2019年度工学院大学 工学部電気電子工学科

交通システム(Transportation Systems)[5E10]

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2単位
高木  亮 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
電気エネルギーを走行のために用いる「電気利用交通」は,これまで電気鉄道が実用的なものとしてはほぼ唯一の例だったが,近年の技術開発によってこの状況に急速に変化が生じつつある。電気鉄道自身も,新幹線や都市鉄道を始めとしてさまざまな技術的展開をみせている。この科目では,大規模システムの典型例のひとつである電気鉄道を中心に据えつつ,「電気利用交通」の展開について基礎的な知識を得ることを目的とする。
具体的には,電気鉄道がそれ以外と比べて利点があるとされる重要な側面,すなわち「大容量」と「省エネルギー性」の2点について,詳細に議論を行う。

<受講にあたっての前提条件>
電気回路および電気機器についての知識は十分にあることを前提に講義する。

<具体的な到達目標>
<授業のねらい>に記述されたとおり,「電気利用交通」の展開について基礎的な知識を得ることがこの講義の到達目標である。具体的には,電気鉄道の「饋電システム」やそれにおけるパワーやエネルギーのやりとりについて基礎的事項が理解できること,信号システムなど列車を安全・円滑に運行する仕組みについて基礎的事項が理解できることなどである。

<授業計画及び準備学習>
1. この講義の狙い

2. 交通機関と容量:基礎
 輸送力の重要性 高層ビルとエレベータの例
 輸送力と輸送量の計算方法/交通機関の輸送量・輸送力の比較

3. 鉄道の容量(1) れんが壁衝突の仮定
 鉄道の運行本数計算の基本/駅停車列車間時隔と通過列車間時隔/れんが壁衝突の仮定

4. 鉄道の容量(2) 鉄道の信号システム
 閉塞・鎖錠・連動/固定閉塞信号システム/保安システム

5. 鉄道の容量(3) 先進的鉄道信号システム
 CBTC/移動閉塞/相対移動閉塞/ソフト連結

6. 列車の運行計画
 輸送計画/列車ダイヤ/ダイヤパターン/運行管理

6. 鉄道の容量(4) その他の話題
 車両の構造/駅の構造/出改札

7. 交通とエネルギー(1) エネルギーと社会・交通
 社会におけるエネルギーの使われ方/交通機関のエネルギー消費の計算方法

8. 交通とエネルギー(2) エネルギー消費の比較方法と問題点
 well-to-wheel 効率 ライフサイクル評価
 鉄道は本当に環境に優しい? 最新のいわゆるエコカーや航空機との比較

9. 交通とエネルギー(3) 電気駆動のしくみ・車両側

10. 交通とエネルギー(4) 電気駆動のしくみ・地上側

11. 交通とエネルギー(5) ブレーキのしくみ

12. 交通とエネルギー(6) ハイブリッドシステム/蓄電応用

13. 交通とエネルギー(7) 新しい技術の展開
 走り方とエネルギー 鉄道版エコドライブ

14. 学習成果の振り返り

準備学習(予習):特に必要なし。

準備学習(復習):講義時に配布された資料等を読み込み,関連資料等を可能な限り幅広くあたること。練習問題等があれば自分で手を動かし解いてみること。

<成績評価方法>
期末の定期試験で成績を評価し,D以上のものに単位を与える。試験内容としては,鉄道の容量およびエネルギー消費に関するごく基礎的なことがらが理解できているかどうかを問うものとする。なお,出席を毎回とることとし,出席率がある割合を下回った学生には単位を与えないことがある。

<教科書>
なし。適宜プリント等を教室にて配布する。

<参考書>
「最新 電気鉄道工学 (三訂版)」,コロナ社 (2017). ISBN 978-4339009002

<オフィスアワー>
新宿キャンパス23階A-2374室
●水曜日 17:30〜18:00
●金曜日 10:00〜10:30

<学生へのメッセージ>
所属学科等の枠を超え,交通システムに関心がある学生に幅広く興味を持っていただけるような内容となるように考えています。
電気電子工学科の全体カリキュラムにおいて,「交通システム」には「電気機器」と「パワーエレクトロニクス」をつなぎ,典型的応用事例のひとつとしての電気利用交通を学ぶ講義という位置づけがあります。また,「電気システムデザイン」でその入口を学ぶシステム工学的な知識への橋渡しという意味合いもあります。科目選択の際の参考にしてみて下さい。


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