2019年度工学院大学 工学部電気電子工学科

物理学D(Physics D)[3N08]

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1単位
金 哲 夫 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
物理学C〜Fでは,「物理学A」および「物理学B」で学んだ力学の諸概念と物理学の考え方をもとに,物理学の諸分野の基礎理論を概観する.物理学Dでは,熱力学の基礎理論について学ぶ.また,これらの学習を通じて,現実に起こる自然現象をどのようにモデル化し,数学的な方法を用いて記述していくかということを系統的に学び,後の工学系の専門科目を学習する際の基礎を築く.

<受講にあたっての前提条件>
「物理学A」および「物理学B」の内容を理解していること.高校数学全範囲および「微分積分A,B」・「線形代数学A,B」の内容を理解し,使えるようになっていること.

<具体的な到達目標>
熱力学の基礎的な概念を理解する.理想気体を事例として,物質の状態変化の熱力学的記述を理解する.熱力学の第1,第2法則を理解し,単純な系に対してそれらを適用して分析できる.状態量の概念の重要性を理解し,内部エネルギー,エントロピーの概念を把握する.

<授業計画及び準備学習>
1. 熱力学の基礎概念と物理量
SIの復習。物質量,絶対温度の意味,熱,熱容量,比熱.理想気体の状態量(p, V, T)と状態方程式の紹介.状態図(pV図など)の読み方.
[準備学習] 「物理学A」および「物理学B」の内容を復習しておくこと.

2.理想気体の状態方程式,気体分子運動論
気体の状態方程式の意味.理想気体の分子論的定義と状態方程式の導出.気体のエネルギーと等分配の法則.
[準備学習] 状態方程式の意味や使い方について理解しておくこと.

3.熱力学の第1法則
気体のする仕事とpV図の関係.状態量の概念と意義および各種の比熱.内部エネルギー。第1法則.
[準備学習] pV図の読み方と状態方程式との関係を理解しておくこと.仕事とエネルギーについて復習しておくこと

4.気体の状態変化
定積変化と定圧変化.マイヤーの関係式.等温変化と断熱変化.比熱比.気体分子の自由度.
[準備学習] 準静的変化を表すpV図から気体のする仕事が求められるようにしておくこと.

5.熱機関,熱力学の第2法則
熱機関と熱効率。熱サイクル(カルノーなど)の効率。第2法則の各種の表現(効率,トムソン,クラウジウス)と意味.
[準備学習] 様々な準静的変化に対して,気体がする仕事,吸収する熱などを求められるようにしておくこと.

6.第2法則とエントロピー
カルノーの定理,クラウジウスの不等式からエントロピーの概念へ.第2法則とエントロピーの増大.エントロピーのミクロな表現.
[準備学習] 熱力学第1法則および第2法則の内容を理解しておく.

7.学習の振り返り
[準備学習] これまでに学んだ内容を総復習しておくこと.

<成績評価方法>
期末試験の成績をもとに理解度を評価する.Grade D以上を合格とする.

<教科書>
加藤潔『理工系 物理学講義』(培風館)
授業はこの教科書を適宜参照しつつ行う.キューポートにアップした「講義ノート」を印刷して授業に参加してください.

<参考書>
他にも,大学レベルの力学の教科書は多く出版されているので,各自に合ったものを少なくとも1冊は購入しておくことを勧める.以下に例を示す.

戸田盛和『熱・統計力学』岩波書店,砂川重信『熱・統計力学の考え方』岩波書店
戸田盛和『 熱現象30講』朝倉書店,田崎晴明『熱力学-現代的視点から』培風館

<オフィスアワー>
1,2期:水曜日3限
場所:1号館 1階講師室 or 3階物理準備室
メールなどによる質問・相談にも随時対応する


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