2018年度工学院大学 先進工学部応用物理学科
○卒業論文(Undergraduate Thesis Research)[S110]
8単位 斎藤 秀俊 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 |
- <授業のねらい>
- 応用物理学科の学生は,学生便覧に記されている卒業論文に必要な条件を満足すると,4年生で卒業論文(卒論)を行うことになります.大学における教育カリキュラムの中にこの卒論を設置している理由として,次の事柄が挙げられます.将来社会に出た時に必要となる能力は,新しいテーマの発見と,発見したテーマを如何にして解決するかに関するものになります.この時,大学で得た多くの知識を基礎として,自分自身から主体性をもってこれらの事を解決していかなければなりません.つまり,1年生から3年生迄の間に,授業から多くの知識を得て,これまで多くの先駆者達が明らかにしてきた多くの概念を学んでいるはずです.しかしながら,このようにして授業によって得た豊富な知識も必要ですが,それだけでは社会において活躍するには不十分です.これらの豊富な知識を如何に応用し適用するか,また如何なる分野に適用することができるのか等,よく知っておく必要があります.そのために卒論では,一つの具体的な研究テーマを決め,それについて約10ヶ月もの長い期間に渡り,身に付けている豊富な知識を駆使して問題点を指摘し,その問題点を一歩ずつ解決していくといっ た研究の過程を経験します.
このような卒論の過程で経験することは,多くの予期しない失敗でしょう.失敗を単に失敗として処理するのでなく,そこに横たわっている多くの問題を抽出し,それを解決するための手だてを,持っている豊富な知識の中から発見し,それを応用してみることが必要となります.この時,卒論が始まると言っても過言ではありません.また,これらの問題点を抽出することから,新しい研究テーマの発見と成る場合が多くあります.是非とも,卒論を学部最後の目標として頑張りましょう.
- <受講にあたっての前提条件>
- ・入学年度において,学科で定めている卒業論文着手条件を満たしていること.
・3年生の3月において,卒論を実施する研究室への正式な配属が決定されていること. ・3年生までに身につけた基礎知識,実験技術,および専門知識を駆使できると共に,それを応用できる素養を身に付けていること.
- <具体的な到達目標>
- ・研究テ−マの科学的・技術的な意味を理解し,取り組むべき課題の意義や新規性等を説明することができる.
・研究目標の達成に向けて,研究の位置付けを説明でき,実験・解析などの手順を論理的・系統的に構築できる. ・1年間の成果を卒業論文として冊子にとりまとめることができる. ・卒論発表会において定められた時間内に研究成果を分かりやすく発表することができる.
- <授業計画及び準備学習>
- 卒業論文を実施する上での全般的な流れを示す.
ただし,各研究室の指導教員により,研究分野ごとに指導内容が異なるため,卒論実施においては指導教員の指示に従うこと.
まず,3年生の3月において,卒論を実施するための研究室へ正規に配属が決定していることが前提である.
さらに,卒論仮配属に相当している「応用物理セミナーC」を受講することで,卒論を遂行するにあたって必要な知識やスキルを身に着けていることも前提となる.
その上で,次のことを主に実施することになる.
1.配属研究室の指導教員の指導の下で,研究テーマを決定する.
テーマを決定するためには,その研究分野の背景と研究内容や研究方法に関する知識が必要であり,このためにも何をすべきかを指導教員と相談の上で進めること.
2.研究テーマ決定後,テーマに関連した学術論文や専門書等を読んで理解を深める(文献調査)とともに,具体的な研究実施計画を考案すること.
なお,文献調査においては,分野によっては和文だけではなく,英文で記述された文献等も対象となる場合もある.
3.その後,研究実施計画に沿って,研究を実施することになる.
その過程において,各研究室ごとに行われる輪講や研究報告会等の試問において,定期的にその実施内容をまとめて報告する.
その報告内容や結果を整理し,さらに考察を行い,研究内容を説明する能力を身につける.
5.7月頃に,研究室ごとに卒業論文中間発表会が行われる.各自がパワーポイントを用いて研究の進捗状況を発表する.このとき,研究概要をまとめた要旨も提出する.
この際に,指導教員から受けた指摘やコメント等を生かして研究実施計画の見直しを行い,引き続き文献調査や実験も含めた効率的な研究を遂行する.
6.卒論指導教員の指示に従い,12月下旬から1月上旬頃までにA4判一枚に研究概要をまとめた卒論要旨を提出し,1月下旬頃までに卒論(原稿)を提出してチェックを受ける.
提出された卒論(原稿)は,指導教員によってチェックされ,不備の指摘,質問事項,コメント等が付けられて返却される.
返却された卒論(原稿)は,指導教員からの指摘やコメントに対して適切な対応を行った上で,指導教員に再度提出する.
7.2月上旬に卒業論文発表会を実施する.中間発表会と同様に,各自がパワーポイントを用いて研究発表する.この時,質疑応答の内容を記録して,最終的に提出する卒業論文に反映させること.
8.2月中旬頃に,卒論(原稿)を最終提出する段階に入るが,あくまでも卒論(原稿)の完成度に依存するため,卒論を終える時期も異なる場合がある.
9.実験データ,実験ノート,実験試料等についても,整理したうえで,指導教員の指示に従って提出すること.
- <成績評価方法>
- 卒業論文は,通年科目であり他の科目に比べて単位数も多いことから,1年間の継続的な研究遂行に対する姿勢や努力,その成果と結果を総合的に評価することになる.このため,研究室における日々の取り組み,研究報告会等での発表状況・内容,中間発表会,卒業論文発表会等に対する総合的な評価をする.
- <教科書>
- 卒論指導教員から指示される場合がある.また,別途に研究分野の文献調査を求められる場合がある.
- <参考書>
- 研究テーマに応じて,卒論指導教員から指示される.各研究室の過去の卒業論文・修士論文等が参考文献になる場合がある.
- <オフィスアワー>
- 卒論指導教員から指定されるため,各研究室で開催される卒論説明会やガイダンス等で説明を受けること.
- <学生へのメッセージ>
- 卒論で各学生は,それぞれの研究室に配属されます.したがって,指導教員の研究室に自らの机を持ったり,あるいは,絶えず研究室と密接な連絡を取りながら卒論を行うので,指導教員から密接な指導を受けることになります.卒論に関連して直接指導を受けることで,指導教員の持っている研究に関する多くのノウハウを学ぶだけでなく,先生の人生観にも触れることができ,3年生までの大学生活だけでは得られなかった貴重な体験をすることとなります.また,卒論では,複数の学生諸君がそれぞれの研究室に配属され,同じ研究室に配属された同級生と1年間の学生生活を過ごすことになり,単にこれまでの授業を受けた同じ学科の仲間としてだけでなく,より親密な多くの友人を持つことのできる貴重な数少ない機会となります.
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