2019年度工学院大学 第1部機械システム工学科

機械システム設計総合演習(Comprehensive Design and Exercises of Mechanical Systems)[3E05]

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2単位
大石 久己 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
佐藤 光太郎 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
江澤 良孝 非常勤講師  
橋本 敦則 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
機械システムを理解し,機械システムを構成する上で必要な総合的デザイン能力と創造能力を身につけることをねらいとする.そのために,複数の教員から広い分野にわたる機械・機械システム装置などの機能解析と設計手法を学ぶ.具体的には,流体機械の設計,板構造の最適設計,振動問題とシステムモデル,そして10年後の課題を解決する機械システムの基本設計についての各課題に沿った設計演習を行う.この演習で機械システムとは何か,どのような事柄を考慮して設計すればよいかなどを理解する.また,この授業の中で技術レポートの作成能力の向上と,グループ作業によるチームワーク力を身につける.

<受講にあたっての前提条件>
本科目の履修者は物理学,化学,数学,工業力学,材料力学,機構学,機械力学,流体力学,制御工学などの基礎科目を履修していることが望ましい.また,解析,振動学等の新しい概念を習うので参考図書等を参考にして予習しておく必要がある.また,本科目の修得後は,4年間の最後の履修に活かしたい.特に最終的に「卒業論文」を履修することによって,機械システム工学の総合的能力を養うことになる.

<具体的な到達目標>
具体的な四つの機械設計の課題を実施することで,以下の学習・到達目標を達成することができる.
(1) 総合的な機械創造演習をすることで,工学の意味を考え,意義のある機械を創造することができる.
(2) 解析,振動などの新しい概念を学び,応用能力の幅を広げることができる.
(3) 各課題のレポートを完成させる中で,課題の問題点を理解し,それを解決するまでの過程を分析して全体計画をデザインできるようになる.
(4) レポート作成方法とプレゼンテーション能力を向上させることができる.
(5) チーム課題を実施する中で,アイデアを出し合って,問題解決する能力を向上させることができる.
(JABEE機械システム基礎工学プログラムの学習・教育到達目標):D3◎,E2◎,E4◎,F2◎.
(学位授与の方針):2○,3-1◎,3-2○,3-3○,4-2○

<授業計画及び準備学習>
第1回:授業のガイダンス 授業内容,グループ編成,日程の確認,受講の注意を行う.また,課題を実施するための基本事項の学習を行う.技術士の1次試験の問題を参考にした小テストを行い,機械設計に必要な基礎知識の確認を行う.(主に物理学,工業力学,材料力学,流体力学,機械力学の範囲)
第2回〜13回 
 授業はクラス(グループ)編成で行う.各クラスは6コマ(2コマ×3週)を1区切りとして以下の課題に取り組む.

各課題を実施する前に,テキストや,配付資料を熟読し課題内容を確認して準備学習をしておくこと.また,課題実施中は,指示に従って成果をまとめて報告レポートを作成し,理解不十分な点があれば,内容を補い次の授業に備えること.

さらに,各課題の終了後は,学習内容の総括を行い,提出課題の内容を確認し,学習内容の十分な習得を図る.

各テーマは,以下の内容である.
(1)流れをつくる(佐藤光太郎担当)
 典型的な流体機械のひとつである送風機の原理を学習する.レギュレーションの範囲内で,グループごとに配布された材料(例えばモーター,板材,厚紙,接着剤,テープ,ねじなど)を利用して,大きな風速(時間平均流速)を得るためにはどのような構造の流体機械を製作すれば良いのかを,物理法則に則りコンセプトを考える.配布物を用いて学内で製作・加工可能な設計を行ない,理論上,どの程度の流速が得られるか具体的に計算する.実際に製作し,動かし簡易熱線流速計で風速を計測する.
(2)板構造の最適設計(江澤良孝担当)
 板構造に生じる応力と変位,およびその計算方法,重量最小の最適設計法などを3DCADにより学習する.板構造は多様な分野で使われている.与えられた荷重条件に対して,応力値と変位を考慮して,重量を最小とする設計を行う.重量計算書,応力計算書,製作図面などのレポートを作成する.
(3)10年後の課題を解決する機械システムの基本設計(橋本敦則担当)
 グループディスカッションにより「このまま進むと10年後に問題となる」であろう事柄を抽出し,その問題を解決できる機械システムの基本設計を行う.まず,各グループで設定した目標課題について,その課題解決のために必要な特性,仕様を分析し,論理的かつユニークな機械システムを検討し,このシステムによってどのような状態がどのように改善されるのかを明らかにする.次いで,そのシステムの概念設計を行い,設計仕様書および計画図を作成し,開発すべき技術課題があれば,その解決手順を具体的に検討する.これらを「開発計画書」にまとめレポートとして提出する.各週の冒頭に実施する座学で,設計検討の過程で必要な知識を習得する.企業の設計現場での実務経験を活かして講義する.
(4)振動問題とシステムモデル(大石久己担当)
 振り子の基礎実験とMATLAB/Simulink の数値シミュレーションによる数値実験を行い,機械構造物の振動問題とシステムモデルの理解を深める.課題作業は,種々のグループを構成して行い,チームでアイデアを出し合って,問題解決する演習も行う.

