2019年度工学院大学 第1部電気システム工学科

政治学B(Political Science B)[2B16]

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2単位
小野  一 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
今年度の学期のテーマは、「3つの『村(ムラ)』から読み解く日本政治の転換点」とする。近年の日本で話題になったアクチュアルな素材を通して、変貌著しい現代社会の政治とデモクラシーの問題について考察する。

<受講にあたっての前提条件>
特になし。

<具体的な到達目標>
本講義における具体的な達成目標は以下のとおり。
 (1)現代社会の問題状況を知悉し、新しい政治的テーマの出現とその政策的展開を論理的に考察する。
 (2)授業で学んだ知見を基に、現代社会の問題状況に対し自ら問いを設定し、批判精神をもって現実を読み解く思考態度を養う。
 (3)社会科学の学修の基本である、分析力、論理的思考力、表現力を養う。

<授業計画及び準備学習>
【第1部 政治とは何か】
(1) ひとつの定義:「アメ玉」を使って考える
(2) 政治的正統性:人はなぜ指導者に従うのか/ヴェーバー『職業としての政治』より 
(3) 求められる政治家像:「心情倫理」と「責任倫理」/ヴェーバーの指導者論の批判的検討
【第2部 高江(沖縄県東村)】
(4) 沖縄米軍基地問題:沖縄抜きの「平和」としての日米安保体制?
(5) 平和憲法を対立軸とする国内・国外政治情勢:戦後日本政治の屋台骨とその変容
(6) 「犠牲のシステム」としての福島と沖縄?:高橋哲哉の所論から
【第3部 年越し派遣村】
(7) 派遣切り:日本型雇用慣行の崩壊と経済格差拡大
(8) 「下流社会」化する日本って本当?
(9) 日本型平等主義の終焉?:新自由主義と福祉の狭間で
【第4部 原子力ムラ】
(10) 福島原発事故が変えたもの
(11) 脱原発、ドイツにできてなぜ日本は・・・?:政党政治の観点を中心に
(12) なぜ原発に反対するのか?:テクノロジーだけでない、経済成長と中央集権政治を相対化する視点
(13) 「大切なことはみんなで決めよう」:国民(住民)投票と熟議民主主義を手がかりにデモクラシーのあり方を考える
(14) 学習成果の確認
※ 第1〜3回目は以下の参考書がテキストとなるので、準備学習等に役立てること。それ以降は、講義時間中の指示に注意し、前回の授業の復習を中心に準備学習を行う。具体的な課題が指示されている場合は、それに従うこと。

<成績評価方法>
授業時間中に小レポートを適宜実施する。最終的な成績は学期末の教場試験を主たる評価基準とし、平常点を含む総合評価において60点以上を獲得した場合に合格とする。成績評価はA+〜Fの6段階で行い、D以上の者に単位を認める。詳細は初回講義時に説明する。

<教科書>
教科書は指定しない。ただし、以下の参考書欄を参照のこと。

<参考書>
マックス・ヴェーバー『職業としての政治』(岩波文庫)。このテキストは、第1〜3回目の授業で使用する。「政治とは何か」を考える古典的な書物なので、各自目を通して授業に参加されたい。それ以外の参考書は講義中に指示する。

<オフィスアワー>
八王子校舎1号館1E-310号室:木曜日12:30〜13:30
新宿校舎27階2744号室:火曜日11〜12時
上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。

<学生へのメッセージ>
政治権力が乱用されれば悲惨な結果を招くため、独裁政治の出現を防ぐことは、古今東西を問わず重大な関心事です。今日、少なくとも先進社会では力をむき出しにした独裁政権の出現はまれですが、困難で複雑な問題に際して政治が機能不全に陥れば、その矛盾が非合理な形で民衆にしわ寄せされることもあります。残念ながら近年の日本はその例であり、本講義で示した「3つの『ムラ』」はそれを象徴的に表している例ではないでしょうか。しかし、時代が転換点に差しかかる時に混乱はつきものであり、将来へ向けての模索と考えるならそこにひとすじの希望を見出せるのかもしれません。変化の時代にデモクラシーはどうあるべきか、現代日本の問題状況を題材に考えていきたいと思います。


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