2018年度工学院大学 教職課程科目

生徒指導論(教育相談及び進路指導を含む)(Guidance)[9357]

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4単位
三浦 登 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/12/14

<授業のねらい>
・生徒指導の理論及び方法
・教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法
・進路指導及びキャリア教育の理論及び方法
について、生きた知識・技能を習得し、問題解決的な学習を中心に、広く・深く考えて思考力・判断力・表現力等を向上させ、教職に必要な資質・能力を身につけていく。

<受講にあたっての前提条件>
教職課程登録を行っていること。

<具体的な到達目標>
この授業では、履修学生が生徒指導・教育相談・進路指導の理論と方法を学び、実践的な力を身につけることをテーマとする。具体的な到達目標は、以下の3つである。
@生徒指導は、生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送る中で,現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう,生徒理解を深め,学習指導と関連付けながら教育活動全体を通じ行われる重要な教育活動である。他の教職員や関係機関と連携しながら組織的に生徒指導を進めて行くために必要な知識・技能や素養を身に付けることを到達目標とする。
A教育相談は、一人一人の生徒の自己実現を目指し、本人又はその保護者などに、その望ましい在り方を助言する教育活動である。その方法としては、1対1の相談活動に限定することなく、すべての教師が生徒に接するあらゆる機会をとらえ、あらゆる教育活動の実践の中に生かして、教育相談的な配慮をすることが大切である。発達の状況に即しつつ、個々の心理的特質や教育的課題(いじめ、発達障害、不登校、等)を適切に捉え、支援するために必要な基礎的知識(カウンセリングや教育相談的対応、等)と技能を身に付けることを到達目標とする。
B進路指導は、学ぶことと働くことを通した人間としての生き方の自覚、日々の学習と進路の選択に主体的に取り組む態度や能力の育成し、望ましい勤労観・職業観の形成、将来の生き方と進路を生徒が自ら適切に選択ができるよう、教員が組織的・継続的に指導・援助し長期的展望に立った人間形成を目指す教育活動である。それを包含するキャリア教育は、学校で学ぶことと社会との接続を意識し、一人一人の社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育むことを目的としている。進路指導・キャリア教育の視点に立った授業改善や体験活動、評価改善の推進やガイダンスとカウンセリングの充実、それに向けた学校内外の組織的体制に必要な知識や素養を身に付けることを到達目標とする。

<授業計画及び準備学習>
授業の概要
生徒に向き合う実践力と生徒指導には正解ではなく最適解を考えて実践することを身につけるために、アイスブレーキング、ロールプレイング、事例研究、グループディスカッション、外部の教育力を活用した体験的な学習を計画する。ワークシートを用いた課題解決型の学習方法を用いて、「自らの考え」を表現し「他者の考え」で思考を広げ・深め、見方・考え方に基づいた深い学びの学習をめざす。
毎回の授業終了時には、個々の省察を促すためにワークシートでふりかえりシートにコメントを記入させ学習の積み重ねを促す。
授業計画
生徒指導の理論と方法、教育相談(カウンセリング)の理論と方法、進路指導・キャリア教育の理論と方法に関する講義とグループワーク。実践的力と最適解の思考トレーニングを目的とした体験的な学習と課題解決型学習(学生による討論と発表を含む)。
準備学習は、学生自身の体験や資料を基に、レポート用紙(A4版)1枚程度に書いてくる。

