2018年度工学院大学 教職課程科目

生徒指導論(教育相談及び進路指導を含む)(Guidance)[9351]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

4単位
安部 芳絵 准教授  
最終更新日 : 2018/12/14

<授業のねらい>
この授業のねらいは、履修学生が生徒指導の実践的な力を身につけることである。授業は、生徒指導の理論と方法、進路指導の理論と方法、教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む)から構成される。

<受講にあたっての前提条件>
教職課程登録を行っていること。

<具体的な到達目標>
本授業の具体的な到達目標は、履修学生が@生徒指導の理論及び方法について知り、A進路指導の理論及び方法について理解を深め、B教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む)の理論及び方法を学ぶことを通して、@−Bを、これからの生徒指導に積極的に適用できるようになることである。
 「問題行動を起こす子ども」とは、「問題の子ども」ではない。「問題に直面し、どうしていいかわからない子ども」であり、教師が指導・支援をする対象である。そこで、授業にあたっては、生徒指導、教育相談、進路指導・職業指導において教師が直面するさまざまな事象を知り、データの読み方を学び、背景にある課題を探ることを第一の目標とする。これを踏まえて、子どもの成長発達を保障するために、教師はどのような指導と支援、教育相談、進路指導等が可能であるのかを具体的に検討することを第二の目標とする。
 なお、子どもに向き合う実践力を身につけるために、アイスブレーキング、ロールプレイング、事例研究、グループディスカッションをはじめとした参加型の学習方法を用いる。毎回の授業終了時には、個々の省察を促すためにふりかえりシートにコメントを記入し、翌週の講義でレビューシートとして配布し、共有する。指導・支援の軸としては、国際条約であり、日本政府も1994年に批准している国連子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)を基盤に据える。

<授業計画及び準備学習>
<授業計画>
【前期】生徒指導の理論と方法、教育相談(カウンセリング)の理論と方法、進路指導の理論と方法に関する講義とグループワーク中心。
1. 生徒指導の理論と方法1:基礎的理論
2. 生徒指導の理論と方法2:生徒指導の定義と意義
3. 生徒指導の理論と方法3:児童生徒の発達・理解と学級の組織・運営
4. 教育相談・カウンセリング1:基礎的理論
5. 教育相談・カウンセリング2:「問題行動」の背景を考える〜発達障害をめぐって〜
6. 教育相談・カウンセリング3:「問題行動」に向き合う〜不登校と居場所〜
7. 教育相談・カウンセリング4:つながりで子どもを支える〜子ども相談の固有性と地域連携〜
8.教育相談・カウンセリング5:カウンセリングのロール・プレイ
9. 進路指導・職業指導1:進路指導の目的と内容
10. 進路指導・職業指導2:キャリア教育の定義と目的
11.進路指導・職業指導3:職場体験の意義と課題、キャリア・カウンセリング
12.進路指導・職業指導4:進路・受験指導と理系選択
13.進路指導・職業指導5:社会的・職業的自立と進路指導計画
14.前期の内容確認とふりかえり

【後期】生徒指導の理論と方法に関して具体的事例をもとにした講義に加えて学生による発表と討論を実施。
1. 教育相談・カウンセリング・進路指導・職業指導の復習
2.少年犯罪と生徒指導(進路指導・教育相談含む)
3.いじめ1:いじめの現象学的考察
4.いじめ2:いじめ防止法、事例と具体的対応方法
5.学校の安全(学校事故)と生徒指導
6. ジェンダー・セクシュアリティと生徒指導(進路指導・教育相談含む)
7-8.学生からの発表
発表に際してのキーワード例:教育相談、受験指導、中途退学、高校生の不登校(それぞれのキーワードにそって担当者を決めて発表する)
9.児童虐待と生徒指導
10.体罰と生徒指導1:体罰禁止の国際的動向と日本
11.体罰と生徒指導2:部活動指導と教師のアンガーマネージメント
12.体罰と生徒指導3:「叱る」の教育学的考察
13.学習成果の確認(授業内試験)
14.学習内容全体のふりかえり

<準備学習>
※各回の授業予習として
(1)新聞やニュースで子どもに関連する記事を読むこと、とくに気になった記事はクリッピングすること。とくに、前期は、1−3回生徒指導全般に関する記事、4・5回:発達障害に関する記事、6・7回不登校に関する記事、8−13回:進路指導や職業選択に関する記事を意識的に探しておくこと。
(2)子どもに関する記事やニュースを題材に、家族や友人と話をすること 。とくに、後期は、2回:少年犯罪、3・4回:いじめ、5回:学校安全、6回:ジェンダー、9回:児童虐待、10−12回:体罰に関して家族や教職の友人と話をすること。自分の考えをあらかじめ言語化しておくことで授業へのより積極的な参加を期待する。
(3)毎回:前回のコメントシートに目を通しておくこと
※各回の復習として
(1)コメントシートに自分なりの考えを記入すること
(2)前期の間に『災害と子ども支援』を読んでおくこと
(3)前期〜後期:講義で学んだことを子どもと向き合う実践に活かすこと
(4)前回〜後期:活かしてみた結果を次回の講義に反映すること。

<成績評価方法>
講義への出席とディスカッション・グループワークへの参加を前提とし、毎回のコメントシートへの記入を求める。夏季休業中に課題レポート課し、期末に授業内容すべてをふまえた授業内試験を実施する。コメントシート、課題レポート、期末の授業内試験の評価割合は2:4:4であり、A+〜Fの6段階評価でD以上のものを合格とする。

<教科書>
教科書:『災害と子ども支援』安部芳絵(学文社、2016) ※夏休みに課題が出ます。
毎回の授業時には作成したレジュメを配布する。

<参考書>
『生徒指導提要』文部科学省、(2010年)、『生徒指導の手引き(改訂版)』文部省(1981年)、『生徒指導資料』『中学校・高等学校生徒指導の手引』文部科学省(各年次)学習指導要領そのほかは、授業中に適宜紹介する。

<オフィスアワー>
【八王子】水曜日 12:50−13:40(八王子校舎総合教育棟 1s-326)
【新宿】土曜日 11:00−11:15(新宿12F講師室)
※授業の前後にも受付ます。このほかの時間帯を希望する場合は、abeyoshie@cc.kogakuin.ac.jpまで個別に連絡してください。

<学生へのメッセージ>
教職課程にはいろいろな学生がいます。学部学科を横断して、学校が好きだった人、嫌いだった人、学校教育に疑問を抱いてきた人、学校生活でかけがえのない出会いをした人、多様な背景を有する学生が集うのが教職課程です。みなさんがいなければ、「生徒指導論」の授業は成り立ちません。ひとりひとりの経験や考えを大切にしながら、学びあっていければと思っています。ご協力をお願いいたします。

<備 考>
教員採用試験に関する情報は適宜授業内でお伝えしますが、試験勉強は各自で計画的に進めてください。


ナンバリングはこちら
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2018 Kogakuin University. All Rights Reserved.