2019年度工学院大学 建築学部建築デザイン学科

建築保全学(Theory of Building Surveys)[5B09]

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2単位
初田 香成 准教授  
田中 淳 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<授業のねらい>
近年建築物は、地球環境に配慮したものであることが求められている。そのためには、建築物を良好な状態で維持管理し、その長寿命化を図ることが求められている。本授業では、そのために必要な基礎知識を習得することを目標とし、建築の保全の概念、建築の保全に関わる社会的動向や、関連する法規・資格等の諸制度、実務の概要について学ぶ。また、一般の建築保全の延長線上にあるものとして、歴史的建築物の保存修復をとらえ、その実務のために必要な基礎的な知識を学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
2年次必修科目全般の知識を前提とするが、特に2年次科目では建築法規、建築施工、建築構法、日本建築史と関係が深い。3年次科目では建築の安全、構造材料施工、内外装材料施工、ファシリティマネジメントと関係が深いので、あわせて履修することを希望する。

<具体的な到達目標>
建築を良好に保全していくための、基礎的な専門用語と考え方を習得する。また、建築保全と歴史的建築物の保存修復に関連する法規について、その目的と仕組みを理解する。授業で学んだ知識をもとに、建築の保全計画や調査診断等の基礎的な部分の作業を復習やレポートを通して実際に試み、その具体的な方法や考え方を習得する。

<授業計画及び準備学習>
1 授業の進め方、基礎知識
準備学習:どのような財に中古市場が成立しているのかを考える
2 建築物のライフサイクル、維持保全の概念
準備学習:身近にある建築物の維持管理、改修等の保全の実態を確認する
3 維持保全に関わる法規・資格
準備学習:建築物の維持保全に関わる法制度や資格を調べてみる
4 企画設計段階における維持保全(ライフサイクル設計)
準備学習:建築物の企画から除却までに必要となる費用を調べてみる
5 計画的な維持保全
準備学習:建築物の維持保全を適確に実施するための方法を考える
6 診断・改修・情報管理
準備学習:年数経過により、どのような問題が建築物に生じるのかを考える
7 維持保全に関連する近年の動向@−証券化、エンジニアリングレポート等
準備学習:既存建築物を取得する際に確認しておくべき事項を調べてみる
8 維持保全に関連する近年の動向A−アウトソーシング、環境問題等
準備学習:建築物で使われるエネルギーとその効率的利用方法を調べてみる
9 維持保全の優れた事例
準備学習:長期にわたり活用されている建築物について、その理由を考える
 学習成果の確認(レポート課題作成)
準備学習:建築物の良好な維持保全に必要となる事項を調べ、これまでの学習成果を復習する
10 建築と保存
準備学習:自らが居住している地域の文化財(建造物)について調べる
11 都市と保存
準備学習:自らが居住している地域の歴史について調べる
12 都市・建築保存の制度
準備学習:文化財保護法について調べる
13 都市・建築保存の実例
準備学習:具体的に保存されている歴史的建築物や地区について調べる
 学習成果の確認(レポート課題作成)
準備学習:歴史的建築物又は歴史的地区の事例を調べ、これまでの学習成果を復習する
14 学習内容の振り返り

<成績評価方法>
2回のレポート課題作成(ともに100点満点)で、平均60点以上の成績をおさめた者に単位を認める。レポートの課題及びその留意点については、授業中に説明するが、建築保全、歴史的建築物の保存修復でそれぞれ1課題(各課題ごとに複数の提出物をもとめる場合あり)とする。

<教科書>
建物のライフサイクルと維持保全−建物保全学入門−(新訂版)、公益社団法人ロングライフビル推進協会

<参考書>
伊藤延男他、新建築学大系50 歴史的建造物の保存、彰国社
西村幸夫、都市保全計画、東京大学出版会

<オフィスアワー>
水曜日12:00〜13:00/面談希望者は事前にメールで連絡すること

<学生へのメッセージ>
より良い建物は設計、施工に重要な要因はあります。しかし忘れてほしくないことは、適切な維持管理により長く建物が使われ、利用者にとって、また近隣住民にとって愛すべき建築になっていきます。建物が長く使われる要因を考えてみましょう。


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