1.生徒指導の理論と方法1:意義と原理、教育課程における位置づけ
(準備学習:学校教育において学習指導と生徒指導の目的(役割)について考えておく。生徒指導の内容について考え、まとめておく)
2.生徒指導の理論と方法2:生徒全体への指導と進め方、規範意識の醸成と自己存在感
(準備学習:生徒全体への指導の必要性と内容について考え、まとめておく。規範意識の主な内容について考え、まとめておく。)
3.生徒指導の理論と方法3:生徒の発達・理解と学級の組織・運営、分掌、年間指導計画
(準備学習:コミュニケーション力とは何か、具体的な能力を考えて、まとめておく。自らが体験した学級活動の内容について考え、まとめておく)
4.生徒指導の理論と方法4:特別活動(学級・行事指導)による人間関係形成の指導と実践
(準備学習:人間関係力を高めるために必要な資質・能力について考え、まとめておく。自らが体験した行事活動で得た能力について考え、まとめておく)
5.教育相談・カウンセリング1:学校における教育相談の意義と理論
(準備学習:教育相談の役割について、自らの体験を考えてまとめておく)
6.教育相談・カウンセリング2:教育相談的対応の指導事例検討
(準備学習:自らの体験で教師の対応で「相談して良かった」と感じた内容や場面について考え、『何が、どのように、どんな場面で、分かってもらえたか』をまとめておく。
7.教育相談・カウンセリング3:基礎的知識とカウンセリングマインド〜発達課題〜
(準備学習:自らの体験で教師の対応で「この先生には相談できない」と感じた内容や場面について考え、『何が、どのように、どんな場面』をまとめておく)
8.教育相談・カウンセリング4:教育相談の姿勢を生かした授業の視点と考察
(準備学習:分かりやすい授業、温かみを感じる授業について、自らの体験を考え具体的な事例をまとめておく)
9.教育相談・カウンセリング5:受容・傾聴・共感的理解〜不登校と組織的取り組み〜
(準備学習:自らの体験で教師に「分かってもらえた」と感じた場面について考え、『何が、どのように、どんな場面で、分かってもらえたか』をまとめておく。
10.教育相談・カウンセリング6:一人一人の子供を生かす連携のあり方〜校内体制と連携〜
(準備学習:生徒指導において、校内の教員相互についての連携と保護者・地域・外部[関係機関を含む]との連携について、その必要性を考え、まとめておく)
11.教育相談・カウンセリング7:カウンセリングのロール・プレイ〜技法を学ぶ〜
(準備学習:ロール・プレイとは、どんなことなのかを調べておく。また、授業後は、ロール・プレイを振り返り、深く考える)
12.教育相談・カウンセリング8:特別支援教育〜発達障害のある生徒の理解と指導〜
(準備学習:発達障害の種類と行動特性について、資料を基に考えまとめておく)
13.進路指導・キャリア教育1:意義及び理論、教育課程における位置づけ
(準備学習:進路指導の目的と主な内容について、学習指導要領等を活用して整理してまとめておく)
14.進路指導・キャリア教育2:ガイダンスとしての指導と職場体験(外部教育力の活用)
(準備学習:自らが体験した職場体験等の事前学習の内容と方法について考え、まとめておく)
15.進路指導・キャリア教育3:キャリア・カウンセリングで自分に向き合う(外部教育力の活用)
(準備学習:職業適性指導等の主な内容やレディネステストの種類を調べ、まとめておく)
16.進路指導・キャリア教育4:進路・受験指導と理系選択
(準備学習:受験指導について、自らの体験を考え、時系列で現在までを整理しておく。また、今後のキャリアプランについても、できるかぎりまとめておく)
17.進路指導・キャリア教育5:進路指導・キャリア教育とカリキュラム・マネジメント
(準備学習:カリキュラム・マネジメントとは?について、資料をもとにまとめておく)
18.進路指導・キャリア教育6:キャリア教育(職業講和)の授業づくり体験と考察
(準備学習:外部の講師を招聘した「職業講和」の授業を計画する際に、どの様な事前学習と事後学習が必要か、項目と内容を考えてまとめておく)
19.生徒指導の理論と方法5:外部の教育力を活用した規範意識醸成の指導プログラム
(準備学習:自らが体験した生活指導に関する「外部講師による講演、授業」の内容を考え、整理してまとめておく。)
20.生徒指導1:いじめと現代的な生徒指導上の課題(進路指導・教育相談含む)
いじめ防止法、「いじめ・ネット/SNS・ジェンダー・セクシャリティ」の事例と課題解決事例研究
(事前学習:「いじめ」「ネット中傷」「差別行動」について、自らが知っている事例やマスコミ報道された事例を一例抽出してまとめておく。個人情報に留意して、5W1Hで示す。)
21.生徒指導2:少年犯罪・暴力行為と児童虐待の生徒指導 ―専門家や関連機関との連携―
(事前学習:近年の少年犯罪や児童虐待の事例をマスコミ等より一例を抽出し、事件となった背景と問題点を考え、まとめておく)
22.生徒指導3:体罰と生徒指導⑴「体罰禁止と懲戒」事例研究
(事前学習:懲戒について考え、その内容とどんな場面でどのように行うか整理してまとめておく)
23.生徒指導4:体罰と生徒指導⑵「部活動指導とコーチング」〜教師の感情コントロール〜
(事前学習:自らの体験を考え、グッドコーチングとバットコーチングの事例を整理して、一例ずつまとめておく)
24.学習成果の確認:まとめと教場レポート
(事前学習:今までの授業内容を振り返り「生徒指導とは」について、深く考える。課題レポートに必要な資料を準備しておく)
定期試験は実施しない。
以上の項目を12日間で実施し、ワークシートとレポートで学習成果を考課する。

<成績評価方法>
講義への出席と事例研究等のディスカッションへの参加を前提とする。ワークシートの記入内容と授業終了時に行う自己評価コメントを記入することで毎回の学習の理解度をみる。期末には、授業内で課題レポートの試験を実施する。ワークシート及び自己評価の変容を平常点。授業内の課題レポートの割合は6:4とし、A〜Fの6段階評価でD以上の者を合格とする。

<教科書>
指定教科書はないが、学習指導要領解説 中学校「特別活動」と「総合的な学習の時間」を学生は持参する。(書店で購入かインターネットでダウンロード)
毎回の授業時には作成したワークシートを配布する。

<参考書>
文部科学省『生徒指導提要』(2010年)、文部科学省(各年次)学習指導要領。その他関連法律や文部科学省通知、各種調査研究、国立教育政策研究所発行の「生徒指導リーフ」等は授業中に適宜紹介する。

<オフィスアワー>
授業前30分間。あるいはそれ以外でも連絡があれば、対応。
新宿キャンパス12階講師室。

<学生へのメッセージ>
学生のみなさん、ひとりひとりの経験や考えを大切にしながら、学びあっていければと思っています。ご協力をお願いいたします。


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