2019年度工学院大学 建築学部まちづくり学科

都市空間調査法(Theory of Urban Space Investigation)[2E13]

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2単位
野澤  康 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
都市(地区)の計画を立案するにあたっては、対象となる都市(地区)の現状を正しく読み取り、把握・理解する必要がある。この講義では、都市(地区)の調査・分析・評価を中心的なテーマとして、都市(地区)の見方・調べ方、そして読み取り方・解釈のしかたなどを実践的に学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
前提条件ではないが、一部で、2年次の「都市計画」で学んだ知識を用いる。
必要に応じて、その時の教科書・ノートを用いて復習しておくこと。

<具体的な到達目標>
具体的な達成目標は、以下の3点である。
1)都市(地区)に関する情報・データの種類を理解し、その収集・分析方法を習得する。
2)都市(地区)の見方や読み取り方、解釈のしかた、着眼点を、講義と演習を通して、実践的に身につけて、活用することができる。
3)1)2)によって、都市空間の解釈・評価を適切に行うことができる。

<授業計画及び準備学習>
以下の通り、進めていく。適宜、演習課題を交えて、実践的に理解できるように実施していく。
また、各回の授業は、教科書に沿って講義する部分と、グループおよび個人で取り組む演習の部分とで構成する。

1.授業の全体像のガイダンス(講義と演習の枠組み・関連性)、都市空間を読み取るということとは?
☆準備学習:教科書のはじめに・目次(教科書pp.i-vii)を読み、理解する。

2.様々な都市空間を図から読み取る@(演習中心・個人+グループ。ディスカッション)
数種類の都市空間(住宅地を中心として)の事例地図の読み取り、その領域性の考察
☆準備学習:都市空間の領域にはどのような種類があるか、身近な(日常生活で触れる自宅周辺の)都市空間を見て考えてみる。6色程度の色鉛筆を授業に持参する。

3.様々な都市空間を図から読み取るA(演習中心・個人+グループ。ディスカッション)
数種類の集合住宅事例図面の読み取り、その内部空間・外部空間の領域性の考察
☆準備学習:集合住宅の敷地の領域にはどのような種類があるか、身近な(日常生活で触れる自宅あるいは自宅周辺の)集合住宅を見て考えてみる。6色程度の色鉛筆を授業に持参する。

4.歴史を知る方法・地形図の種類(講義中心)
資料の種類と探し方、資料調査と現場での確認
☆準備学習:教科書pp.1-21を読み、内容を理解する。身近な地域の歴史を知ることのできる資料を探して、読み取る。

5.地形を読み取る方法(講義+演習(地形図を読み取る))
地図の立体化、地名と地形、地形と自然環境、資料調査と現場での確認、歴史と地形との関係
☆準備学習:教科書pp.19-28を読み、内容を理解する。身近な地域の地形図を入手し、それを手に現地を歩く。

6.土地・建物の状況を知る(講義+演習(土地・建物利用現況図を読み取る))
土地・建物利用現況調査、土地・建物の状況を地図から読み取る
☆準備学習:教科書pp.29-38を読み、内容を理解する。身近な市区の土地・建物利用現況調査の結果を示した図を探して、読み取る。

7.人々の生活の状況を知る・計画・事業の履歴を知る(講義中心)
国勢調査等の調査結果、住宅地図・地籍図、生活と産業、都市開発に関わる事業、都市計画図
☆準備学習:教科書pp.39-56を読み、内容を理解する。2年生で学んだ国勢調査や都市計画の事業手法などの復習をしておく。身近な地域の住宅地図を入手して読み取る。

8.フィールド・サーベイの実践方法(講義+グループ。・ディスカッション)
準備、現場でやるべきこと、記録
☆準備学習:教科書pp.57-67を読み、内容を理解する。自分のこれまでの現場の見方を再確認する。

9.都市空間における物的要素の読解(講義中心)
建物、土地、道路、自然などの読解
☆準備学習:教科書pp.67-73を読み、内容を理解する。p.73にあげられた参考文献から、様々な現場の見方を学ぶ。また、特に第4回、第5回の内容と関連するので、復習しておく。

10.ヒアリング調査・アンケート調査の実施方法(講義中心)
インタビュー、オーラル・ヒストリー、質問紙の作成、回収方法、分析
☆準備学習:教科書pp.74-82を読み、内容を理解する。人に話を聞く時の心構えを考えてみる。また、自ら経験したことのあるアンケート調査の手法を振り返る。

11.アンケート調査の実施方法(演習中心・個人)
実際に、アンケートの質問紙を作成してみる。
☆準備学習:まちづくりに関するアンケートの事例を収集して、質問の構成などを分析する。

12.ワークショップの実践方法(講義中心)
ワークショップの準備作業、ファシリテーターの役割、記録・とりまとめ)
☆準備学習:教科書pp.84-90を読み、内容を理解する。ワークショップとは何か、文献などで調べてみる。身近な機会があれば、ワークショップに参加してみる。

13.地域資源・課題の抽出(調査のまとめと発表)(講義中心)
現地での調査をまとめるコツ、調査・分析結果の公表・公開
☆準備学習:教科書pp.91-100を読み、内容を理解する。まちの調査報告書などの成果物を市役所などで探して読んでみる。

14.学習成果の振り返り
☆準備学習:これまでの13回の講義内容を復習する。

<成績評価方法>
授業にきちんと出席することが成績評価の前提となる。
授業中に実施する演習の成果物40%、学期末のレポート60%によって成績を評価する。A+〜Fの6段階評価でD以上の者を合格とする。

<教科書>
「まちの見方・調べ方−地域づくりのための調査法入門」西村幸夫・野澤康編著(朝倉書店)

<参考書>
「まちを読み解く−景観・歴史・地域づくり−」西村幸夫・野澤康編著(朝倉書店)
「建築・都市計画のための調査・分析方法」日本建築学会編(井上書院)
「住環境 評価方法と理論」浅見泰司編(東京大学出版会)
その他、教科書に参考文献として紹介されているものを、適宜参照すること。
また、講義の中でも必要に応じて紹介していく。

<オフィスアワー>
火曜日 10:00〜11:00 (新宿キャンパス26階A-2674号室)
それ以外でもメールでの事前連絡により対応する。
E-mail;nozawa@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
なお、講義開始後の入室は原則として認めないので、遅刻厳禁で臨むこと。
できるだけ、同時進行の「まちづくり演習」(まちづくり学科3年前期)の内容と連動する形で進める。
とはいえ、この講義で扱う内容は卒業研究(論文・制作)でも使う基礎的な素養なので、建築学科、建築デザイン学科の学生の受講も大歓迎である。


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