2018年度工学院大学 先進工学部機械理工学科
△流体力学II(Fluid Mechanics II)[5H20]
2単位 佐藤 允 准教授
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 本授業では,実流体(粘性流体)の基礎的性質と物理的理解を,工学的な応用事例を踏まえながら学んでいく.本授業を通して,管内を流れる流体に働く摩擦力,飛行機の翼,車,船などに働く流体力について理解する.加えて,圧縮性流体に関する基礎的知識と応用事例についても学ぶ.
- <受講にあたっての前提条件>
- 物理学(特に力学分野)を履修していること.
基本的な数学(特に微積分の分野)を理解していること. 流体力学 Iを受講済みであること(単位の修得・未修得は問わない).
- <具体的な到達目標>
- 流体をつかった工学的技術の理解に役立つ知識を習得する.流体力学Iで学習した流体特有の性質・現象の基礎的知識をふまえ,乱流に代表される実流体の性質について学ぶ.具体的には,管内流における摩擦抵抗・圧力損失,流れの中の物体に作用する流体力を算出できるようにする.
- <授業計画及び準備学習>
- 1. [ガイダンス] 本授業で取り組む粘性流れについて紹介する.層流と乱流の違いや,流体力学における「レイノルズ数」の意義について学ぶ.
2. [数学・物理の準備] 本授業を進める上で必要となる基本的な数学・物理の知識について復習する. 3. [Navier-Stokes方程式] Navier-Stokes方程式を導出し,その意味について学ぶ. 4. [層流 1 (内部流れ)] 円管内や平行平板間における層流流れの基礎的知識について学ぶ. 5. [層流 2 (外部流れ)] 層流中に置かれた物体周りの流れについて学ぶ. 6. [乱流 1 (内部流れにおける乱流の基礎)] 円管内や平行平板間における乱流流れの基礎的知識について学ぶ. 7. [乱流 2 (外部流れにおける乱流の基礎] 物体周りの剥離流れと後流の流れについて学ぶ. 8. [管内流れにおける圧力損失] 円管内流れにおける圧力損失について学ぶ.. 9. [粘性流体におけるベルヌーイの式] 断面積変化や曲管に起因する損失について学び,エネルギー損失を考慮したベルヌーイの式を導く. 10. [流れの中の物体に働く力] 物体に働く揚力と抗力について学ぶ. 11. [飛行機の空気力学] 飛行機に関わる空気力学を,翼周りの流れに着目しつつ学ぶ. 12. [圧縮性流体力学 1] 流体の圧縮性が重要となる高速流れの基礎的知識について学ぶ. 13. [圧縮性流体力学 2] ロケットエンジン等に使われるラバルノズルや超音速飛行機など,高速流れに関する応用事例について学ぶ. 14. [授業の振り返り]
- <成績評価方法>
- 各授業において内容理解の演習(試験形式)を行う.
成績評価は,演習点(40%)+定期試験(60%)として算出する.Grade D以上を単位取得の要件とする. 評価によってはレポートの提出や再試験を求める場合がある.
- <教科書>
- 「基礎から学ぶ流体力学」,飯田明由・小川隆申・武井昌宏 著,オーム社
授業で配布するプリント.
- <参考書>
- 「流体力学」,日野幹雄 著,朝倉書店
「JSMEテキストシリーズ 流体力学」,日本機械学会,丸善 「圧縮性流体力学―内部流れの理論と解析」,松尾一泰 著,オーム社 「Fluid Mechanics」,Frank M. White 著,McGraw-Hill Education
- <オフィスアワー>
- 授業後の教場.
新宿キャンパス17FのA-1778(木曜日16:00-17:00). メールでの質問も受け付けます.
- <学生へのメッセージ>
- 「乱流」は日々の生活から高度な流体機械に至るまで,あらゆる場所で発生する極めて複雑な現象です.このような現象を扱う本授業は,難しい部分もある反面,その応用範囲は広く,(流体現象に限らない)多くの知見を得ることができます.工学的知識・技術の習得とともに,実生活の様々な場面で活用できる「複雑な事象の扱い方」を学んでいきましょう.
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