2019年度工学院大学 第1部機械システム工学科

航空宇宙工学(Aerospace Engineering)[1J02]

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2単位
佐藤 光太郎 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
西谷 要介 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
何  建梅 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
小林 潤 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
航空宇宙技術は,多くの分野の技術に支えられて実現される総合科学技術である.同時に航空宇宙分野で得られた成果は広い分野で社会に還元されてきた過去もある.ここでは航空・宇宙工学分野の最新技術体系を機械工学という視点から捉えて理解するとともに更なる革新に寄与できる幅広い知識・技術を習得すること.

<受講にあたっての前提条件>
機械工学分野の基礎的な科目を既習あるいは並行履修していること.

<具体的な到達目標>
本科目では航空宇宙技術に必要な航空流体力学,航空宇宙材料,航空自動制御,航空宇宙設計,気体燃焼工学などについて学ぶ.これらに対応する機械工学の5分野,すなわち流体力学,材料工学,制御工学,材料力学・設計学,燃焼工学において航空宇宙開発に関わる基礎的課題が解決できるようになることを目標とする.
(JABEE学習・教育到達目標)
[機械システム基礎工学プログラム]:(D)◎
(JABEEキーワード)
[機械システム基礎工学プログラム]:航空流体力学,航空宇宙材料,航空自動制御,航空宇宙設計,気体燃焼工学

<授業計画及び準備学習>
第 1回 ガイダンス(佐藤):学問領域における航空宇宙工学の位置付けについて学ぶ.準備学習:航空宇宙分野と機械工学分野の技術の関連について調べる
第 2回 航空宇宙工学の歩み(佐藤):固定翼航空機,ロケットの開発の歴史と過去の航空機・ロケット事故の発生事例,原因並びに改善例を紹介する(流体演習/レポート).また,現在の最新鋭機について学ぶ.準備学習:航空機の重大事故例について調べる.
第 3回 航空機のしくみ(佐藤):固定翼航空機の飛行原理について解説し,航空機のしくみ,形態並びに設計思想について学ぶ(流体演習/レポート).準備学習:主翼配置,エンジン配置の異なるいくつかの機体例を調べる.
第 4回 翼のはたらき(佐藤):主翼や尾翼に要求される効果と形状との関係について学ぶ.さらにSTOL機,VTOL機のしくみと高揚力化に向けた最新の研究例について紹介する(流体演習/レポート).準備学習:流れ学や流体力学で学ぶ翼周りの流れについて復習あるいは自習する.
第 5回 推進システムと未来の航空機(佐藤):ジェットエンジンの種類と性能特性,ロケットの推進機構について学ぶ.また,未来の超音速旅客機,新形態航空機について解説する(流体演習/レポート).準備学習:流れ学や流体力学で学ぶ運動量方程式について復習あるいは自習する.
第 6回 航空宇宙材料(西谷):航空機や宇宙機器に使用されている各種材料(金属材料,セラミックス,高分子材料)の特性や試験方法について学ぶ(材料演習/レポート).準備学習:材料基礎工学,金属材料工学などで学んだ材料について復習する.
第 7回 先端複合材料(西谷):航空機や宇宙機器に使用されている先端複合材料,特に単一材料では得られない大きな比強度や比弾性率を有する高分子複合材料について学ぶ(材料演習/レポート).準備学習:航空機材料に求められる材料性質を調べる.
第 8回 飛行制御(西谷):ドローンやヘリコプターの飛行制御方法および旅客機の自動飛行制御装置,フライ・バイ・ワイヤシステムなどについて学ぶ(制御演習/レポート).準備学習:今日のドローンの応用範囲について調べる.
第 9回 宇宙機システムの設計概要(何):宇宙機システムの概念設計段階における構造様式の検討について構造信頼性確保と強度許容設計の観点から学ぶ(設計演習/レポート).準備学習:宇宙機に求められる強度,重量とフェイルセーフ構造について調べる.
第10回 人工衛星システムの設計概要(何):人工衛星の必要性と構造仕様について解説する.宇宙構造物として人工衛星に生じる諸問題と解決方法,宇宙構造物の可能性について学ぶ(設計演習/レポート).準備学習:宇宙構造物の歴史について調べる.
第11回 CAD/CAEによる宇宙構造物の設計検討(何):CAD/CAEを用いた宇宙機・宇宙構造物の軽量・強度設計方法について学ぶ(設計演習/レポート).準備学習:CAD/CAEについて調べる.
第12回 推進用熱機関(小林):航空宇宙工学で必要とされる熱力学の基礎について解説する.ジェットエンジン(ラムジェットエンジン,ガスタービンエンジン),ロケットエンジン用燃料およびその燃焼特性や問題点について学ぶ(燃焼演習/レポート).準備学習:熱力学で学ぶ4つの工程について復習あるいは自習する.
第13回 未来の推進機関(小林):低燃費・低排出ガスを目指したエンジンの開発動向を紹介する.また,スクラムジェットエンジンやデトネーション波を利用した推進機関など今後実用化が期待される航空宇宙用推進機関について学ぶ(燃焼演習/レポート).準備学習:超音速燃焼について調べる.
第14回 授業の振り返り(小林)

<成績評価方法>
原則として講義の中で課する小課題(授業時間内に提出),レポートなどの平均点から成績をA+,A,B,C,D,Fに評価し,Grade D 以上の者に単位を認める.ただし,講義担当者が正当な理由があると判断した場合には追加レポート提出を認め,その内容により再評価する場合がある.本科目での授業出席確認はカードリーダーで行なう.

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
航空宇宙工学入門(第2版),室津 義定(編著),森北出版株式会社,2005年,ISBN :978-4-627-69032-5
航空力学の基礎 第3版,牧野光雄 (著),産業図書,2012年,ISBN-10: 4782841043,ISBN-13: 978-4782841044
航空機設計法 −軽飛行機から超音速旅客機の概念設計まで−,李家 賢一 (著),コロナ社,2011年,ISBN-10: 4339046191,ISBN-13: 978-4339046199
眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話,中村 寛治 (著),日本文芸社,2017年,ISBN-10: 4537261749,ISBN-13: 978-4537261745
「第3版 航空宇宙工学便覧」日本航空宇宙学会編、丸善株式会社、2005年 ISBN 4-621-07570-5C3053
「日本機械学会員のための宇宙工学概論」日本機械学会、春恒社、2004年

<オフィスアワー>
【佐藤】
火曜日:13:00〜13:30(八王子校舎11号館365室)
月曜日:13:00〜13:30(新宿校舎1713室)
【西谷】
月曜日:13:00〜13:30(新宿校舎1716室)
木曜日:10:30〜11:00(八王子校舎8号館303号室)
【何】
月曜日:13:00〜13:30(新宿校舎1718室)
【小林】
月曜日:13:00〜13:30(新宿校舎A1666室)
火曜日:10:30〜11:00(八王子校舎8号館203室)

<学生へのメッセージ>
航空宇宙工学は今後益々の発展が期待される分野である.国産ロケットだけでなく,国産旅客機の生産が現実となろうとしている今日,航空宇宙産業は多くの機械工学系卒業生の活躍の場となりつつある.授業を通し,航空機やロケット,宇宙ステーションなどの魅力が受講者にも伝わることを願う.


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