2018年度工学院大学 先進工学部機械理工学科
△計測工学(Fundamentals of Measurement)[3H27]
2単位 森田 真史 非常勤講師
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 本授業は測定機器の操作解説書的な測定技術のノウハウを紹介するものではない。測定によって得られた情報をいろいろな場面に活用するための情報処理技術の一環としての体系化された計測工学について学ぶ。技術は時代の変遷とともに、より効率的なもの、より高度なものへと進化発展するが、測定論、情報論を基軸にした計測工学は普遍である。将来、機械技術者研究者として携わるいろいろな実験や生産の場において、適切な計測が行える応用力を養うことを本講義の目的とする。
- <受講にあたっての前提条件>
- 数学(フーリエ級数、ラプラス変換)、統計学の基礎、および物理学、化学の基礎知識(高校で学習したレベル)のあることが望ましい。
- <具体的な到達目標>
- 現代の計測工学は、古典的ないわゆる計測技術に留まらず、知能機械、自動制御機械の信号検出部として、センサ技術、アナログ計測、デジタル信号処理が位置付けられている。それらに対応した計測技術について、センサの動作原理、計測機器の静・動特性、測定量の統計処理、信号のデジタル変換に係わる諸技術を理解する。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.計測工学概論T
アナログとデジタル量、単位と標準、測定の基本方式、直接測定と間接測定、比較と決定(偏位法、零位法。合致法) [準備学習]アナログ量とデジタル量(連続量と離散値量)の違いについて準備学習しておく。アナログ量の定量に単位が必要な理由を考えておく。 2.計測工学概論U 変換器(センサ)の特性、測定機器の構成と機能 [準備学習]予習としてテキストの測定の方法を読んで理解しておくこと。 3.計測工学概論V 信号の検出と変換、開いた系と閉じた系、信号線図、測定機器の静・動特性、精度と応答 [準備学習]予習として、ダイヤルゲージとマイクロメータ、台ばかりと天秤について調べておくこと。 4.計測工学概論W デジタル変換、OPアンプ、A/D変換器(比較方式と積分方式)、D/A変換器、信号のPOM変調と伝送 [準備学習]10進数の2進数変換について理解しておくこと。 5.計測工学概論X 情報量、測定の限界、有効数字 [準備学習]テキストを読んで予習しておくこと。情報量については確率・統計学や情報工学関連の本に記載されているので、読んでおくとよい。 6.センサ技術T センサとトランスデューサ、信号と雑音、熱系、化学系、電磁気系測定対象の電気系への変換 [準備学習]センサにはいろいろな物理・化学現象を利用している。テキストに記載してあるセンサの測定原理について、何を利用したものであるかを理解しておくとよい。 7.センサ技術U 直動変換と変調変換、各種センサ、熱電対とひずみゲージによる温度と力学量の測定 [準備学習]弾性学の応力とひずみの関係、ベーゼック効果、酸塩基の電気化学等について調べておくこと。 8.測定量の取り扱い 系統誤差と偶然誤差、母集団と標本(母平均と母分散、標本の平均と不偏分散)、母数N(μ,σ2)の推定、測定値の性質 [準備学習]確率・統計学の基本的事項である平均と分散について過去に学んだ範囲で良いので学習しておくこと。 9.測定系と信号 アナログ信号とデジタル信号、A/D変換とD/A変換,サンプリング誤差と量子化誤差 [準備学習]予習としてテキストに目をとおしておくこと。 10.情報量 2進数と10進数、情報のエントロピー、Bit、デジタル信号のメリットとディメリット、測定と情報量 [準備学習]確率について過去に学んだ範囲で良いので復習しておくこと。 11.デジタル信号処理 時系列波形の性質、波の合成と分解、フーリエ級数展開、類似と非類似 [準備学習]フーリエ級数について書かれた数学の本を読んでおくとよい。 12.フーリエ級数からフーリエ変換へ 複素フーリエ変換、絶対可積分、フーリエ核とディレクレ核 [準備学習]テキストを読んでおくこと。 13.サンプリングの定理 無限δ関数(shah関数)パルス列のフーリエ変換、サンプリングの定理 [準備学習]数学の教科書の超関数(δ関数)について予習しておくとよい。 14.授業内容の振り返り
- <成績評価方法>
- 定期試験期を期間内に実施する。成績評価は定期試験の素点(80%)、および宿題レポート(20%)の成績により、A+、A,B,C,D,FのGradeで評価する。Grade D 以上を合格とする。ただし、定期試験を受験するためには10回以上の講義の出席が必要である。
- <教科書>
- 教科書としての指定図書は使用しないが、講義内容に則した「計測工学講義ノート」をテキスト教材として使用する。同教材は「工学院大学キューポートの電子教材一覧」にアップロードしてある。講義の際にはプリントアウトして持参すること。また、必要に応じて講義資料を配布する。
- <参考書>
- 岩波講座基礎工学測定論T,U寺尾 満著、同情報論T 瀧 保夫・宮川 洋著、岩波書店
計測概説 高島修直、小川恒一、武田晴見著、槇書店 工学のためのフーリエ変換、松尾 博著、森北出版 計測工学入門、中村邦雄、石垣武夫、冨井 薫著、森北出版
- <オフィスアワー>
- 質問は講義終了後に受け付ける。あるいは、事前に電話、または、メールで連絡すると都合のよい日時と場所を随時設定する。電話連絡先:090-6340-9241、メールアドレス:masa.morita@yahoo.ne.jp
- <学生へのメッセージ>
- 計測工学は多くの既存の基礎科学の上に成り立っている応用科学の一面を有している。すなわち、数学、物理学、化学、電磁気学、制御工学、統計学など多岐にわたる。数学は機械計測装置の動特性およびデジタル信号処理を学習するのに必要なラプラス変換とフーリエ変換、物理学と化学はセンサの原理を理解する上で必要である。統計学は測定値の処理に必要な誤差関数、母集団と標本、母分散と不偏分散の解説を行う際に必要な前知識である。本講義で扱う自然科学は、高校から大学基礎教育で学んだレベルの一般的な知識で十分に対応できる。事前に、これらの教科書に目を通しておくと講義の理解がより一層深まるであろう。
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