2019年度工学院大学 工学部電気電子工学科

電子物性(Electrinic Properties of Solids)[5N03]

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2単位
相川 慎也 准教授  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
電子デバイスを設計・制御するためには,固体中での電子の振る舞いを理解しておく必要がある.本講義では,その基礎となる電子物性に関する基本的な考え方を修得する.
電子の状態および挙動を議論する上では量子力学の理解が不可欠であるが,本講義では関連方程式の導出・解析よりも現象の定性的な概念を理解できることに重点を置き,極微世界の奇妙な現象に興味を持つことをねらいとする.

<受講にあたっての前提条件>
「線形代数」,「微分積分」,「電気磁気学I」,「物理学」が履修済みであることが望ましい.

<具体的な到達目標>
・古典論と量子論の違いを説明できる
・井戸型ポテンシャル中の粒子のエネルギーが計算できる
・凸型ポテンシャルにおける粒子の挙動を定性的あるいは定量的に説明できる
・一次元結晶中の電子の状態および挙動を説明できる

<授業計画及び準備学習>
1.【イントロダクション】量子力学を学習する上での数学的準備として,簡単な2階微分方程式の解法を学習する.
[事前学習] 第1回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

2.【電子の古典的な扱い】電子の古典的な扱いとその限界について理解する.
[事前学習] 第2回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

3.【量子論的現象】電子などの微視的粒子に特徴的な物理現象を理解する.
[事前学習] 第3回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

4.【シュレディンガー方程式】任意方向の平面波を与え,シュレディンガーの波動方程式を導出する.また,量子力学の要請について学ぶ.
[事前学習] 第4回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

5.【井戸型ポテンシャル@】1次元井戸型ポテンシャルにおける粒子のエネルギー状態について理解する.
[事前学習] 第5回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

6.【井戸型ポテンシャルA】各種井戸型ポテンシャルにおける粒子のエネルギー状態について理解する.
[事前学習] 第6回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

7.古典論と量子論,シュレディンガー方程式,井戸型ポテンシャルに関する学習成果の確認(授業内試験)

8.【凸型ポテンシャル@】確率の流れ密度を定義し,ポテンシャル段差がある系での粒子の振る舞いを学習する.
[事前学習] 第8回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

9.【凸型ポテンシャルA】確率の流れ密度を定義し,ポテンシャル障壁がある系での粒子の振る舞いを学習する.
[事前学習] 第9回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

10.【水素原子モデル】シュレディンガー方程式を水素原子モデルに適用した結果導かれる各量子数と電子状態について理解する.
[事前学習] 第10回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

11.【原子を結びつける力】孤立原子がどのような力で結びつくのか,また電子軌道とはどのような関係があるのかを学習する.
[事前学習] 第11回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

12.【結晶中の自由電子@】クローニッヒ・ペニーのモデルを用いて,結晶構造を形成するとエネルギー値がバンド構造を持つことを理解する.
[事前学習] 第12回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

13.【結晶中の自由電子A】エネルギー分散関係の見方を学習するとともに,正孔および有効質量の概念を理解する.
[事前学習] 第13回目の配布資料に目を通し,講義内容の流れを把握しておくこと.

14.授業内容の振り返り

<成績評価方法>
原則として,中間試験(30%),期末試験(50%),課題(20%)の結果に基づいて,A+〜Fの6段階で評価する.D以上を合格とする.中間試験は第7回の授業内で,期末試験は定期試験期間に実施する.
ただし,5回以上欠席した場合は履修放棄とみなし単位認定を行わない.出席確認はカードリーダーのデータを活用するので忘れずに必ずタッチすること.

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
阿部正紀「電子物性概論 量子論の基礎 (電子・情報工学講座)」培風館(ISBN-13: 978-4563033378),定価:本体3,800円+税
青木昌治「応用物性論 (基礎工業物理講座 6)」朝倉書店(ISBN-13: 978-4254135565),定価:本体3,900円+税

<オフィスアワー>
日時:金曜日12:00〜13:00
場所:八王子キャンパス5号館602号室
E-mail:aikawa[at]cc.kogakuin.ac.jp([at]を@に変えてください)

<学生へのメッセージ>
本講義内容をベースに,後期開講の「電子デバイス」に発展させる.電子デバイス関連に興味のある学生諸君は,両講義を受講することが望ましい.
講義資料を下記にアップロードする.授業前に各自ダウンロードし,必要に応じて印刷・持参すること.
http://intra.ns.kogakuin.ac.jp/~wwa1058/index.html
※学内専用ページのため,学内ネットワークからのみアクセス可能.


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