第14回:授業の振り返り 今までの授業の内容の確認と検討を行う.それぞれの課題の内容を再確認し,不十分な点を補い,理解を深める.

<成績評価方法>
以下に示すように4テーマごとに100点満点で評価し,それらの平均点を全体の評価点とする.その結果に基づいて,理解度をA+,A、B,C,D,FのGradeで評価する。Grade D以上を合格とする。ただし,1テーマでも放棄した場合は不合格とする.

(1)流れをつくる
 製作した送風機の出来(グループ点)とプレゼンテーション,レポート(個人点)によって評価する.詳しくは授業中に説明する.
(2)板構造の最適設計
 3回の授業の後,提出のレポートにより成績を評価する.
(3)10年後の課題を解決する機械システムの基本設計
 個人レポート(第1週,第2週の作業報告書)とチームレポート(開発提案書)を1:1の割合で評価した結果を成績とする.
(4)振動問題とシステムモデル
 チーム作業の結果と課題の報告レポートで評価する.ただし,本課題はチーム作業を前提とするので,チーム作業を行わない場合は,本課題は評価できないので,注意すること.

 上記四つのテーマをそれぞれ理解し,結果を議論してレポートとしてまとめることで,上記の学習・教育到達目標(D3),(E2),(F2)を,学位授与の方針(2),(3-1),(3-2),(3-3),(5)を達成できる.また,チーム作業の課題を実施することで(E4),学位授与の方針(4-2)を達成できる.

Gradeは,以下の基準とする.
A+:全てのテーマの課題を十分に理解し,四つのテーマの全ての評価が90点以上で,かつ全体の評価が92点以上であるものをA+とする.
A :全てのテーマの課題をよく理解し,四つのテーマの全ての評価が80点以上で,かつ全体の評価が87点以上であるものをAとする.
B :全てのテーマの課題を理解していて,いくつかの課題についてよく理解し,少なくとも三つのテーマの評価が70点以上,残りのテーマの評価も60点以上で,かつ全体の評価が76点以上であるものをBとする.
C :ほとんどのテーマの課題を理解し,少なくとも三つのテーマの評価が60点以上で,かつ全体の評価も60点以上であるものをCとする.(ただし,1テーマについては理解不十分であっても,他のテーマの学習で補うことができていると判断できる場合)
D :全体の評価が60点以上であるものをDとする.この場合,総合的には理解していると判断できるが,理解不十分な課題が複数あり,習熟を確実にするためには,再度学習することを勧める.(2テーマが不合格の場合は,全体の評価がよい場合でもDとする)
F :全体の評価が60点未満であるものはFとする.

<教科書>
特に定めない.初回ガイダンスで配付する資料とテーマ毎に配付する資料を用いる.また,キューポートで配付する場合もある.キューポートなどの「お知らせ」に注意すること.

<参考書>
特に定めないが,1〜3年次の授業で使用した教科書,参考書,資料等が参考となる.特に,工業力学,材料力学,機構学及演習,機械力学及演習,流体力学及演習などが関連深い.また,図書館での調査も有効である.

<オフィスアワー>
各担当教員によって異なるので注意すること.各テーマについては担当教員に,科目全体については科目担当幹事(大石)に質問すること.
佐藤光太郎:水曜日13:00〜13:30新宿キャンパス高層棟A-1713室(流体機械研究室)または土曜日13:00〜13:30八王子キャンパス11号館365室(耐震機械実験室)
橋本敦則:授業終了後教室において.新任のため連絡先についてはガイダンス時に提示する.
江澤良孝:メールで随時対応(yoshi.ezawa(at)gmail.com)
大石久己:水曜日12:50〜13:30新宿キャンパス高層棟A-1772室,1863室(機械力学研究室)また,1772室前の質問用紙(記入例に従って記入)でも対応可

<学生へのメッセージ>
各テーマとも広範囲の内容を含むので,予習,復習を十分に行なうこと.また毎回,演習作業ができるように電卓などを必ず持参すること.テーマにより,情報演習室を利用するので,使用できるようにしておくこと.企業の設計現場での実務経験を持つ講師によるテーマもあるので,より実践に近い検討を知ることができる.


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