2019年度工学院大学 第1部機械システム工学科

生命科学概論(Introduction to Life Science)[1P01]

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2単位
大藤 道衛 非常勤講師  
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
生命科学は、分子レベルで生命現象を解明するとともにその成果を医学、農学、産業へ応用する学際的な学問である。第1回から第6回では、細胞の構造から入りゲノム上にある遺伝情報に基づいた細胞の営みが“生命”へとつながる姿を概観することで「ヒト」という生物を考えてみる。第7回以降は、生命科学研究で用いられる遺伝子工学や遺伝子解析などの基盤技術を学ぶとともに、遺伝子診断・遺伝子治療・再生医療など医療における生命科学、更には新しい技術に対する社会受容と生命倫理について考察する。本講義では、生命科学の医療、農業、産業との関わりを考える際に必要な基礎知識と考え方を身につけることを目標とする。

<受講にあたっての前提条件>
本科目履修の前提となる知識・科目は特にない。生命科学研究は機械系分野との融合により、診断・治療機器やバイオ研究機器の開発、ナノバイオテクノロジーなどに応用され、医療、農業、産業を通じて社会に還元される。本科目は、生命科学と機械系との融合分野に必要な知識や考え方に繋がる。

<具体的な到達目標>
技術者としての基礎力(分子生物学の基礎)の修得ができる。
生命科学に関する専門知識が修得できる。
生命科学、バイオテクノロジーの医学、薬学、農学への関わりを学ぶことで技術者倫理を修得できる。
(JABEE学習・教育到達目標)
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: D(◎)

<授業計画及び準備学習>
第1回 生物と生命科学:生物の誕生と進化、ヒトの起源と進化について学ぶ
予習・復習:生物・生命の定義は何か考えよ。生命の誕生について、どのような仮説があるか考察せよ。
第2回 細胞:生物個体を構成している細胞と細胞分裂について学ぶ。
予習・復習:減数分裂と生物の多様性の関係ついて考察せよ。
第3回 生命を担う物質:生命活動を担うタンパク質、遺伝情報を担うDNA/RNAについて学ぶ
予習・復習:DNAの情報分子として役割を考察せよ。
第4回 遺伝子発現調節:遺伝情報からタンパク質ができるプロセスについて学ぶ。
予習・復習:一つの個体に多様な細胞が存在する仕組みを遺伝子発現の観点から考察せよ。
第5回 ヒトゲノム:ヒトの遺伝情報全体であるゲノムDNAの構造について学ぶ
予習・復習:限られた数の遺伝子から、多種多様なタンパク質が作られる仕組みを考察せよ。
第6回 発生と分化:遺伝情報に基づき受精卵が分裂し、様々な細胞に分化することで生物個体が生まれる仕組みを学ぶ。
予習・復習:細胞分化の仕組みを環境と遺伝子発現調節の観点から考察せよ。
第7回 遺伝子工学:生命の仕組みから生まれた遺伝子組換え技術、ゲノム編集技術について学ぶ。
予習・復習:遺伝子組換え技術、ゲノム編集技術が生命科学研究にもたらした利点と問題点について考察せよ。
第8回 遺伝子解析:遺伝情報、ゲノム情報を調べるPCRやDNAシークエンシング技術、次世代シークエンサー(NGS)について学ぶ。
予習・復習:遺伝子解析におけるPCRおよび電気泳動技術の役割を考察せよ。
第9回 がんと遺伝子:遺伝要因/環境要因とがん発生の仕組み、リキッドバイオプシー、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤について学ぶ。
予習・復習:細胞がん化の仕組みを遺伝子変異、エピジェネティクスの観点から考察せよ。
第10回 遺伝子解析技術と社会: DNA鑑定、遺伝子診断、消費者直結型(DTC)遺伝子検査について学ぶ。 
予習・復習:DNA鑑定、遺伝子診断、遺伝子検査の利点と社会における問題点について考察せよ。
第11回 生命科学の再生医療への応用: ES細胞、細胞の初期化、多能性をもつiPS細胞について学ぶ。
予習・復習:多能性細胞を用いた再生医療の利点と社会における問題点を考察せよ。
第12回 生命倫理:遺伝子組換え(GM)作物、個人遺伝情報などの事例を通じ生命倫理について考える。
予習・復習:社会から見たバイオテクノロジーの利点と問題点を考察せよ。
第13回 生命科学と社会:生命科学教育と遺伝子リテラシー教育について学ぶ。
予習・復習:学校教育におけるリテラシーとしての遺伝子教育の進め方を検討せよ。
第14回 学習内容の振り返り
予習:第1-13回のキーワードを確認せよ。

<成績評価方法>
中間課題(レポート)50点、定期試験50点とし、60 点以上を合格とする。

<教科書>
指定教科書なし。講義資料をKUPORT から配信する。

<参考書>
東京大学生命科学教科書編集委員会/編:「現代生命科学 第2版」羊土社(2019)
公益財団法人 日本科学協会編:「人間の生命科学−現代社会に生きるための基礎知識」(2018)
(本書は登録制無償web図書のため、講義のなかでアクセス方法を提示する。)

<オフィスアワー>
月曜日講義終了後30分(非常勤講師室)

<学生へのメッセージ>
我々人間も生物の一員、生命科学は自分自身を知る学問です。聞き慣れない用語の意味を一つ一つ理解すれば、生命科学の世界が開けてきます。


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