築の安全、構造材料施工、内外装材料施工、ファシリティマネジメントとの関係が深いので、それらを履修しているとよい。

<具体的な到達目標>
1)歴史的建造物の歴史的・芸術的意義(または、学術的・技術的・芸術的意義)について、構造や構法などの技術的な観点(強)、建築計画や建築設備の特徴(用)、および、様式=デザイン的特徴(美)などの観点から説明できるようになること。これは、日本建築学会や建築史学会などで作成される各種「保存要望書」を執筆するための前提となる知識・技能である。
2)実際に実測調査を実施することなどを通して、歴史的建造物の実測調査についての基礎的な知識と技術を理解して適用できるようになる。
3)改良保全に関する一般的な手順を学んだ上で、具体的な歴史的建築物(木造建築、非木造建築)の保存修理、改良保全の実例を取り上げ、そこに用いられた専門的な技術・工法を理解して、分析・評価できるようになる。
4)以上の学びと課題を理解して適用することを通して、具体的な建築物について、改良保全やその計画・施工を行う際の留意点、および、調査研究の視点を適切に分析・評価し、まとめられるようになる。その上で、建築保全、歴史的建造物の保存修復という専門分野に関する課題への意識を高める。

<授業計画及び準備学習>
 授業は「講義」(演習内容の説明・解説)、「演習」(実例の実測調査演習等であり、授業5回分に相当)からなる。具体的な日程、見学先等の情報については第1回授業で説明する。

1. 講義1:全体説明、歴史的建造物の調査法一般
 授業の進め方 建築を記録する様々な手法(文章、図面、写真)
 準備学習:当該授業回の授業レジュメを熟読する。
2. 講義2:歴史的建造物の保存・活用事例
 入園料、保険料、資料代が発生する場合は所定の金額を徴収
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
3. 講義3:歴史的建造物の保存・活用事例
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
4. 講義4:歴史的建造物の保存・活用事例
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
5. 演習1:わが国の洋風建築の事例見学会
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
6. 講義5:歴史的建造物(非木造建築)の「調査」
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
7. 講義6:歴史的建造物(非木造建築)の「保存・活用」
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
8. 講義7:歴史的建造物(非木造建築)の「設計・監理」
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
9. 演習2:歴史的建造物(非木造建築)の保存修復現場見学
 準備学習:歴史的建造物の修理工事報告書の構成を確認する。
10. 講義8:歴史的建造物(木造建築)の「調査」
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
11. 講義9:歴史的建造物(木造建築)の「保存・活用」
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
12. 講義10:歴史的建造物(木造建築)の「設計・監理」
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
13.演習3:歴史的建造物(木造建築)の事例見学会
 準備学習:当該授業回のレジュメを熟読する。
14.学習内容の振り返り
 準備学習:前回までの総復習を行なう。

<成績評価方法>
 レポート課題を3題出題する。それぞれ100点満点で採点し、その平均点が60点以上の者に、達成目標に達したと認め単位を授ける。平均点とグレードの関係は次の通りである。

 90点以上:A+、80〜89点:A、70〜79点:B、60〜69点:C、60点未満:F
 ただし、平均点が60点以上でも60点未満の得点のレポートがある場合は、上記のグレードから1段階引き下げる。

 2014年度以前の入学生については、上記レポート課題の平均点をもって最終得点とし、最終得点が60点以上の者に、達成目標に達したと認め単位を授ける。

<教科書>
指定教科書なし。
 キューポートの「共有フォルダ→170建築系学科フォルダ→授業資料フォルダー→保存・再生デザイン演習」にアップロードされた資料を、あらかじめダウンロードすること。

<参考書>
伊藤延男ほか:『新建築学大系50 歴史的建造物の保存』、彰国社、1999年
陣内秀信、中山繁信編:『実測術―サーベイで都市を読む・建築を学ぶ』、学芸出版社、2001年
その他、授業に関連した参考書は随時紹介する。

<オフィスアワー>
大内田
時間:前期水曜日 16:00〜17:00
場所:新宿キャンパス高層棟26階2672号室(大内田研究室)
その他、簡単な質問は授業前後に教室でも受け付ける。
中島(智)
時間:前期月曜日 17:30〜18:00
場所:新宿キャンパス高層棟26階2676号室(中島(智)研究室)
その他、簡単な質問は授業前後に教室でも受け付ける。

<学生へのメッセージ>
 見学・調査は学外での集団行動になるので、現地では責任感ある行動をとるよう十分に留意すること。

<備 考>
 授業の情報はキューポートに随時掲載するので、頻繁にキューポートを確認すること。キューポートの通知をメイル転送する場合は、携帯キャリア・メイルは絶対に避けること。また、下記サイトにも掲示することがある。

<参考ホームページアドレス>
https://tomoaki2000.wixsite.com/index/


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