2019年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース

社会と技術者の倫理(Ethics in Society and Engineering)[4H01]

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2単位
雑賀  高 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
桂 晃洋 特別専任教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2019/11/12

<授業のねらい>
 科学技術は世界を豊かにし,人々の生活を便利で快適にするために大きな役割を果たしているが,同時に環境問題や工業製品の事故,薬害などの大きな問題を発生させうる負の側面も有している。機械分野の技術者も,技術と自然や社会などとの係わり合いと技術者の社会的な責任について理解しなければならない。本科目では,自立した技術者として必要な責任ある判断と行動を行うために,自ら考えることによって得られる実践的な倫理について理解できる能力を養う。

<受講にあたっての前提条件>
特になし。

<具体的な到達目標>
(1) 機械分野の技術が,公共の福祉に与える影響を理解する。
(2) 機械分野の技術が,環境保全と社会の持続ある発展にどのように関与するかを理解する。
(3) 技術者が持つべき倫理を理解し,それに基づいて行動する能力を育成する。

(JABEE学習・教育到達目標)
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(B)◎

<授業計画及び準備学習>
1.技術者倫理の学習にあたって
本科目の学習内容,到達度,学習方法,課題等について理解する。
準備学習:シラバスを読んでくる。
2.倫理とは何か?
倫理的な考え方について理解する。倫理的な考え方を使って簡単な事例を考察する。
準備学習:教科書第2章を読んでくる。
3.技術,技術者とはなにか
歴史的,社会的な背景をもとにして,Profession, JABEE, 技術者資格等を学び,「なぜ技術者の倫理が必要か」について考える。
準備学習:教科書第3,4章を読んでくる。
4.経営と技術のはざま
技術者倫理と企業倫理の対立,関連する事例等をまなび,「経営と技術者倫理のジレンマ」について考える。
準備学習:教科書第5章を読んでくる。
5.技術者と知的財産権
知的財産権に関する諸問題や事例等を学び,「技術者が知的財産権に対して留意すべき点」について考える。
準備学習:教科書第8章を読んでくる。
6.自動車のリコールに関連するケーススタディ (1)
自動車のリコール問題について情報収集し,「いかにすれば問題に対して早期対策が可能か」について考える。
準備学習:自動車のリコール問題について調べておく。
7.自動車のリコールに関連するケーススタディ (2) Ford Pinto Case
自動車の安全性にかかるコストとリコールのデメリットについて考える。
準備学習:自動車のリコール問題について調べておく。
8.シティコープ・タワーの危機
ビルの設計者であるルメジャーが想定外の危機を回避した事例を学ぶ。
準備学習:教科書第19章,20章を読んでくる。
9.技術者と環境:環境の倫理
環境問題と技術者の多様な関わりについて理解する。
準備学習:教科書第10章を読んでくる。
10.技術者が幸せに活躍できるためには
社会で技術者が自分の仕事で活躍し、幸せな生活、満足感を持って過ごすことについて考える。
準備学習:自分の身近にある技術(生活に関係しているもの)を調べておく。
11.意図せざる技術流出:倫理的思考の実践
国際競争に勝つために不当な技術流出がおこる事例を学ぶ。
準備学習:教科書第13章を読んでくる。
12.技術者と研究:研究倫理
研究倫理の考え方について理解し,具体的な事例に基づき,意見交換や討論を行い,考察する。
準備学習:教科書第11章を読んでくる。
13.自分たちが技術者として活躍するためには
自分が将来技術者として持っているべきもの(常識など)を考えて、これからの自分自身の目標を具体的に考える。
準備学習:10年後の自分について、技術者としてどのようになりたいかを考えておくこと。就職のガイドブックなどを参考にして、職業なども調べておくこと。
14.授業内容の振り返りとJABEEのまとめ
準備学習:授業内容を復習しておく。

【実務経験のある教員による授業科目】
 全14回のうち,6回は実務経験のある教員が担当する。担当者は企業の研修センターにおいて,技術者に対する各種教育の企画・運営を行い,倫理についての基礎教育を担当したことがある。その経験を活かして,新しい技術開発に挑戦するとき,実務経験に基づいた考え方を解説する。

<成績評価方法>
 授業ごとに出る課題(計75点),授業内に行う演習,小レポート等(計25点)によって評価する。グレードD以上の場合,上記の「機械工学エネルギー・デザインプログラムの学習・教育到達目標 (B)」は達成される。

<教科書>
林・小野里・小野他編著「技術者の倫理(改訂版)」(コロナ社 2015年)

<参考書>
社団法人日本技術士会 訳編「第3版 科学技術者の倫理 その考え方と応用」(丸善)

<オフィスアワー>
月曜日 10:00-12:00(新宿1777室)
上記時間外でも随時質問を受け付けます。メールでの質問も可。
メールアドレス:saika[@]cc.kogakuin.ac.jp([@]を@に置き換えてください)

<学生へのメッセージ>
 消費者は工業製品を使うことによって豊かな生活を送っています。ほとんどの人は使い方を知っていても,原理や構造などは知りません。企業で設計・製造している技術者は,高度な専門性を持ち,倫理的な行動をとっていると一般の人々から期待されています。将来,技術者になるであろう皆さんに,是非,このことを考えてもらいたいと思います。


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