2019年度工学院大学 第1部機械システム工学科

複素関数論(Elementary Complex Function)[4P07]

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2単位
山崎 浩之 講師  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
複素関数について学び、初等関数の定義を理解し、基礎的な計算に習熟する。
複素関数の微積分について学び、実関数とは本質的に異なる、格別の見通しのよさがあることを理解する。
複素関数論を使うことで初めて計算可能となるような実関数の積分値を求めることを学ぶ。
また、複素関数論が応用される若干の問題について紹介する。
定理を厳密に証明することにはこだわらないが、易しい計算はきちんと実行できるようになることを目的とする。

<受講にあたっての前提条件>
実関数の微積分について、定義を理解していること。
指数関数・三角関数の微積分を計算できることこと。

<具体的な到達目標>
複素数の四則演算と一次変換の計算を正しく扱える。
初等関数(指数・対数関数、三角関数など)を定義に従って正しく扱える。
曲線に沿った複素積分を計算できる。
閉曲線に沿った積分値を、留数計算によって求めることができる。
実関数の積分値を求めるため、留数計算を応用することができる。

(JABEE学習・教育到達目標)
「機械システム基礎工学プログラム:D〇」

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス&複素数入門
複素数の計算規則と複素平面について学びます。
教科書p.1〜p.16
準備学習:高校数学で学んだ内容を十分復習しておく。

2.一次関数と複素球面
複素球面と一次関数・円円対応について学びます。
教科書p.26〜p.38
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.26 にある立体射影の式を自分で求めてみること。

3.初等関数
有理関数・指数関数・三角関数など、初等的な関数の定義を学びます。
教科書p.56〜p.65
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.56〜p.60 にある、指数関数・三角関数・双曲線関数の
     定義式を覚えること(まだ理解できなくてもよい)。

4.正則性と初等関数
複素微分の定義を学びます。
教科書p.42〜p.45, p.56〜p.65
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.42〜p.45 を熟読する。

5.正則関数と調和関数
複素関数の極限値について確認し、複素微分の理解を深めます。
教科書p.39〜p.55
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.52〜p.53を熟読、曲線同士のなす角を理解しておく。

6.複素積分1
曲線に沿った積分におけるグリーンの定理を学びます。
教科書p.81〜p.86
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.85〜p.86 を熟読する。

7.複素積分2
複素積分におけるコーシーの積分定理を学びます。
教科書p.87〜p.93
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.87〜p.93 を通読する。

8.複素積分3
コーシーの積分公式とグルサーの公式を学び、微積分の理解を深めます。
教科書p.94〜p.106
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.94〜p.97 を熟読する。

9.関数の級数展開
テイラー展開と一致の定理について学びます。
ローラン展開と、特異点の分類について学びます。
教科書p.107〜p.134
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.107〜p.134 を通読する。

10.留数
閉曲線に沿った積分の値における留数定理を学びます。
教科書p.135〜p.140
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.136〜p.137 を熟読する。

11.実定積分の計算1
留数積分の応用例を学び、理解を深めます。
教科書p.141〜p.164
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.141〜p.164 を通読する。

12.実定積分の計算2
留数積分の応用例を学び、理解を深めます。
教科書p.141〜p.164
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。
     教科書p.141〜p.164 を通読する。

13.複素関数論のまとめ
複素関数論全体の理解を深めるため、初等的な応用例について学びます。
(プリントを配布する)
準備学習:前回の復習。宿題があれば、きちんと解いて提出する。

14.学習内容の振り返り
準備学習:前回までに提出した宿題で、再提出したいものがあれば、きちんと解いて提出する。

<成績評価方法>
授業時にレポート(全5回程度)を実施し、平常点とする。
また、定期試験期間内に筆記試験を実施する。それらを
おおむね2:1の重み付けで最終評価を行い、Grade D 以上の
者に単位を認める。
 なお、欠席1回につき2点ずつを、平常点より減じる。

<教科書>
「複素解析へのアプローチ」 山本・坂田 (裳華房)

<参考書>
複素関数論の考え方や意義について平易に解説されているものとして、
「関数論初歩」遠山啓(日本評論社)
途中の計算がものすごく丁寧に書かれているものとして、
「複素関数 キャンパス・ゼミ」馬場敬之(マセマ)
本格的な参考書として、
「複素解析」アールフォルス(現代数学社)

<オフィスアワー>
八王子(前期): 火曜日16:00〜18:00  1号館(総合教育棟)1E-303
不在の場合もあるので、事前に連絡することを推奨します。
メールでの質問・連絡は、ct10634[at]ns.kogakuin.ac.jp まで。

なお、新宿の授業では講義終了後に質問を受ける時間をとります。

<学生へのメッセージ>
分からないことはそのままにせず、必ず質問してください。どんどん問題を解いて計算力をつけることと、
じっくり考えて、重要な定理が成り立つことを納得することの両方が必要です。
 数学が好きな者であれば、複素関数論が理解できた時必ず大きな感激があります。
それを味わって欲しいと思っています。


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