2019年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース

機械力学(Dynamics of Machinery)[5B01]

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2単位
鈴木 健司 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
機械力学は機械の稼動時に生ずる振動などの問題を扱う学問である.機械の主要な機構と問題点について講義と演習を行い,機械の設計のための基礎的知識を身につけることを目的とする.以下に具体的な努力目標を示す.
1. ピストンークランク機構の慣性力とつりあわせ原理を理解し説明できる.
2. 変速機を含む動力伝達機構の運動方程式と等価モデルを理解し説明できる.
3. 回転機械のつりあわせについて理解し説明できる.
4. 回転機械のふれ回り危険速度について理解し説明できる.
5. 1自由度系の振動現象についての基本事項を理解し説明できる.

<受講にあたっての前提条件>
本科目を履修する前に,「数学I,II」「工業数学A,B」などにより微分積分学や微分方程式の解法,「物理I,II」「物理学演習I,II」「工業力学及演習」などの科目により,速度と加速度,質点に働く力と運動法則,剛体の運動,仕事とエネルギー,運動量と力積の基本事項と「機構学」で機械の構造と運動について習得しておく必要がある.
 本科目の修得後は,「機械振動学」でさらに振動について詳しく学習する.また,機械の運動を取り扱う他の専門科目の基礎となる.

<具体的な到達目標>
機械力学は機械の稼動時に生ずる振動などの問題を扱う学問である.機械の主要な機構と問題点について講義と演習を行い,機械の設計のための基礎的知識を身につけることを目的とする.以下に具体的な努力目標を示す.

機械工学科の学習・教育到達目標(D)エネルギーおよびデザインをキーワードに体系づけられた教育手法の下で,「機械力学」を中心に専門領域の知識と方法論を習得するため,以下のことを具体的な到達目標とする.これは,学位授与の方針の(2-1)学部学科毎に示された専門分野の基礎知識を修得していることに対応する.
1. ピストンークランク機構の慣性力とつりあわせ原理を理解し説明できる.
2. 変速機を含む動力伝達機構の運動方程式と等価モデルを理解し説明できる.
3. 回転機械のつりあわせについて理解し説明できる.
4. 回転機械のふれ回り危険速度について理解し説明できる.
5. 1自由度系の振動現象についての基本事項を理解し説明できる.
<JABEE学習・教育到達目標>
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: (D-2)◎
<学位授与の方針>(2-1)◎

<授業計画及び準備学習>
1. ガイダンスと機械力学の基礎1(13講と14講)
はじめに「機械力学」の位置づけ,学習内容,他の科目との関連について示す.次に「機械力学」の学習に必要な「工業力学」の学習内容についての演習を行い,基礎的な事項の確認と整理を行う.
努力目標:運動の法則についての基礎的な事項を確認し理解する
準備:工業力学の内容を復習しておく.
復習:授業内容を確認し,不足している部分について工業力学の内容を復習しておく.

2. 機械力学の基礎2(14講) 
剛体の回転運動について学習し,理解を深める.
努力目標:剛体の運動方程式,慣性モーメント,角運動量などに関する基礎的な事項を確認し,理解する.
準備:教科書の14講を予習しておく.
復習:演習問題を解き,理解を深める.

3. 往復機械の動力学(15講) 
往復運動と回転運動の変換機構として利用される代表的なピストンークランク機構の運動について学習する.
努力目標:1気筒のピストンの往復運動の慣性力についてよく理解する.
準備:教科書57-58ページの5.1節までを予習し,不明な点を確認しておく.
復習:演習問題を解き理解を深めるを行う.

4. 直列形機関のつりあわせ(15講) 
シリンダーの向きが同じ直列形2気筒と4気筒エンジンの慣性力のつりあわせ方法を2ストロークサイクルと4ストロークサイクルについて学習する.
努力目標:2ストロークサイクルと4ストロークサイクルの違いを理解し,直列形機関のつりあわせ原理が異なることを理解する.
準備:教科書58-60ページを予習し,内容を確認する.
復習:演習問題を解き理解を深める.

5. 多列形機械のつりあわせ(16講) 
水平対向エンジン等のシリンダー列が複数ある多列形機関の慣性力のつりあわせ方法を学習する.
努力目標:多列形機関のつりあわせ原理を理解する.
準備:配付資料の内容を確認する.教科書の61-62ページの16.1節までを予習する.
復習:演習問題を解き理解を深める.

6. 変速機による動力伝達(16講) 
変速機による動力伝達についての関係式とその1軸等価系について学習する.これは歯車の動力伝達の基礎となる.
努力目標:変速機の関係式と等価モデルを理解する.
準備:教科書の62-63ページを予習する.工業力学の剛体の回転運動について確認する.
復習:演習問題を解き理解を深める.

