2018年度工学院大学 先進工学部環境化学科

エネルギー装置設計(Energy Equipment Design)[3E23]

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2単位
伊藤 直次 非常勤講師  
最終更新日 : 2018/12/14

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性

<授業のねらい>
エネルギー多消費型の産業とされている化学工業において、エネルギー・環境問題へ真剣に対応するためには、種々の化学品を省エネかつ省資源の観点から効率良く製造するためのプロセスを設計する、あるいはプロセスそのものを革新することが求められます。本講義では、化学プロセスを構成する代表的な装置の型式と特徴について知り、それらを組み合わせて全体システムを作り上げるためのフローシート作成、装置設計や制御を行うための基礎となる考え方を学ぶます。
 なお,上記の学位授与の方針のうち、
2. 専門分野知識・専門技術の修得、3. 汎用的問題解決力の修得について特に重視します。

<受講にあたっての前提条件>
物理化学I、II、分離工学、化学装置設計を履修していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
●化学プロセスの基本設計の進め方について学ぶ。
●化学プラントを構成する各種の装置や材料について理解する。
●装置の制御の基礎について学ぶ。
●化学プロセスを構成する原料から製品に至る工程の中では、反応や分離装置が連結されているが、リサイクルなどを含む基本フローシートを作成する。
●反応とそれに続く製品と未反応物の蒸留塔分離のシステムの概念設計の手順を理解する。

<授業計画及び準備学習>
1.エネルギー・環境問題と化学プロセス
  グリーンケミストリーの考え方を学び、各種化学プロセスの評価を原子利用率などの指標を使って試みる。
  準備学習:本講義「エネルギー装置設計」のシラバスを読み、授業の流れを把握する。
2.化学品製造装置の特徴と構成
  様々な反応装置、分離装置について特徴を知り、それぞれ目的に合った形式のものが採用されることを知る。
  準備学習:“化学コンビナート”の画像をインターネットで検索し、閲覧して知識を拡げておく。
3.化学装置材料の耐食性
  機器や装置材料の選定は化学技術者として重要な任務である。使用材料の物理的、化学的性質を知って操作条件と耐食性との関係などについての知識を拡げる。
  準備学習:”金属材料の耐食表”をインターネットで検索し、化学薬品に対する耐食性についての知識を拡げておく。
4.工業化学プロセスの実際
  アンモニア合成プロセスを例に、どのような手順で原料から製品までユニット(装置)が組み立てられているのか学ぶ。
  準備学習:アンモニアの用途、製造方法などについて専門書などによって調べて、知識を拡げておく。
5.基本フローシート(マテリアルバランス)
  直列型、バイパス型のフロー構成での成分収支を求めることを学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
6.応用フローシート
  循環型、循環パージ型のフロー構成での成分収支を求めることを学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
7.中間試験
  準備学習:これまで行った講義の内容を再度復習、理解しておくこと。
8.装置制御の考え方と制御機器
  フィードフォワード(Feed-forward)とフィードバック(Feed-back)制御、機械制御とプロセス制御との違いや制御機器の種類などについて学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
9.タンク液量(水位)の制御とステップ応答
  タンクに連続的に供給される水流入量の段階的変化に伴う水位変化の経時変化を追跡する(ステップ応答)解析法を学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
10.PID制御
  比例(Proportional)、積分(Integral)、微分(Differential)制御の基礎について学ぶ。加えて、時定数、遅れ時間など制御の分野で重要な因子について理解する。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
11.製造プロセス概念設計@
  工業規模の生産量を想定した時の装置規模の設計の手順と装置コストを概算するための2/3乗則の考え方を学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
12.製造プロセス概念設計A
  反応塔と蒸留塔から成る基本製造設備を想定して、まず反応塔の触媒量、容積を求める計算方法を学ぶ。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
13.製造プロセス概念設計B
  蒸留塔の段数、間隔、処理量から塔径や塔高を推算する方法を学び、プロセス全体の概念設計を完成する。
  準備学習:前回のノート等を参照し、前回までの内容をよく理解し、疑問点があればまとめて質問の準備をする。
14.学習内容の振り返り
  準備学習:これまで行った講義の内容を再度復習しておくこと。

<成績評価方法>
到達目標に達しているかを中間試験(40点)と期末試験(60点)で評価し、2回の試験の合計点で評価します。成績はA+(100〜90点)、A(89〜80点)、B(79〜70点)、C(69〜60点)、D(59〜55点)、F(55〜)で評価し、A+、A、B、Cを合格とする。

<教科書>
指定図書なし。適時プリントを配布する。

<参考書>
グリーンケミストリー、渡辺 正・北島昌夫訳、丸善

<オフィスアワー>
新宿校舎:毎週水曜日の授業終了後、あるいは随時メールにて質問を受け付けます。
E-mail: itoh-n@cc.utsunomiya-u.ac.jp

<学生へのメッセージ>
環境・エネルギーなど地球規模の問題に配慮しつつ、種々の化学製品を合理的に製造するためには、それを実現する装置・制御・システムの最適設計が必要不可欠となります。


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