7. 歯車の動力伝達(16講,18講)  
2軸の歯車やベルトを介した動力伝達機構の運動方程式について学習し,等価な1軸系へのモデル化が可能であることを示す.
努力目標:歯車の動力伝達機構の等価モデルについて理解する.
準備:教科書16.2節,18.3節を予習する.歯車の伝達機構の1軸等価モデルの考え方を復習しておく.
復習:演習問題を解き理解を深める.

8. 1自由度系の振動モデルと運動方程式(19講)  
ばねと質量からなる1自由度系の運動方程式の立て方とその解法を学習する.
努力目標:1自由度系の振動現象についての基本的な事項を理解する.
準備:教科書は19講を予習する.また工業力学や物理学の振動問題について確認する.
復習:今後の授業の基礎となる.授業内容を確認し,運動方程式の立て方,振動問題の考え方について十分に理解する.演習問題を解き理解を深める.

9. 1自由度系の振動モデルと運動方程式(2) (19講)  
回転振動や実体振り子などを含む1自由度系の運動方程式の立て方とその解法を学習する.
努力目標:1自由度系の振動現象についての基本的な事項を理解する.
準備:教科書は19講を予習する.また工業力学や物理学の振動問題について確認する.
復習:演習問題を解き理解を深める.

10. 1自由度系の強制振動 (21講)
力や変位による強制振動と,共振現象について学習する.
努力目標:1自由度系の強制振動と共振現象に関する基本的な事項を理解する.
準備:教科書は21講を予習する.
復習:演習問題を解き理解を深める.

11. 回転機械のつりあわせ(17講) 
タービンなどの回転機械の静つりあいと動つりあいの意味と関係式について学習する.
努力目標:回転機械のふつりあいについての関係式を理解する.
準備:教科書の64-65ページを予習する.工業力学の回転運動の基礎について確認する.
復習:演習問題を解き理解を深める.

12. 回転機械のふれ回り危険速度(17講)  
回転機械のふれ回りの運動方程式を求め,固有振動数と危険速度との関係を学習する.
努力目標:回転機械のふれ回り危険速度の現象を理解し,求め方を学習する.
準備:教科書65-66ページ17.3節に戻る.材料力学のはりの曲げ問題について確認する.
復習:授業の内容を確認し,演習問題を解き理解を深める.
はりのばね特性ついて材料力学の学習内容と合わせて理解を確実なものとする.

13. 回転機械のねじり危険速度(18講)  
ねじりのばね定数の概念を定義し,回転機械のねじりの運動方程式の求め方を学習する.
努力目標:回転機械のねじりの危険速度の求め方を理解する.
準備:教科書67-68ページ18.2節までを予習する.材料力学の棒のねじりについて確認する.
復習:棒のねじりについて確認し,運動方程式と共振についても理解を確実にする.演習問題を解き理解を深める.

14. 学習内容の振り返り  
今まで学習してきた内容をまとめ,重要な項目について再確認を行う.理解不十分な点を確認し,理解を深める.
準備:教科書の例題,演習問題を確認し,理解を深める.
復習:今までの授業内容を再確認し,理解不十分な点を補い,理解を確実なものとする.

【実務経験のある教員 による授業科目】
長年にわたってロボットの機構設計やロータダイナミクスの研究を行ってきた経験を生かし,ロボットや回転機械の具体的な課題を示しながら授業を行う.

<成績評価方法>
授業にきちんと出席することが成績評価の前提である.定期試験期間内に実施する期末試験の結果を基に評価を行う.期末試験の結果が50点台の場合には,試験結果(60%)と授業時間内に行う演習の結果(40%)により評価を行う.理解度をA+,A,B,C,D,Fの6段階で評価し,Grade D以上を合格とする.
学習・教育到達目標 Dの内,機械工学の基礎としての「機械力学」の分野の基礎的な知識と方法論は,上記の評価基準を満たせば習得することができる.

<教科書>
「機械力学 機構・運動・力学」三浦宏文他著(朝倉書店)

<参考書>
「工業力学」青木 弘・木谷 晋 共著(森北出版)

<オフィスアワー>
水曜日14:00〜16:00 八王子校舎16号館(MBSC棟)16-121(マイクロシステム研究室)

<学生へのメッセージ>
1,2年で学習した物理,力学系の科目の復習を履修前にしておくことを期待する.特に,剛体の運動が基礎となるので重要である.また,いわゆる四力の内の1科目として他の専門科目の基礎となる科目であるのでしっかり学習すること.また,演習課題を行うことで自分の理解度を確認し,より理解を深めてもらいたい.


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